宝塚月組「雨に唄えば」開幕、土砂降りの中踊る珠城りょう「まつ毛は死守」

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宝塚歌劇月組「ミュージカル『雨に唄えば』」が、本日6月16日に東京・TBS赤坂ACTシアターで開幕。これに先駆け昨日15日、通し舞台稽古と囲み取材が行われた。

宝塚歌劇月組「ミュージカル『雨に唄えば』」囲み取材より、左から美弥るりか、珠城りょう。

宝塚歌劇月組「ミュージカル『雨に唄えば』」囲み取材より、左から美弥るりか、珠城りょう。

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本作は、1952年にアメリカで製作されたジーン・ケリー主演のミュージカル映画をもとに、83年にイギリス・ロンドン、85年にアメリカ・ブロードウェイで上演されたミュージカルコメディ。宝塚歌劇団では10年ぶりの上演となり、03、08年に続いて今回も中村一徳が演出を担当する。月組トップスターの珠城りょうが主人公のドン・ロックウッド役を演じるほか、美弥るりかがドンの親友コズモ・ブラウン役、美園さくらが女優キャシー・セルダン役で出演する。

開演すると、舞台を覆う幕にハリウッドの夜景の映像が投影され、観客を1920年代のアメリカへと誘う。時は1927年、ハリウッドは無声映画の黄金期だ。人気俳優のドンと大女優リナ・ラモントのコンビは映画ファンの憧れの的だった。2人の主演映画の上映会の日、不機嫌なリナにうんざりしたドンは打ち上げパーティに向かう途中、舞台女優を自称するキャシーに出会い……。

サイレント映画がトーキーに移り変わる時代を描く本作。実際に舞台上のスクリーンに映される白黒の映像や、映画撮影所の場面で使用されるカメラや背景パネルが1927年の映画界を思わせる。撮影所で2人きりになったドンとキャシーが心を通わせる場面では、ドンが自ら機材を操作して背景に星空を映し、スモークを焚く。ロマンチックなムードの中、思いが通じ合った2人が見せる美しいダンスをぜひ劇場で堪能しよう。

珠城はダイナミックなダンスと力強い歌声で、映画スターのドンをチャーミングに演じる。1幕ラストでは降りしきる大雨の中で「Singin' in the Rain」を軽やかにパフォーマンスし、会場を沸かせた。美弥演じるコズモは、映画撮影所の場面でさまざまな小道具、装置、衣装を次々と持ち替えて茶目っ気たっぷりに「Make 'Em Laugh」を歌唱し、客席を盛り上げる。コズモがドンと共に披露する華麗なタップダンスにも注目だ。

悪声の持ち主とされるリナ役は、いつもは男役を務めている輝月ゆうまが担当。輝月は甲高い声で好演して観客を笑わせつつ、2幕最後のレビューショーでは燕尾服姿でクールに踊り会場を魅了した。トーキー映画でリナの吹替えを担当するキャシー役の美園は、可憐な笑顔で伸びやかな歌声を響かせつつ、ドンとペアで踊る場面ではしなやかなダンスを披露した。

舞台稽古の終演後に行われた囲み取材には、珠城と美弥が出席。珠城は通し稽古を終えたことに「ほっとしている」と笑顔を見せ、「やることがとても多くてバタバタしていますが、演じていて楽しい作品。ハッピーな気持ちで劇場をあとにしていただけると思います」と自信をのぞかせる。作中のタップダンスシーンについては「“一日一善”ではないですが、るりさん(美弥)と『絶対1日1回はタップシューズを履こう!』と言って2人で毎日練習してきました。その成果を見せられたら」とエピソードを明かして意気込んだ。

宝塚歌劇月組「ミュージカル『雨に唄えば』」囲み取材より、左から美弥るりか、珠城りょう。

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美弥は「梅雨の季節ではありますが、お客様に雨を好きになっていただけるような素敵な作品にするために、りょうちゃん(珠城)を中心にがんばっていきたい」とコメント。自身の演じるコズモのソロ曲「Make 'Em Laugh」については「マラソンのようなナンバーで、大変ですがやりがいがあります。みんなと息が合わないと完成しない場面なので、タイミングなどいろいろと相談しながら稽古してきました。でも観ている方はこちらの大変さは気にせず(笑)、くすっと笑っていただけたら」と笑顔で呼びかけた。

珠城演じるドンが雨の中で歌い踊る1幕のラストシーンに話題が及ぶと、美弥は「私たちも舞台稽古で初めて雨が降っているのを見ましたが、大雨警報が出そうな水の量なので、袖で大丈夫かなと思って見ていました。でも掃けてきたりょうちゃんは『楽しかった!』と言っていて……」とエピソードを明かす。珠城は「土砂降りなので、まつ毛は死守したい」「冷たすぎずぬるすぎず、今の季節にちょうどいい水の温度」と“雨の実感”を語って記者たちの笑いを誘いつつ、「実際水を浴びてみると、うれしくて幸せな気持ちになり、雨も嫌いじゃないかなと思えるようになりました」と感想を述べた。

宝塚歌劇月組「ミュージカル『雨に唄えば』」囲み取材より、左から美弥るりか、珠城りょう。

宝塚歌劇月組「ミュージカル『雨に唄えば』」囲み取材より、左から美弥るりか、珠城りょう。[拡大]

最後に2人はお互いの印象を語った。珠城が「これまでも(美弥と)仲間や友人など関係の深い役をやらせていただいるので、今回の幼なじみという関係性は安心感があります」と美弥に厚い信頼を寄せると、美弥は「ありがとうございます」と照れ笑いを浮かべる。美弥も「学年の差はありますが、お互いそれを感じずに心の会話をしている」と珠城に視線を送り、続けて「細かく相談するというより、自然とやっている感じ。そんな私たちが、言葉が少なくても友情が感じられるドンとコズモに見えたら」と微笑んで語った。

宝塚歌劇月組「ミュージカル『雨に唄えば』」の上演時間は途中休憩30分を含む約3時間。公演は7月4日まで行われ、千秋楽には全国の映画館でライブビューイングが実施される。

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宝塚歌劇月組「ミュージカル『雨に唄えば』」

2018年6月16日(土)~7月4日(水)
東京都 TBS赤坂ACTシアター

演出:中村一徳
出演:珠城りょう美弥るりか美園さくら ほか

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