SDGsにダンスでアプローチ、K-BALLET Optoの第2弾「プラスチック」開幕

6

80

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 16 57
  • 7 シェア

K-BALLET Opto「プラスチック」が本日1月8日に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 ホールで開幕。昨日7日にゲネプロが行われた。

K-BALLET Opto「プラスチック」、「ペットボトル迷宮」より。(Photo by Nicholas Mackay / Mackay Productions)

K-BALLET Opto「プラスチック」、「ペットボトル迷宮」より。(Photo by Nicholas Mackay / Mackay Productions)

大きなサイズで見る(全6件)

「プラスチック」はKバレエカンパニーの熊川哲也芸術監督とBunkamuraによるプロジェクト・K-BALLET Optoの第2弾。今作ではプラスチック汚染問題に着目したドラマチックバレエ「ペットボトル迷宮」と「ビニール傘小町」が2本立てで上演される。

K-BALLET Opto「プラスチック」、「ペットボトル迷宮」より。(Photo by Nicholas Mackay / Mackay Productions)

K-BALLET Opto「プラスチック」、「ペットボトル迷宮」より。(Photo by Nicholas Mackay / Mackay Productions)[拡大]

まずは、アレッシオ・シルヴェストリンが台本・演出・振付・衣裳デザインを手がけ、舞台美術にも携わる「ペットボトル迷宮」が上演された。舞台は“天地が赤く染まった”とある浜辺。バッハの「前奏曲とフーガ ホ短調 BMW548『楔』」の旋律に乗せて、ダンサーたちがスピード感あふれるシャープな踊りを次々と披露する。そこへ、ジュリアン・マッケイ演じる若き僧ジュリアンが現れて……。

中盤では、手脚にペットボトルをくくりつけた“ペットボトルの精”たちが登場。しなやかな動きに反して、ペットボトルがキュキュッと軋む音を立てると、まるで生き物の鳴き声のように感じられた。またペットボトルの空き容器で作られた可動式の衝立が、ある時は煌めく水泡のように、またある時は無機質な壁となって空間に変化を与える。さらにラストは、ペットボトルを使った巨大なメッセージが掲げられた。

K-BALLET Opto「プラスチック」、「ビニール傘小町」より。(Photo by Nicholas Mackay / Mackay Productions)

K-BALLET Opto「プラスチック」、「ビニール傘小町」より。(Photo by Nicholas Mackay / Mackay Productions)[拡大]

後半は、渡辺レイが振付・演出・舞台美術を担当する「ビニール傘小町」が披露された。三島由紀夫「近代能楽集『卒塔婆小町』」と太田省吾「小町風伝」を原案に、高野泰寿が企画・構成・台本を手がける本作では、“かつて愛された”ビニール傘と、“かつて美しかった”老婆が二重に描かれる。そこへポリ袋の衣裳を着た神々が現れて……。

劇中では、夢と現を行き来する老婆の時間が、コミカルかつシニカルに描かれる。一見すると無情に感じられる展開だが、そこまで残酷さを感じないのは、物語の軸となる白石あゆ美の豊かな演技力によるところが大きいだろう。また、舞台美術を絡めたダイナミックなラストシーンは必見だ。開幕に際し渡辺は「『プラスチック』という共通のテーマを扱った2作品ですが、それぞれ対照的に仕上がっていて見応えがあります」「両作品ともバレエ経験の有無を問わず楽しめる作品になったのではないでしょうか。ぜひ劇場でご覧ください」とコメントした。上演時間は休憩を含む約1時間50分。公演は明日1月9日まで。

渡辺レイ コメント

K-BALLET Opto第2弾がいよいよ開幕します。「プラスチック」という共通のテーマを扱った2作品ですが、それぞれ対照的に仕上がっていて見応えがあります。

「ペットボトル迷宮」は抽象的でバレエらしい動きがふんだんに盛り込まれ、ダンサーたちの力量が問われる作品。ビジュアルもとても美しいです。

一方「ビニール傘小町」は物語の構成がしっかりしており、エモーショナルで演出面の見どころもたくさんつまっています。制作過程では一貫性を重視しつつも、映画を撮るような感覚でシーンごとに構想を練ったので、飽きることなく最後まで楽しめると思います。

両作品ともバレエ経験の有無を問わず楽しめる作品になったのではないでしょうか。

ぜひ劇場でご覧ください。

この記事の画像(全6件)

K-BALLET Opto「プラスチック」

2023年1月8日(日)・9日(月・祝)
神奈川県 KAAT神奈川芸術劇場 ホール

「ペットボトル迷宮」

振付・演出・台本:アレッシオ・シルヴェストリン
企画:高野泰寿
出演:ジュリアン・マッケイ飯島望未日高世菜、堀内將平、成田紗弥 ほかKバレエカンパニー

「ビニール傘小町」

振付・演出:渡辺レイ
企画・構成・台本:高野泰寿
原案:三島由紀夫「近代能楽集『卒塔婆小町』」 / 太田省吾「小町風伝」
出演:白石あゆ美、石橋奨也、山本雅也、小林美奈、杉野慧 ほかKバレエカンパニー

※日高世菜の「高」ははしご高が正式表記。

全文を表示

読者の反応

  • 6

K-BALLET COMPANY @kballetofficial

【掲載✒︎】本日開幕の「 #プラスチック 」公演に関する記事が公開。

#Kバレエ #Kバレエオプト #ジュリアンマッケイ https://t.co/pt286SEc8d

コメントを読む(6件)

関連記事

Kバレエカンパニーのほかの記事

リンク

このページは株式会社ナターシャのステージナタリー編集部が作成・配信しています。 Kバレエカンパニー / ジュリアン・マッケイ / 飯島望未 / 日高世菜 / 渡辺レイ / 三島由紀夫 / 太田省吾 / 小林美奈 の最新情報はリンク先をご覧ください。

ステージナタリーでは演劇・ダンス・ミュージカルなどの舞台芸術のニュースを毎日配信!上演情報や公演レポート、記者会見など舞台に関する幅広い情報をお届けします