「七月大歌舞伎」市川海老蔵、ぼたん・勸玄との親子共演に「とにかくうれしい」と破顔

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「七月大歌舞伎」に出演する市川海老蔵の取材会が、昨日6月23日に東京都内で行われた。

左から堀越勸玄、市川海老蔵、市川ぼたん。

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「七月大歌舞伎」第2部ポスター

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海老蔵は「七月大歌舞伎」の第2部に出演。「夏祭浪花鑑」では団七九郎兵衛、「雪月花三景」では仲国を勤める。なお、「夏祭浪花鑑」には海老蔵の長男・堀越勸玄が伜市松役で、「雪月花三景」には長女・市川ぼたんが女蝶の精役、勸玄が男蝶の精役で登場する。

「夏祭浪花鑑」より市川海老蔵扮する団七九郎兵衛。(c)松竹

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海老蔵は、「夏祭浪花鑑」の団七九郎兵衛役を中村勘三郎に教わったと話す。「勘三郎のお兄さんの『夏祭浪花鑑』は、拝見するたびに『素敵だな、いつかやりたいな』と思っていました。あるとき、お兄さんに役を教えてほしいとお伝えしたら、きっと断るつもりだったんでしょうね、『(自身が滞在する)アリゾナまで来たら教えてやる』と言われて。そこで僕はアリゾナまで行って、教えていただきました(笑)。お兄さんからは、『(団七九郎兵衛は)男の絞りきった汁だから。それが出るようにがんばれ』と教わりました」と懐かしそうに振り返る。

市川海老蔵

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「雪月花三景」は、成田屋ゆかりの新歌舞伎十八番の舞踊劇。海老蔵は本作で親子3人がそろって共演することを「とにかくうれしい。3人で歌舞伎座に立つことを夢見て準備をしてきました」と笑顔で述べる。ぼたんが歌舞伎座の舞台に立つのは、2017年に1日限りで行われた「河東節開曲三百年記念演奏会」以来のことで、歌舞伎座の本興行に出演するのは今回が初めてとなる。「雪月花三景」は、2020年に新橋演舞場でも上演され、ぼたんは胡蝶の精で出演した。「彼女の舞踊に対する姿勢はとても真面目で、高いレベルまで磨き上げている。彼女には期待しています」と言葉に力を込める。

左から堀越勸玄、市川海老蔵、市川ぼたん。

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11・12月には「十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台」が控えており、同公演で海老蔵は十三代目市川團十郎白猿、勸玄は八代目市川新之助を襲名する。襲名公演は2020年に行われる予定だったが、新型コロナウイルスの影響により延期になっていた。海老蔵は、襲名の延期に勸玄が落胆していたことを明かしつつ「現在、彼のやる気スイッチが入ったようで、襲名披露に向けて稽古をがんばっています。成長した姿を皆様に披露すべく、勸玄は襲名公演で、歌舞伎を知っている方が『えっ、印刷ミスかな!?』と思うような演目に出演する予定です(笑)」とファンの期待を煽った。さらに自身については「25歳のときに襲名した海老蔵という名前は、多くの方によく知っていただいていますし、愛着はあります。自分のことだけを考えたら、海老蔵のままでいいのかもしれませんが、團十郎という大きな名前を相続するのは、“歌舞伎”という伝統文化のためでもあります」と思いを述べた。

左から堀越勸玄、市川海老蔵、市川ぼたん。

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取材会のあとは、ぼたんと勸玄も登場し、囲み取材が行われた。勸玄は、レポーターに「やる気スイッチは入ってますか?」と聞かれると、照れくさそうに「わからない」と回答し、「稽古は楽しいですか?」という質問には「うん」と頷いてみせた。ぼたんは「歌舞伎座に出させていただけることがうれしい」とほほ笑む。海老蔵は、「雪月花三景」の稽古について「この人(ぼたん)は、一度出演していて内容を把握しているので、注意するところがあまりない。(『雪月花三景』に初めて出演する)勸玄も、お姉さんと一緒に一生懸命やっています。アドバイスする点としては、『春興鏡獅子』の胡蝶と同様に『蛾にならないようにね』と。『蛾と蝶の違いはなんだろう』と話しながらやっています」と語る。

