本作は手塚治虫のマンガ「奇子」を原作とした舞台作品。作中では、青森県で500年の歴史を誇る大地主・天外一族の欲望の果てに産み落とされた少女・奇子を巡る物語が展開する。一族の体面のため土蔵の地下室で育てられた奇子は、やがて性に対して奔放な成人女性として世に放たれ……。
ステージ上には急な斜面や、穴倉をイメージした不気味な舞台美術が設置されている。赤を基調とした衣装を身に着けた出演者たちは、コンパクトな舞台の空間の中で濃密なやりとりを見せ、奇子が閉じ込められていた土蔵の地下室の空気や、欲望のままに家族の人生を搾取する天外一族に漂う閉塞感を表現した。
ゲネプロ後に行われた囲み取材には、上演台本・演出の中屋敷と、五関、そして天外一族の長男・市朗役の
本作の舞台化を長年切望していたという中屋敷は「『奇子』を読みながら育ちました」と“原作愛”を語り、「好きな俳優さんが僕の好きな演出で『奇子』の舞台をやってくれるなんて、夢かと思って……」と感慨深げに述べる。7月14・15日に行われた茨城・水戸芸術館 ACM劇場でのプレビュー公演を経ての東京公演には、「五関くんがカッコよくて。プレビューが終わってから、五関くんをまた見られる今日が本当に待ち遠しかった」と期待を寄せ、「お客さんは厳しい目で観てくださると思うから、がんばって!(笑)」と五関にエールを送った。
また中屋敷は五関の印象を問われると、「彼は文句を言いません。難しいだろうなと思いながら要求したことも、ノリノリでやってくれた」と回答。続けて「善さんにはすぐに困った顔をされてしまうんですが……(笑)」と梶原に水を向けると、梶原は「舞台上に斜面を作ったとき、『危ないから角度を抑えましょう』と僕は言ったんです。でもみんな、斜面を使った演技も余裕でこなしていて……言わなきゃよかった!(笑)」と明かして記者たちを笑わせた。
最後に五関が「それぞれのキャラクターの欲や、目を疑うような行為が怒涛の勢いで押し寄せてきます。劇場にいらっしゃるときは一緒に穴倉に入ったつもりで、ドキドキ、ザワザワ、ゾクゾクしてください」とメッセージを送り、取材は終了した。
なお本作には
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手塚治虫生誕90周年記念事業 PARCOプロデュース2019 舞台「奇子(あやこ)」
2019年7月14日(日)・15日(月・祝)※プレビュー公演
茨城県 水戸芸術館 ACM劇場
2019年7月19日(金)~28日(日)
東京都 紀伊國屋ホール
2019年8月3日(土)・4日(日)
大阪府 サンケイホールブリーゼ
原作:
上演台本・演出:
キャスト
天外仁朗(次男):
天外伺朗(三男):
下田波奈夫(刑事):
奇子:
天外すえ(長男の妻):
天外志子(長女):
おりょう:
山崎(親戚の医師):
天外市朗(長男):
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