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藤田俊太郎が英語でスピーチ、日英共同制作公演で「観客の皆さんと旅したい」

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肩を組むトム・サザーランド(左)と藤田俊太郎(右)。

肩を組むトム・サザーランド(左)と藤田俊太郎(右)。

梅田芸術劇場とイギリス・ロンドンのチャリングクロス劇場による共同プロデュース公演、ミュージカル「VIOLET」の記者会見が本日9月12日に東京都内で行われ、同作の演出を手がける藤田俊太郎と、チャリングクロス劇場芸術監督のトム・サザーランドが登壇した。

本企画は、日本とイギリスが共同で企画・制作した公演を、演出家はそのままに、“英国キャスト版”と“日本キャスト版”を各国の劇場で上演するというもの。このプロジェクトの第1弾として上演されるのは、「ファン・ホーム」のジニーン・テソーリが音楽を、ブライアン・クロウリーが脚本・歌詞を手がけた「VIOLET」だ。本作では、幼い頃に事故で顔に大けがを負った25歳の女性ヴァイオレットが、あらゆる傷を治すという奇跡の宣教師に出会うために旅をする姿が描かれる。

会見冒頭ではまず、梅田芸術劇場の村田裕子氏が本企画の詳細を説明。2015年に上演された「プリンス・オブ・ブロードウェイ」がきっかけで、本プロジェクトのアイデアが生まれたことや、15年に同社が制作したミュージカル「タイタニック」が契機となりトムと出会ったこと、今回の「VIOLET」を足がかりに、今後も継続的に本プロジェクトを進めていく予定であることなどが明かされた。

続いてトムが「今回、この企画にお迎えいただけて本当に光栄です。また藤田さんをロンドンにお連れすることができてうれしい。人種や文化、言語をも超越できるのが演劇だと思っているので、『VIOLET』をはじめ、国際的な作品を残していきたい」と挨拶すると、藤田も英語でスピーチを披露し、集まった報道陣を驚かせる。スピーチの途中、「カンニングペーパ……ソーリー!」とはにかみながら手元のメモを見返しつつ本企画にかける熱い思いを述べ、藤田は英語での挨拶を終えた。

来年19年のロンドン公演に先駆け、現地を訪れたと言う藤田は「チャリングクロス劇場の芸術監督であるトムと、マネージング・ディレクターのスティーブン・M・レヴィ。この2人が作り出すクリエイティブな空気と、同劇場の歴史ある建物に感銘を受けました」と瞳を輝かせる。これを受け、トムは「チャリングクロスは、お客さんも作品の一部になるような濃密な空間であることが特徴的な劇場。まさにこの『VIOLET』は、チャリングクロスで上演するのにぴったりの作品だと思いました」と自信を見せた。

また藤田は、1960年代にアメリカで起こった公民権運動が本作の背景になっていることに触れ、現在のアメリカ政権の動きに言及しながら、「今、この『VIOLET』を上演することに価値があると思います」と真剣な表情で語る。さらに藤田は、主人公・ヴァイオレットの足跡をたどるべくアメリカに渡り、ノースカロライナ州からオクラホマ州まで長距離バスで旅をしたと話し、「チャリングクロス劇場そのものを“バス”のように仕立てて、観客の皆さんと旅をしていきたい。日本での上演は19年以降を予定していますが、皆さんぜひロンドンにも足を運んでみてください」と笑顔で呼びかけた。

会見中2人は、互いの演出作を観劇した際の感想や、「自分の人生のすべてが演劇」と語り合うなど、すでに息ぴったりの様子。会見終盤、改めて意気込みを問われた藤田は「僕が今回お引き受けしたのは、『いい作品を観たい』『いい作品を作りたい』と言うシンプルな思いから。この作品を通して、演劇が現代を照らし出す鏡であり続けることができるか?という問いに挑戦したいです」と意欲を見せた。

ミュージカル「VIOLET」のプレビュー公演は、19年1月14日から20日までチャリングクロス劇場で実施され、本公演は翌21日から4月6日まで行われる。

ミュージカル「VIOLET」

プレビュー公演

2019年1月14日(月・祝)~20日(日)
イギリス ロンドン チャリングクロス劇場

本公演

2019年1月21日(月)~4月6日(土)
イギリス ロンドン チャリングクロス劇場

原作:ドリス・ベッツ「The ugliest pilgrim」
脚本・歌詞:ブライアン・クロウリー
演出:藤田俊太郎
音楽:ジニーン・テソーリ

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