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「しゃばけ」第3弾が開幕、植田圭輔「好きな気持ちが私欲にならないよう」

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「ミュージカル『しゃばけ』参 ~ねこのばば~」ゲネプロより、中村誠治郎演じる仁吉(左)、植田圭輔演じる一太郎(中央)。

「ミュージカル『しゃばけ』参 ~ねこのばば~」ゲネプロより、中村誠治郎演じる仁吉(左)、植田圭輔演じる一太郎(中央)。

本日4月28日、「ミュージカル『しゃばけ』参 ~ねこのばば~」が東京・シアターサンモールで開幕。これに先駆け昨日27日に公開ゲネプロと初日前挨拶が行われた。

本作は畠中恵のファンタジー時代小説シリーズを原作とするミュージカルの第3弾。過去作に引き続き、今回も脚本・作詞を神楽澤小虎、演出・音楽を浅井さやかが手がける。出演者には、若だんなこと一太郎役の植田圭輔をはじめ、中村誠治郎藤原祐規福井将太法月康平石坂勇らが名を連ねた。また本公演には、ねこまた役として日替わりで阿澄佳奈加藤良輔川隅美慎桑野晃輔椎名鯛造鈴木裕斗芹沢尚哉廣野凌大深澤大河古谷大和松村龍之介が登場。ゲネプロには廣野が参加した。

薬種問屋・長崎屋の病弱な若だんなこと一太郎は、大切にしていた“桃色の雲”を失くしてしまう。落ち込む一太郎だったが、猫又たちに「妖封じで有名な広徳寺の寛朝和尚に仲間が捕まってしまった」と助けを求められ、久しぶりに外出することになった。過保護な手代の仁吉(白沢)、屏風のぞき、守狐を伴い、一太郎が広徳寺を訪れると、そこで彼らは僧侶の死体を発見してしまう。長崎屋一行が下手人を捜そうとすると、寛朝が一太郎に取引を持ちかけてきて……。

植田は柔らかな語り口で心優しい一太郎を表現する。その一方で、こっそりと布団を抜け出して犯人捜査に乗り出したり、明晰な推理を披露したりする場面では、穏やかな微笑みで一太郎の強かさを体現した。中村は冷静沈着な仁吉としてクールに振る舞いつつも、一太郎の危機に際しては、怒りや動揺をあらわにするなど感情豊かに演じ、一太郎との絆の深さを感じさせた。藤原と福井演じる屏風のぞきと守狐は、息の合った掛け合いで会場の笑いを誘いながら自由奔放に物語をかき回す。藤原は全面に赤と白の市松模様があしらわれた華やかな着物でコミカルに、福井は腰に付いた白い尻尾を揺らしながら全身を使って軽やかに動き、時折観客も巻き込んで物語を牽引した。

秋英役の法月は伸びやかな歌声で観客を魅了。寺での修行の苦労を、僧侶たちを率いて歌い上げる場面では、時折観客に合掌しながら客席通路を歩き回り、パワフルな歌唱で会場を大いに盛り上げた。また石坂は、一見すると一癖も二癖もあるが、実は優しい心を持つ寛朝を堂々と演じる。ソロナンバーでは法月演じる秋英の箒を奪い、不敵な笑みを浮かべながら貫禄たっぷりのパフォーマンスを繰り広げた。

ゲネプロの終演後には、キャストが初日に向けて意気込みを語った。廣野は「日替わりコーナーでは好きにやらせていただくので、毎公演来てくださるお客様にも、その日だけ観てくださるお客様にも、(日替わりを)アクセントとして『しゃばけ』を楽しんでいただけたら」と元気いっぱいにコメントする。本シリーズの過去作品にも出演している福井は「今回はこれまでで一番、ショー要素やダンスナンバーが多い。日替わりのねこまたを女性が演じる日もあります。毎回違った作品になると思うので、楽しんで」と見どころをアピールした。

初参加の法月は「今までの『しゃばけ』はほっこりした世界観でしたが、今回は少しピリッとお芝居で見せる部分も作りたい」と意気込んだ。法月と同じく初出演の石坂は、「『あの年寄りいらなかったんじゃね?』と言われないように精一杯がんばりたい(笑)」と述べ、記者たちの笑いを誘う。さらに石坂は「役者がやれることは、スタッフと共に稽古場で積み上げてきました。あとはお客様に観ていただくことで作品が完成すると思っています」と、出来栄えに自信をのぞかせた。

「1作目よりも一太郎と仁吉のことがわかってうれしかった。作品の世界がより深まった」と感想を述べるのは藤原。藤原は法月の発言に触れながら、「さっき法月が『ピリッと』と言っていましたが、僕ら2人(屏風のぞきと守狐)は『ふわっと』させることをがんばって、物語に華を添えられたら」と笑顔で抱負を語った。中村はシリーズ1作目で共演した滝川英治演じる犬神・佐助の不在に言及し、「佐助がいない分、2人分を1人でがんばって(植田)圭輔を支えたい。最後までお客様に一番楽しんでもらえる舞台を、一生懸命、全身全霊を込めて作っていきたいです」と真摯なまなざしで目標を明かした。

植田はシリーズが3作目に突入したことへの喜びに笑顔を見せる。さらに「大切なもの、きれいなものを独り占めしたいと思う気持ちがいつかすすけてしまわないように」と作中のセリフに触れながら、「お芝居が好き、この作品が好きだという気持ちが私欲にならないよう、あくまでもお金を払ってきてくださるお客様に届けるものであるということを自覚し、今まで(作品を)紡いできてくれた人たちの気持ちを積んで、『しゃばけ』を届けていけたら」と言葉に力を込めた。

上演時間は休憩15分を含む約2時間5分。公演は4月28日から5月7日まで東京・シアターサンモール、5月19・20日に大阪・大阪ビジネスパーク円形ホールで行われる。

なおこのたび、本公演のDVDとライブ録音のCDがリリースされることが決定した。発売は10月31日の予定。5月20日までの公演期間中に通販サイト・CLIE TOWNでDVDを予約すると、全日替わりゲストによるねこまた出演シーンを収録したDVDがもれなくプレゼントされる。さらに同サイトで公演期間中にDVDとCDを同時に予約購入したユーザーには、メインキャスト6名の舞台写真6枚セットが贈られる。

「ミュージカル『しゃばけ』参 ~ねこのばば~」

2018年4月28日(土)~5月7日(月)
東京都 シアターサンモール

2018年5月19日(土)・20日(日)
大阪府 大阪ビジネスパーク円形ホール

原作:畠中恵「しゃばけ」シリーズ(新潮社)より「ねこのばば」所収「ねこのばば」
脚本・作詞:神楽澤小虎
演出・音楽:浅井さやか

キャスト

一太郎(若だんな):植田圭輔
仁吉:中村誠治郎
屏風のぞき:藤原祐規
守狐:福井将太
秋英:法月康平
寛朝:石坂勇
あきつ来野良、市川真也、田中大地、松山祐樹

日替わりねこまた(出演日順):廣野凌大(4月28日)、桑野晃輔(4月29日)、深澤大河(4月30日)、鈴木裕斗(5月1日)、阿澄佳奈(5月2日)、松村龍之介(5月3日)、芹沢尚哉(5月4日)、古谷大和(5月5日)、椎名鯛造(5月6日)、川隅美慎(5月7日)、加藤良輔(5月19・20日)

(c)2001 畠中恵/新潮社 (c)2018 CLIE

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