後悔させません！「ヴァグラント」平間壮一・廣野凌大らが新藤晴一の楽曲でパフォーマンス

東京都内で行われている「a new musical『ヴァグラント』」稽古の様子が、昨日8月1日に報道陣向けに公開された。

「ヴァグラント」は、ポルノグラフィティの新藤晴一が初めてプロデュースするオリジナルミュージカル。原案・作詞・作曲を新藤、脚本・演出を板垣恭一が担当する本作では、大正時代の日本を舞台とした物語が描かれる。佐之助（平間壮一、廣野凌大）と姉貴分の桃風（美弥るりか）は、マレビトと呼ばれる芸能の民。彼らは“ヒト様の人生に区切りをつける”ために歌や踊りを披露するのが仕事で、“ヒト様”との安易な接触は禁じられていた。一方、ある炭鉱街に暮らす幼なじみ同士の3人・トキ子（小南満佑子、山口乃々華）、政則（水田航生）、譲治（上口耕平）は、幼少期に結んだ約束に苦しんでいた。三ツ葉炭鉱の新社長就任式でその街に招かれ3人と出会った佐之助は、マレビトの掟を破って彼らの問題に首を突っ込み……。

稽古前に行われた会見には、新藤と板垣のほか、平間、廣野、小南、山口、平岡、美弥が登壇した。もともとミュージカルが好きで、よく稽古場を訪れているという新藤は「『舞台をやってみたい』という僕の思いをぶつけたら、器の大きな皆さんがそれを受け止めてここまで『ヴァグラント』を作ってくれた」と感慨深げに話す。新藤は「皆さんから、損得ではなく『面白いものを作ろう』という気持ちを感じる。プロに向けた言葉ではないかもしれないけど、良い意味で“文化祭感”があることに感動しています」と言い、「原作者としてではなく、観客として心から公演が楽しみ」と笑顔を浮かべた。

平間はそんな新藤が手がけた劇中音楽について「晴一さんの愛情を感じます。夢を仕事にできた僕らですが、だんだん義務感が大きくなってしまうことがあると思う。でも晴一さんは夢を見続けていて、そんな方が作った楽曲だということが素敵」と語り、上演に向けて「心に刺さる舞台だと思う。受け取り方は自由ですが、必ず心が動くはず」と観客にメッセージを送った。

廣野は「新藤さんは1曲1曲に愛を注いでいるし、曲を通して新藤さんの念が僕らにも伝わってくる。だから僕らはその熱を心のイコライザーで増幅してお客さんに届け、化学変化を起こしたいですね」と言葉に力を込め、「後悔させません。もし後悔してしまったら……僕が借金してでもチケット代をお返しします!!」と力説し、報道陣を笑いで包んだ。

小南は本作の楽曲について「歌い込むうちに私たちも歌詞に力をもらっている」と言い、「熱量の高いお稽古を重ねています。さらにパワーアップしていくと思うので、ぜひ体感して」と観客に呼びかける。山口も劇中歌の歌詞を「心に刺さるフレーズが多くて感動しています」と称賛し、「Wキャストの小南さんと一緒にトキ子を作り上げる中で、役がどんどん深まっていくのが楽しい。アクションもあるので、ケガに気を付けてがんばります」と意気込んだ。

ミュージカル初挑戦の平岡は「日々の稽古で、現場の熱量に圧倒されています。特にキャストの皆さんの歌声は、何度聞いても感動してしまう」と思いを述べる。美弥は「佐之助役の2人がまったく違う演技をしている。桃風は一番近くで彼を見ているので、すごく良い刺激をもらっています。お客様にも、Wキャストのさまざまな組み合わせを楽しんでほしい」と観客にメッセージを送った。

板垣は打ち合わせで新藤と対面した際のことを「正直、プロジェクトがうまくいくかわからず、思ったことを新藤さんにぶつけてしまった。その節はすみませんでした……」と振り返りつつ、「でも新藤さんの前のめりな姿勢に僕も感化されましたし、『きっと良いものになる』と思いながら共同作業を続けています」と話す。

また板垣は「新藤さんは稽古を観ながらたまに踊っている。ほかの皆さんに『出るんですか？』と言われていた」と記者を笑わせる。さらに板垣は「新藤さんの音楽が気になって来てくれるお客様もいるはずなので、ミュージカルに慣れていない方でも舞台に入り込みやすい工夫ができれば」と構想を語り、「まだまだ“宿題”がたくさんありますが、素敵な着地点を目指せそうです」と微笑んだ。

会見のあとはキャストたちが稽古場でパフォーマンスする。平間、美弥らによるにぎやかなダンスナンバーや、美弥がラップを披露する軽快なナンバー、小南、水田、上口が力強いハーモニーを響かせる楽曲、そして廣野、山口ら大勢のキャストが声を合わせて歌い上げる1幕ラストの楽曲が披露されると、稽古場は大きな拍手に包まれた。

「ヴァグラント」の公演は8月19日から31日まで東京・明治座、15日から18日まで大阪・新歌舞伎座で行われる。