ショーン・ホームズ×段田安則が見せる新解釈の「リア王」幕開け

「PARCO PRODUCE 2024『リア王』」が本日3月8日に東京・東京芸術劇場 プレイハウスで開幕。これに先駆け、同日にフォトコールと初日前会見が行われた。

「リア王」は、ウィリアム・シェイクスピアによる四大悲劇の1つ。今回の公演では、「パルコ・プロデュース2022『セールスマンの死』」を演出したショーン・ホームズと、主演を務めた段田安則が再びタッグを組む。

フォトコールで公開されたのは、冒頭の約35分間。ポール・ウィルスが手がける美術は極めてシンプルで、舞台奥に大きな白い壁が設置され、舞台上手にコピー機とオーバーヘッドプロジェクター、舞台下手にウォーターサーバー、その間にいすが置かれている。衣裳は同じくポールが手がけたもので、段田扮するリア王は青いストライプのスーツ、上白石萌歌、江口のりこ、田畑智子扮するリア王の娘たちは鮮やかなピンク色のワンピースに身を包み、高橋克実扮するケント伯爵ら男性のキャラクターたちはシックなスーツを着用。キャスト陣は、松岡和子が翻訳したシェイクスピアの美しい言葉を力強く紡いだ。

初日前会見には、段田らメインキャストが出席。段田は「ショーンさんは自分と感覚や感性が合う演出家」と信頼を寄せつつ、「しかし、この『リア王』という山はなかなか高い山で……ショーンさんがしっかりとルートを示してくれていたのですが、登り手である私の体力の問題で滑落しそうになることも（笑）。『なんとか頂上に登ってやるぞ！』という気持ちでがんばっています」と笑顔で話し、カンパニーメンバーを和ませる。

コーディリア役の上白石は舞台美術について、「現代的なようでいて、どこなのかわからないような削ぎ落とされた空間が素敵」と言及し、「今までに観たことがない『リア王』になっていると思うので、この新たな『リア王』をぜひ目撃してください」と観客に呼びかけた。

ゴネリル役の江口は「楽しくやれたら良いなと思います」、リーガン役の田畑は「みんなそろって笑顔で千秋楽を迎えられたら」とそれぞれ抱負を語る。グロスター伯爵役の浅野和之は「年長者3人（段田、高橋、浅野）は若い人たちから毎日刺激を受けながらがんばっています」と微笑み、高橋は「今日ご覧いただいたシーンは真っ白な舞台でしたが、このあと変わるんですよ。どんなふうに変わるかは、観に来ていたらわかると思います」といたずらっぽく笑う。

道化役を務める平田敦子は「段田さんと克実さんと言葉を交わすシーンが多いので、お二人の胸を借りてがんばります」と緊張した面持ちで話し、エドガー役の小池徹平は「シンプルなセットだからこそ、俳優たちの生々しい迫力が伝わると思います。ぜひ劇場へ遊びに来てください」とコメント。エドマンド役を演じる玉置玲央は「『リア王』というダイナミックな戯曲が、ショーンさんの演出により前代未聞の作品に仕上がっています」、オズワルド役の前原滉は「これまでにもショーンさんの演出を受けたことがあるのですが、今までで一番大変（笑）。これからもっともっと豊かな作品になっていくと思います」と自信を見せる。また、コーンウォール公爵役の入野自由は「壮大な戯曲を素敵なキャスト・スタッフと作り上げられることができてうれしい。演劇でしか体験できないものが詰まった作品になっています」と手応えを明かし、オールバニー公爵役の盛隆二は「今、壇上にいないキャスト・スタッフも総出でこの『リア王』という大作に挑みました。良い作品になったと思います」と晴れやかな表情で語った。

最後に段田が「これまでに演じられてきた『リア王』とは異なる面から作品を捉えていて、今まで観たことがない新しい『リア王』になっていると思います。ぜひご覧いただきたいです」と述べ、会見を締めくくった。

上演時間は休憩ありの約2時間55分。東京公演は3月31日まで行われ、その後、4月から5月にかけて新潟・愛知・大阪・福岡・長野で上演される。