市川ぼたん

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堀越勸玄

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話題が、“子供から見た海老蔵”に移ると、ぼたんは「(『團菊祭五月大歌舞伎』での)『暫』もそうでしたが、舞台でのお父さんは本当にその役に見えてすごい。家でのお父さんは、優しくてかわいらしいです」とコメント。かわいいポイントを聞かれたぼたんが「一緒にゲームしているとき」と話すと、勸玄が「お父さんはゲームに勝ったとき、頭から足の先までうれしさを表現する。ずっと喜ぶから大人気ない!」と続き、ぼたんが「私には、そこがかわいい」とにっこりすると、海老蔵は勸玄に「物の見方の違いだよ(笑)」とニヤリと笑った。

左から堀越勸玄、市川海老蔵、市川ぼたん。

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最後に勸玄が「堀越勸玄としては本公演が最後になります。ぜひ皆様観に来てください。精一杯がんばります!」と意気込みを語ると、海老蔵は「観に行くよっ!」と合いの手を入れ、報道陣を笑わせる。ぼたんは「『雪月花三景』で、蝶の精を一生懸命踊らせていただきます」と言葉に力を込め、海老蔵は「ぼたんも含めて、3人で歌舞伎座で1カ月の公演に挑むのは初めてのこと。一生懸命舞台に集中して勤めます。よろしくお願いいたします」と語った。「七月大歌舞伎」は、7月4日から29日まで歌舞伎座にて。

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「七月大歌舞伎」

2022年7月4日(月)~29日(金)
東京都 歌舞伎座

第1部

「三代猿之助四十八撰の内 通し狂言『當世流小栗判官』市川猿之助 市川笑也 天馬にて宙乗り相勤め申し候」

原作:近松門左衛門、文耕堂・竹田出雲、勝諺蔵
脚本:奈河彰輔
補綴・演出:石川耕士
演出:市川猿翁

出演
小栗判官 / 浪七:市川猿之助
照手姫:市川笑也
矢橋の橋蔵 / 横山太郎:坂東巳之助
万屋娘お駒 / 岡村采女之助:尾上右近
横山三郎:市川男寅
遊行上人弟子一真:寺嶋眞秀
横山次郎:市川青虎
横山太郎女房浅香:中村梅花
旅女房およし:市川寿猿
後家お槙:市川笑三郎
横山大膳:市川猿弥
鬼瓦の胴八:市川男女蔵
浪七女房お藤 / 上杉安房守:市川門之助
遊行上人:中村歌六

第2部

一、「『夏祭浪花鑑』住吉鳥居前 三婦内 長町裏」

作:並木千柳、三好松洛

出演
団七九郎兵衛:市川海老蔵
一寸徳兵衛:市川右團次
お梶:中村児太郎
琴浦:中村莟玉
伜市松:堀越勸玄
玉島磯之丞:大谷廣松
下剃三吉:市川九團次
三河屋義平次:片岡市蔵
おつぎ:市川齊入
堤藤内:市村家橘
お辰:中村雀右衛門
釣舟三婦:市川左團次

二、「新歌舞伎十八番の内『雪月花三景』仲国」

出演
仲国:市川海老蔵
女蝶の精:市川ぼたん
男蝶の精:堀越勸玄
虫の精:市村竹松
同:大谷廣松
同:市川男寅
同:中村莟玉
同:市川九團次
小督局:中村児太郎
仲章:中村種之助
八条女院:中村福助

第3部

「風の谷のナウシカ 上の巻 ―白き魔女の戦記―」

原作:宮崎駿(徳間書店)
脚本:丹羽圭子、戸部和久 
演出:G2、尾上菊之助
演出・振付:尾上菊之丞
協力:スタジオジブリ

出演
クシャナ:尾上菊之助
ナウシカ:中村米吉
アスベル / 口上:尾上右近
ケチャ:中村莟玉
幼い王蟲の精:尾上丑之助
幼きナウシカ:寺嶋知世
ラステル:上村吉太朗
クロトワ:中村吉之丞
ミト:市村橘太郎
トルメキアの王妃:上村吉弥
ジル:河原崎権十郎
城ババ:市村萬次郎
チャルカ:中村錦之助
ユパ:坂東彌十郎
マニ族僧正:中村又五郎

※2022年7月19日追記:新型コロナウイルスの影響で、7月18日の第1部「當世流小栗判官」、19日の全プログラムが中止になりました。

※2022年7月22日追記:新型コロナウイルスの影響で、7月19日以降の全公演が中止になりました。

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