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長塚圭史、ピランデッロ作品の虚構性と対峙「作者を探す六人の登場人物」開幕

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KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「作者を探す六人の登場人物」より。(撮影:岡千里)

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「作者を探す六人の登場人物」より。(撮影:岡千里)

長塚圭史演出による「作者を探す六人の登場人物」が、昨日10月26日に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオで開幕した。

長塚がKAAT神奈川芸術劇場のプロデュースで初演出するのは、イタリアの劇作家ルイージ・ピランデッロが1921年に発表した作品。ある劇団が稽古をしているところに、作者に拒絶され、見捨てられた行き場のない“登場人物”たちが訪ねて来る。はじめは呆れていた座長や劇団員たちだったが、6人のエピソードに耳を傾けるうちに、次第に彼らのドラマに魅せられていき……。

自分たちの物語を表現してくれる作家を探す“登場人物”を演じるのは、山崎一草刈民代安藤輪子、コンドルズの香取直登、みのり、佐野仁香、藤戸野絵。父親役を山崎、母親役を草刈、継娘役を安藤、息子役を香取が務め、男児役をみのり、女児役を佐野と藤戸がWキャストで演じる。

一方劇団員役には、ペンギンプルペイルパイルズの玉置孝匡、劇団ぼるぼっちょの碓井菜央、中嶋野々子、水島晃太郎、並川花連、モモンガ・コンプレックスの北川結、マサオプションの美木マサオ、そして岡部たかしがキャスティングされ、主演俳優役を玉置、主演女優役を碓井、座長役を岡部が担当。また“登場人物”と劇団員双方に多大なインパクトを与えるマダーマ・パーチェ役を平田敦子が務めるほか、本作のスタッフ陣も一部出演する。

ダンサーとして活躍するキャストが多く登場する本作では、劇団員たちが会話を交わすシーンの中に、自然に溶け込むようにダンスパートが織り込まれているほか、山崎や安藤ら“登場人物”のキャストは、自分たちが持つ物語を“生きたい”と願う彼らの切実な思いを吐き出すように、1つひとつのセリフに熱を込めて“登場人物”を体現した。

10月25日に行われたゲネプロののち、取材に応じた長塚は「舞台上に“虚構の劇場”が存在しているという、いわゆるトイシアターを大きくしたような形状になりました」と舞台機構について説明。続けて、「もちろん舞台が好きなお客さんもそうですが、俳優だったり、演出家だったり、演劇をやっている人ほど、『自分たちは今、何を観ているんだろう』『(舞台上で起こっていることに対して)何を信じたらいいんだろう』と何とも言えない気持ちになるかもしれませんね」と本作が持つ虚構性に言及した。

また劇中で繰り広げられるダンスシーンにも触れ、「踊ってお芝居をして、お芝居をして踊って、といったようにダンスのシーンと会話のシーンが分離するのではなく、2つの要素が融合したほうが面白くなると思っていて。“身体から考える人たち”が出演することによって、違った世界が立ち上がってきたので、マニアックではあるけど、とても面白い試みになったと思います」と手応えを明かし、「振付の平原(慎太郎)くんが作品を底上げしてくれました」と笑顔を見せる。

さらにオーディションで選出された3人の子役については、「(安藤)輪子と(香取)直登とワークショップしながら選んだ自慢の子役です(笑)」と自信いっぱいの様子で語り、「山崎さん、岡部さんをはじめ、キャストは意識を張りめぐらせながら出ずっぱりだから大変だと思うのですが……実際にお客さんが入ってどうなるか楽しみですね」と思いを語った。公演は11月5日まで。

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「作者を探す六人の登場人物」

2017年10月26日(木)~11月5日(日)
神奈川県 KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオ

作:ルイージ・ピランデッロ
翻訳:白沢定雄
上演台本・演出:長塚圭史
振付:平原慎太郎
出演:山崎一草刈民代安藤輪子、香取直登、みのり、佐野仁香(Wキャスト)、藤戸野絵(Wキャスト)、平田敦子玉置孝匡碓井菜央、中嶋野々子、水島晃太郎、並川花連、北川結、美木マサオ、岡部たかし

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