「歌劇『400歳のカストラート』<再演>」が、6・7月に東京・愛媛・三重で上演される。その取材会が、本日4月26日に東京・東京文化会館で行われた。
歌劇「400歳のカストラート」は、2020年2月に東京文化会館で初演された作品。本作では企画原案・選曲をカウンターテナー歌手の藤木大地、脚本・演出・美術を人形劇俳優で演出家の
本日の取材会には藤木、平、大和田獏、大和田美帆が出席。藤木は、コロナ禍の初期に行われた初演を「『あれが最後の舞台でも悔いはない』と思うくらい、良いものを作れた」と振り返る。神奈川・横浜みなとみらいホールのプロデューサーでもある藤木は「劇場が社会に何を発信するか、劇場同士がつながって何ができるかということに興味がある」と述べ、3カ所での再演の実施を「2018年の夏、東京文化会館からの電話で始まったこの企画が大きく広がってうれしい」と喜んだ。また藤木はクラシック音楽の普及について、「クラシックは敷居が高くても良いと思っています。クラシックを聴いてもらえれば、若い方にもその素晴らしさや、敷居が高いことの良さも伝えられるはず。その良さをお届けすることが僕らの役割」と話し、上演に際して「すべての方の記憶に残る2時間20分になれば」とコメントした。
平は、バロックから現代まで、クラシックのさまざまな楽曲を取り入れた本作について、「一言で表すと、“壮大なるジュークボックスオペラ”」「約2時間20分の中に400年の時を入れ込むのは至難の業でした」とコメント。さらに平は「オペラの演奏は生音でお届けするので、全身が音楽に包まれる感覚を味わえる。そこに獏さんと美帆さんの朗読が絡んで……もううっとり!」と本作の音楽の素晴らしさを熱く語りつつ、「この作品で私は初めて裏方に徹しました。観客の代表として客観視することを心がけて取り組み、本番は授業参観のような気持ちで祈るように舞台を観た(笑)。自分が演じる以上に消耗したけど、それだけに愛着があります」と目を細める。再演に向けて平は「“人形に命を吹き込む”という言い方がありますが、僕は“人形の命を引き出す”つもりでいつも人形劇をやってきた。再演では藤木さんの魅力をさらに引き出し、400年をより深く感じてもらえたら」と観客にメッセージを送った。
朗読の2人は初演から続投となる。大和田獏は出演の誘いを、平から大和田美帆を経由して受けたことに触れて、「お受けするか悩んでいたとき、テレビで藤木さんの歌声を聴いて魅せられ、出演を決意した」とエピソードを披露し、初演を「音楽に“乗せられる”と言うのかな。思いもよらぬ感情が生まれ、我ながら意外な朗読ができた」と回顧する。また初演が舞台での親子初共演となったことについて記者が言及すると、大和田美帆が「どうですか!(笑)」と声を上げ、会見場を和ませる。大和田獏は「照れくささや、娘を心配する気持ちはありましたが、非常にリラックスして演じられた」とほほ笑み、上演に向け「オペラの邪魔をしないように(笑)、今回もしっかり朗読したい」と意気込んだ。
以前から平と交流があったという大和田美帆は、表参道の交差点にいたときに、平から電話で出演依頼を受けたと裏話を明かす。さらに大和田美帆は「申し訳ないのですが、オペラやクラシックは敷居が高いイメージでしたし、東京文化会館という施設に対する“壁”も感じていて。でもこの作品の音楽と藤木さんの歌声は、スッと私の心に入ってきました。サーフィンのように音楽に乗り、知らない場所に連れて行ってもらった気がします」と手応えを語る。さらに作品の魅力について、「この舞台は、命を扱っているところも素晴らしい。初演のときは想像できなかったくらい、今は世界中が大変。今後も上演を重ねることで、その時々のお客様にそれぞれ思いを受け取ってもらえるのでは」と分析した。
公演は6月26日に東京・東京文化会館 小ホール、7月3日に愛媛・西条市総合文化会館 大ホール、7月10日に三重・四日市市文化会館 第一ホールで行われる。
東京文化会館 舞台芸術創造事業 / 国内外連携事業「歌劇『400歳のカストラート』<再演>」
2022年6月26日(日)
東京都 東京文化会館 小ホール
2022年7月3日(日)
愛媛県 西条市総合文化会館 大ホール
2022年7月10日(日)
三重県 四日市市文化会館 第一ホール
企画原案・選曲:藤木大地
脚本・演出・美術:
音楽監督・作曲・編曲:加藤昌則
出演
カウンターテナー:藤木大地
朗読:
ピアノ:加藤昌則
ヴァイオリン:成田達輝、周防亮介
ヴィオラ:東条慧
チェロ:上村文乃
大和田美帆 @miho_ohwada
取材していただきました! https://t.co/htEFeAXv4P