井上園子、機材トラブル乗り越えてバンド編成でのワンマンライブ完遂

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井上園子が2月18日に東京・青山 月見ル君想フにてバンド編成でのワンマンライブを行った。

井上園子(Photo by Retsu Narushima)

井上園子(Photo by Retsu Narushima)

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ブルーグラスやカントリーに影響を受けた独自のサウンドと、日常の悲喜こもごもを飾らない言葉でつづった歌詞の世界で注目を浴びる井上。2024年にリリースされた1stアルバム「ほころび」は「CDショップ大賞2025」青賞を受賞、25年7月には「FUJI ROCK FESTIVAL」に初出演を果たし、今年3月には台湾、韓国で初の海外公演を行うことも決定している。2022年の活動開始以来、アコースティックギターの弾き語りを中心にライブを行ってきた井上だが、昨今はバンド編成でのライブも徐々に増えてきており、今年1月には東京・国立REBORNにてバンドスタイルでの東京初ワンマンを開催して見事に成功を収めている。中華圏の旧正月・春節を祝うイベント「春節のかりゆし2026」の一環として行われたこの日のライブも、チケットはソールドアウトを記録。超満員の会場は人いきれで、公演に対する期待度の高さを伺わせた。

井上園子(BAND SET)ワンマンライブの様子。(Photo by Retsu Narushima)

井上園子(BAND SET)ワンマンライブの様子。(Photo by Retsu Narushima) [高画質で見る]

オープニング早々ライブが中断するも…

開演時刻を少し過ぎた頃、エレキギターを抱えた井上と、長尾豪大(G)、大澤逸人(B)、gnkosai(Dr)からなるバンドメンバーが登場。バンドが幻想的なサウンドを紡ぐ中、井上が演奏に加わろうとするもギターの音が鳴らない。接触不良だろうか。しばし修復を試みたものの一向にギターは鳴らず。ここでライブは一時中断。井上はギターの修復のためスタッフとともにバックステージへ。突然のトラブルに不穏な空気が流れるも、gnkosaiの「完全にトラブってます(笑)」という飄々としたMCで会場の雰囲気がふっと和らぐ。その後、バンドがインプロのセッションやトークで場をつないでいくうちに、「これもライブの醍醐味」とばかり、フロアに徐々に一体感が生まれていく。しばらくして、替えのアコースティックギターを手に井上がステージに復帰すると、観客たちは割れんばかりの拍手で彼女を迎え入れた。

井上園子(Photo by Retsu Narushima)

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激しいバンドセッションも飛び出した1部

2部構成で行われたこの日のライブは「惹句」でスタート。井上の表情豊かなボーカルをバンドが緩急自在の演奏で彩る。2曲目「きれいなおじさん」では「ロックかポップか知らねえが 私は私をうたうのさ / 演歌かフォークか知らねえが そんだけ聴きたきゃてめえがやれよ」という凛々しい歌声が気高く響きわたった。演奏後に修復を終えたエレキギターがスタッフから井上に手渡されると再び拍手が沸き起こる。浮遊感が漂うレゲエ調の「たのしいくじびき」を朗々と歌い上げた井上は、アコーディオン奏者のChakaをステージに呼び込み、次曲「おいしい暮らし」の演奏へ。温かみのあるサウンドにフロアの雰囲気が和むも、楽曲の終盤では一転、井上が奏でる軽快なギャロッピングギターを合図に激しいバンドセッションがスタートする。ディック・デイルのサーフクラシック「Misirlou」のフレーズを織り交ぜたガレージライクな演奏に会場のボルテージがぐんぐん高まっていく。1部のラストは「十を数えて」。井上は軽快なサウンドとともにみずみずしい歌声を届けてステージを終えた。

井上園子(Photo by Retsu Narushima)

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井上園子(Photo by Retsu Narushima)

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バンドライブならではのエネルギーの円環

美しいメロディに切なさがにじむラブバラード「漫画のような」で2部がスタート。男女の心の機微を切々と歌い上げる甘くほろ苦い歌声に観客は静かに耳を傾ける。次に届けられたのは常磐炭田で働く労働者の間で歌われていた民謡「常磐炭坑節」のカバー。サイケデリックなサウンドと独特な節回しによる井上のボーカルとが相まってトランシーな雰囲気が場内に広がる。日々の営みをしみじみと歌う「ここに住み」に続けて披露されたのは「信州信濃」。映画「男はつらいよ」の主人公・車寅次郎の啖呵売でもおなじみ「信州信濃の新そばよりも 私あなたのそばがいい」という都々逸のフレーズを歌詞に引用したユニークなナンバーだ。バンドが繰り出す軽妙洒脱なサウンドに観客たちは心地よさそうに体を揺らしていた。メンバー紹介を挟みライブは終盤に突入。ミラーボールが回る中、披露されたカントリークラシック「テネシーワルツ」のカバー、牧歌的な雰囲気の「日曜日の歌」を経て、井上が働いていた老舗のライブカフェ&バーに出入りする粋な大人たちへの敬意を込めて作ったという「カウボウイの口癖」で本編はフィナーレを迎えた。

井上園子(BAND SET)ワンマンライブの様子。(Photo by Retsu Narushima)

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井上園子(Photo by Retsu Narushima)

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アンコールで最後に届けられたのは、1stアルバム「ほころび」でもラストを飾る「人ばかりではないか」。風邪を引き前日まで高熱で寝込んでいたという井上は、全身の力を振り絞るようにして力強い歌声を響かせる。そんな彼女を3人のメンバーが熱のこもった演奏でバックアップし、各自のソロプレイに観客が喝采を送る。バンド編成のライブならではのエネルギーの円環が場内にさらなる熱気を生み出ていく。惜しみない拍手が寄せられる中、トラブルを乗り越えてライブを完遂した井上とメンバーは、それぞれ満足そうな表情を浮かべてステージをあとにした。

井上園子(BAND SET)ワンマンライブの様子。(Photo by Retsu Narushima)

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セットリスト

「春節のかりゆし2026」井上園子(BAND SET)ワンマン「倒福」2026年2月18日 青山 月見ル君想フ

第1部

01. 惹句
02. きれいなおじさん
03. たのしいくじびき
04. おいしい暮らし
05. 十を数えて

第2部

06. 漫画のような
07. 常磐炭坑節
08. ここに住み
09. 信州信濃
10. テネシーワルツ
11. 日曜日の歌
12. カウボウイの口癖
<アンコール>
13. 人ばかりではないか

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【井上園子(BAND SET】
井上園子、機材トラブル乗り越えてバンド編成でのワンマンライブ完遂!(ライヴレポート)

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