serial number「スローターハウス」開幕に詩森ろば「立ち会っていただけたら」

serial number「スローターハウス」が、本日7月15日に東京・東京芸術劇場 シアターイーストで開幕する。

これは、詩森ろばが作・演出を手がける新作。劇中では、優性思想を持ち障害者を殺した青年と、ある女の対話劇が展開する。事件を起こしたときに未成年だった青年は、二十代後半になると刑務所を出て、今は孤独に暮らしていた。そこに、1人の女が訪ねてくる。その女は、彼が手にかけた子供の母親で……。青年役に原嘉孝、青年と対峙する母親役に那須佐代子、語り手の施設職員役にモダンスイマーズの津村知与支、殺された息子役に新垣亘平がキャスティングされた。

詩森は本作のタイトルがカート・ヴォネガットの「スローターハウス5」へのオマージュだと明かし、「ヴォネガットは『戦争は子供を奴隷にする』との言葉を残していますが、いまや社会全体が子供を奴隷にするシステムなのではないか。わたしたちの稽古場でのもがきが、そのシステムに例え糸ほどの儚い亀裂でいいから走らせることができたらと願います」とコメント。また開幕に際しては「ここからは俳優たちに託します。彼らが舞台のうえでただ向き合い対話をすることでしか成しえない物語がひとつここにあります。立ち会っていただけたらと思います」と観客にメッセージを送った。公演は7月23日まで行われる。

詩森ろばコメント

hedge1-2-3でご一緒した原嘉孝さんとお話しするなかでこの物語は始まりました。そして参加してくれた俳優たちによって、言葉も演出も磨かれていきました。未熟だった戯曲は何度も何度も修正され、その修正された箇所が「これは要らないかもしれないね」とカットされ、解釈自体も何度も上書きされながら、創ってきました。もがきながら。それはこの題材なのですから、もがかないというのは無理難題なのですが、このメンバーでもがけた一か月はとても大切な時間でした。

タイトルは敬愛する作家カート・ヴォネガットの作品「スローターハウス5」へのオマージュです。ヴォネガットは「戦争は子供を奴隷にする」との言葉を残していますが、いまや社会全体が子供を奴隷にするシステムなのではないか。わたしたちの稽古場でのもがきが、そのシステムに例え糸ほどの儚い亀裂でいいから走らせることができたらと願います。

いよいよ、開幕します！ ここからは俳優たちに託します。彼らが舞台のうえでただ向き合い対話をすることでしか成しえない物語がひとつここにあります。立ち会っていただけたらと思います。