1971年にトニー賞演劇作品賞を受賞した「スルース~探偵~」は、1972・2007年の2度にわたって映画化されたサスペンス。今回の上演版では、イギリスのミステリー作家、アンドリュー・ワイクを西岡が務め、彼の妻の浮気相手であるイタリア人、マイロ・ティンドル役を新納と
緊迫した空気の中、鳴り響く雷とピアノの音色と共にアンドリュー(西岡)が登場し、自身が書いた探偵ものの推理小説を朗読。続いてアンドリューに呼び出されたマイロ(新納)が、真っ青なスーツに身を包んでアンドリューの豪邸を訪れる。きらびやかな骨董品やアンドリューの著書がところ狭しと並んだ屋敷の中で、一際目を引くのは、等身大の“笑う水夫”の人形だ。アンドリューの操作によって繰り返される人形の不気味な高笑いが、物語の謎を一層深めていく。また大きな振り子時計が時を刻む音や、2人の感情の高まりに伴うように燃え盛る暖炉の炎の揺らめきが、これから起こる不穏な出来事を予感させる。
自宅の金庫に保管してある宝石を、泥棒に扮して盗んでほしいとマイロに相談を持ちかけたアンドリューは、ゲームを楽しむかのようにマイロを翻弄。次第にマイロもアンドリューのペースに巻き込まれていく。泥棒に見合った格好を模索した結果、ピエロの扮装をすることになったマイロを新納がコミカルに演じ切った。泥棒が押し入ったように装うために協力して部屋を荒らす中、気分が高揚した2人は曲芸やダンスを披露。意気揚々と彼らが踊るさまに、客席からは笑いが起きた。なんとか宝石を盗み出すことに成功したマイロだったが、光り輝く宝石とは対照的に、自身の中にくすぶる自身の人種へのコンプレックスが溢れ出す。そして物語は再び不穏な空気を帯び始め……。
歌とダンスを得意とし、シャープな印象が強い新納と、温和な人柄と繊細な演技が持ち味の音尾という、個性の異なる2人によるマイロ像が見どころとなっている本作。また新納、音尾それぞれと対峙する西岡が、2人とどのような掛け合いを見せるか注目だ。
西岡、新納ペアによる“探偵バージョン”の公演は、12月11日まで。また西岡、音尾ペアによる“スルースバージョン”は、12月17日から28日まで同劇場にて上演されたのち、福岡、愛知、宮城でも公演を行う。
「スルース~探偵~」
2016年11月25日(金)~12月28日(水)
東京都 新国立劇場 小劇場
作:アンソニー・シェーファー
演出:
探偵バージョン
2016年11月25日(金)~12月11日(日)
出演:
スルースバージョン
2016年12月17日(土)~28日(水)
出演:西岡徳馬、
2017年1月14日(土)
福岡県 ももちパレス
2017年1月16日(月)
愛知県 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
2017年1月18日(水)
宮城県 電力ホール
出演:西岡徳馬、音尾琢真
※西岡徳馬の「徳」は旧字が正式表記。
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