「Musical『HOPE』」が、本日10月1日に東京・本多劇場で開幕。これに先駆け本日、フォトコールと取材会が行われた。
韓国芸術総合学校の卒業制作として2017年に誕生し、2019年に韓国で初演された本作は、イスラエルで実際に起こった裁判をモチーフにした法廷劇。今回の日本初演版では、俳優の
エヴァ・ホープ(
フォトコール前半では、本編冒頭が披露された。暗い舞台の中央で、原稿のファイルがぽつんとスポットライトに照らされている。その後ろに原稿の“擬人化”であるKが姿を見せ、そっとファイルを抱きしめると、法廷を模した舞台に8名のキャストが姿を現し、それぞれが裁判で使用される木槌で装置をリズミカルに叩き始める。そのリズムに、ホープと原稿の来歴を綴った「エヴァ・ホープ」のメロディが重なり、舞台は一気に物語の中へ。高橋演じるホープと、小林演じるKが登場し、渋るホープを裁判に向かうよう促すコミカルなナンバー「行かない」と、ホープとの別れを予感したKが歌う「さよなら」が披露された。
フォトコール後半では、高橋と永田扮するKを中心としたキャストたちが、ストーリー後半の楽曲「読まれたことのない原稿と読まれたことのない人生」を披露。Kがホープの心の弱さに踏み込むこの場面では、アンサンブルの迫力あるコーラスと共に緊迫感あるやり取りが展開した。
高橋は疲れたようなしぐさや表情、声音から、ホープが歩んできた人生の苦難をにじませ、一言一言を噛み締めるような力強い歌声で観客を惹きつけた。小林は子犬のように愛らしくホープにまとわりつき、親子であり、恋人でもあるようなホープとKの絆を表現。さらに永田は、射るような強いまなざしをホープに向け、彼女を思うがゆえに突き放そうとするKの悲しみと優しさを表した。
フォトコール後の取材会には、演出の新納、高橋、永田、小林が出席。新納は「今世紀最高の記事をお願いします!(笑)」と記者に呼びかけつつ、緊急事態宣言が発出された昨春を振り返る。新納は昨年3月、本多劇場で4ステージのみ上演された出演作「十二夜」を回顧しながら、「演出家としてこの劇場にカムバックできてうれしい」と感慨深げに話す。「HOPE」については「ホープの人生からは生きることの大切さや、いかに生きるべきかということを考えさせられる。今は“心を動かす”ということすら自粛させられている状況ですが、心を動かせるのは人間の特権です。ぜひ劇場でこの物語を味わってください」とコメントした。
今回初めて本格的にミュージカルに挑む高橋は「演出家が新納さんでなかったら、できなかったかも。いろいろなことを教わった」と新納への感謝を口にする。本作については「生まれる前からやろうと決めていたのではと思うくらい、私にとって“やらなくてはいけない”作品」と言葉に力を込め、「新納さんはよく『裁判を通じて感情を浄化するこの作品はセラピーのようだ』と言っていました。ホープの旅立ちが、私自身にとってもお客様にとっても希望になれば」と思いを述べる。
永田は稽古場でのエピソードとして「新納さんがKとして1曲歌ってくれたこともあった」と紹介し、作品については「タイトル通り、希望が芽生える作品」とコメント。続けて「ミュージカルの経験が少ない僕にとって『HOPE』は挑戦。新しいことに挑むのは勇気がいることですが、『何か始めたい』と思う人の背中を押してくれると思います」とメッセージを送った。
小林は「新納さんが楽しそうにたとえ話をしているのに、座組のみんなはキョトンとしている……ということがありました(笑)。新納さんのユーモアやまとう空気が、座組を温かくしてくれた」と稽古場の様子を明かす。さらに小林は「本多劇場で上演できることを大切にしながら、皆さんの心を浄化できるよう、愛を伝えたい」と意気込みを語った。
会見ではWキャストの永田と小林が、互いの印象を語る場面も。永田は「ご覧の通り亮太からは優しさがあふれています。惠子さんには5歳上の僕が子供で、亮太がお父さんだと言われました。僕は納得してませんけど!(笑)」と笑いを誘う。一方の小林は「稽古帰りや場当たりで、崇人くんと気付いたことを話し合えた。相談相手がいることに感謝しています」とにっこり。永田が「それだけ!? もっと言って良いんだよ!」と小林に続きを求めると、会見場にはひと際大きな笑いが起きた。
「HOPE」の公演は10月17日まで。9日18:30開演回、16日18:30開演回、17日13:00開演回では、PIA LIVE STREAMでの配信が行われる。
なおステージナタリーでは「HOPE」特集として、演出の新納とキャストの高橋、永田、小林による座談会を実施。新納が演出家デビュー作として本作を選んだ理由を述べるほか、キャスト3人が自身の役に対する思いや“演出家・新納慎也”の愉快なエピソードを語っている。「Musical『HOPE』」
2021年10月1日(金)~17日(日) ※永田崇人と小林亮太はWキャスト。
東京都 本多劇場
Book & Lyrics by Kang Nam
Composer & Arrangement by Kim Hyo-Eun
Original Production by R&D Works
上演台本・訳詞・演出:
振付:木下菜津子
音楽監督:落合崇史
出演:
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