本作は、大正時代に実在した人物をモデルに描かれる喜悲劇。大正期、資産家・大鷹家の裏手にあるアトリエには才能ある芸術家たちが集い、お互いに切磋琢磨していた。そんな中、流行り病のスペイン風邪が猛威を振るい、さらに世界恐慌が彼らに追い打ちをかける。芸術家たちはアトリエからの立ち退きを迫られ……。
本作には無名劇団のメンバーに加え、
なお4月17日15:00開演回、18日17:00開演回には、TwitCasting(ツイキャス)を介したライブ配信も実施される。島原からのコメント全文は以下の通り。
島原夏海コメント
2020年は、舞台芸術界にとっても、とても厳しい年だった。
新型コロナが猛威を振るうほどに、「芸術は不要不急」という声が多くあがり、必要性を訴える人たちがSNS等で中傷されるのを度々目にした。「死ぬか生きるかの時に何が芸術だ」と。
たしかに、芸術が万人にとって必要なものだとは思わない。しかしながら、ある人にとっては命が救われるものなのかもしれない。だから私は演劇に携わる者として、臆することなく訴えていきたい。演劇が自分にとってどれほど大切なものであるか。そして私は決して演劇を死なせはしないと。
100年前のスペイン風邪流行時、感染症が蔓延するなか世界恐慌となり、芸術界もまた大きな打撃を受けた。またその直後、世界大戦に突入し、表現の世界は大きな制限を受けた。
太古から幾度となく「不要」とされ、制限を受けても、あらゆる芸術が現在まで受け継がれてきたのは、そこに携わる者の「表現したい」という熱い思いあったからではないだろうか。
私もまた、どのような状況下にあっても、演劇活動を止めない、いや、止められない。
集まるなと言われたら、キャストそれぞれの場所からリモートで上演する。ソーシャルディスタンスを保てと言われたら、近寄らない演出に変える。再びすべてが許される好機が来るのを待つのではなく、今を好機と捉え、自分たちの表現の別の方法を模索する。そうしてとにかく進んだ先に、また自分たちの新たな可能性が見えてくるのではないかと思う。
今回、スペイン風邪流行時のとあるアトリエを舞台に、不景気の中で立ち退きを迫られた芸術家たちの葛藤と、そのような状況下にあっても表現を続け、日常を楽しむ前向きな姿を描くことにより、現代の私たちの決意を表するとともに、今を懸命に生きる人々へのエールとなるような作品にしたいと考えている。
会場は大正期に建てられた大阪市中央公会堂。会場の空気感と歴史の深さを感じとり、大正期、厳しい状況のなか奮闘した実在の人物達を通して、現代社会を表現したい。
ステージナタリー @stage_natalie
無名劇団、大正時代の芸術家とスペイン風邪描く「波高けれども晴天なり」に尾形大吾(コメントあり)
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