中村米吉

中村米吉の#カワイイは世界を救う? 第21回 [バックナンバー]

大家好♡ 中村米吉、唐の国と化した歌舞伎座で“中華カワイイ”探し

大人気なタレ目カワイイ仲間とのコラボも!

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9月は、歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」昼の部に出演した中村米吉。「『摂州合邦辻』合邦庵室の場」では赤姫カワイイ浅香姫、唐の国を舞台にした「沙門空海 唐の国にて 鬼と宴す」では、唐の都・長安の妓楼で働く遊女・玉蓮を勤めた。「沙門空海」では、中村吉之丞扮する橘逸勢に、「また来てね♡」と愛嬌を振りまく売れっ子遊女らしい姿や、中村歌昇扮する詩人・白楽天へのさりげない献身で、観客の心を鷲づかみにした。

このコラムは、いついかなるときもカワイイ米吉に、身近なカワイイを紹介してもらい、カワイイ×カワイイの相乗効果で世界を救うことを目的にしている。今回は、唐の国と化した歌舞伎座でカワイイを探してきてもらった。米吉扮する玉蓮と、めくるめくカワイイ唐の世界を堪能しよう。

題字:中村米吉

“唐の国”にやってきた米吉。そこで見つけたのは……。

大家好。
雖然已經是九月下旬了, 但是天氣依然很熱。
我希望秋天快點到來……。


おっと失礼。
ヨーロッパを巡り、その勢いで中国にいたもので、つい言葉が出てしまいました。
中国にいた、というのはちょっと違うか。
9月は、歌舞伎座が中国になっていたのです!
これが正しい(笑)。

今月上演されていた「沙門空海 唐の国にて 鬼と宴す」はタイトルにある通り、今から1000年以上前の中国、“唐の国”が舞台。

「沙門空海 唐の国にて 鬼と宴す」の舞台セットと、米吉扮する玉蓮。格子模様が中国ならでは!

「沙門空海 唐の国にて 鬼と宴す」の舞台セットと、米吉扮する玉蓮。格子模様が中国ならでは!

大道具の設えも普段見慣れない中華風。激し目の色使いや独特の形が可愛らしいですよね。
こんな提灯なんて普段なかなかお目にかかりませんもの。

玉蓮が指し示すのは、朱色×からし色の提灯。まるで玉蓮が、不思議な力で宙に浮かしているかのような1枚。

玉蓮が指し示すのは、朱色×からし色の提灯。まるで玉蓮が、不思議な力で宙に浮かしているかのような1枚。

宴会に出てくる果物も何ともオリエンタル!

豪華なフルーツ盛り合わせと、フルーツに負けない麗しさの玉蓮。

豪華なフルーツ盛り合わせと、フルーツに負けない麗しさの玉蓮。

ちょっと家具屋さんの飾りみたいだけど(笑)。

私も中華風の拵えですが、手を拭くのでも常日頃のように白地の晒の手拭い、というわけにもいきません。

そこで懐に忍ばせたのはこちらのハンカチ。

ハンカチを見せてくださる玉蓮。いつもは袖に隠れて見えないお手々がチラリ。

ハンカチを見せてくださる玉蓮。いつもは袖に隠れて見えないお手々がチラリ。

ライトブルーにカワイイお花の刺繍がしてある素敵な物で、一瞬しか出さないのが勿体無いくらい!

他にも何か中華風のカワイイものを探し歩いていると、動物たちがいるとの情報が!


中華+動物=白黒でカワイイ


に決まってます!

見つけたぞ見つけたぞー!
ウサギさん、お馬さん、カエルさんも……!

カワイイもの発見!と思いきや……。玉蓮も思わず「何だこれは」という顔。

カワイイもの発見!と思いきや……。玉蓮も思わず「何だこれは」という顔。

あーなんか。
あんまり可愛くないな。

ちょっとおどろおどろしいよ君たち。

ずらりと並ぶ、魑魅魍魎。見慣れるとカワイイかもしれない。

ずらりと並ぶ、魑魅魍魎。見慣れるとカワイイかもしれない。

ウマのこの感じはほぼ「ゴットファーザー」のベットに入ってたやつだから。
ウサギは歯ガタガタだし。色も汚いわ。洗って。
あと、なんか毛むくじゃらの骨あるけどこれ何の動物?
カエルはギリギリ愛嬌がある気がするけど、この大きさは本当に怖いが勝つ。

ちょっと思っていたのと違ったなあ……。


このままではどうにもコラムを終えられない!と白楽天のように悩みながら楽屋に戻ると、遣唐使ならぬ、遣”日本”使が!

中華カワイイの権化。“熊猫”様たちです。

「玉蓮さん、こんにちは!」とあいさつにやってきた小さな2匹。

「玉蓮さん、こんにちは!」とあいさつにやってきた小さな2匹。

今回、月末に中国へ帰ってしまわれる上野の友達を迎えに来がてら観光中、中国が舞台の歌舞伎ということで気になって観に来たそうです。

芝居の中でご自分たちのお出番がないことに、少々遺憾の意を示しておられました。

再演の際には空海が謎の白黒熊に襲われるところを密教の秘技で手懐けて跨り、花道を悠々と引っ込む。
という件を差し込みましょう。

上野や和歌山にお仲間もたくさんいますが、日本では皆さんは本当に大人気。
最も著名な部屋主でもある、タマネギおば様を筆頭に熊猫ファンはたくさんいらっしゃいます。

歌舞伎界でも、とある俳優さんが熊猫需要を一手に引き受けていらっしゃいますので、勝手なことをしてはお叱りを受けるかもしれません。

今月はチャイナ娘だし、どうかお許しください。

突然やってきたパンダたちを、丁寧にもてなす玉蓮。さすが売れっ子遊女。

突然やってきたパンダたちを、丁寧にもてなす玉蓮。さすが売れっ子遊女。

実は、かねてよりこの白黒の御大とはタレ目同士という共通点もあり、どこか親近感を持ってきたので、コラボができて良かったです。

しかし、待てよ?

よく考えたらパンダの目元って模様だな。
ということは、タレ目メイクと同じエセタレ目!?

裏切られた!!

プロフィール

中村米吉(ナカムラヨネキチ)

1993年、東京都生まれ。播磨屋。中村歌六の長男。2000年に中村米吉の名を襲名して初舞台。2011年から女方を志し、「鬼一法眼三略巻 菊畑」で皆鶴姫、「与話情浮名横櫛」でお富、「松浦の太鼓」でお縫、「仮名手本忠臣蔵 七段目」で遊女お軽、「絵本太功記」で初菊などを勤める。またアメリカ・ラスベガスで行われた歌舞伎興行では、2015年に「鯉つかみ」小桜姫役、2016年に新作歌舞伎「獅子王」白縫姫役で出演。2015年には「鳴神」の雲の絶間姫役の演技で十三夜会奨励賞、2021年には第42回松尾芸能賞で新人賞を受賞した。現在、東京・歌舞伎座で上演中の「秀山祭九月大歌舞伎」昼の部「『摂州合邦辻』合邦庵室の場」で浅香姫役、「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」で玉蓮役を演じている。10月には福岡・博多座での「ヤマトタケル」で兄橘姫 / 弟橘姫、みやず姫を中村壱太郎と回替りで勤め、11月には、東京・明治座での「明治座 十一月花形歌舞伎」昼の部「藤娘」で藤の精、夜の部「鎌倉三代記」で、女方の大役である三姫の1つ時姫に挑む。11月23日には、明治座にてトークショーを開催する。

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