2021年2月以来約1年ぶり、2度目の開催となった女王蜂の武道館ライブ。開演直前の場内にはこの日にぴったりの童謡「うれしいひなまつり」が流れ、ほのぼのとした空気が漂った。そんな雰囲気は凛とした鈴の音が鳴り響いたことで一転する。ライブと同じタイトルの最新曲「犬姫」のフレーズが入ったSEが始まると会場は暗転し、ステージ前に張られた幕が落とされた。
雛飾りのように赤い毛氈が敷かれた舞台上には白い衣装に身を包んだひばりくん(G)、やしちゃん(B)、ルリちゃん(Dr)、サポートメンバーのみーちゃん(Key)、そして後ろを向いたアヴちゃん(Vo)の姿が。ゆっくりと客席のほうを振り向いたアヴちゃんは1曲目「犬姫」を歌い始める。「我が名は犬姫、この世の番犬!」とアヴちゃんが力強く叫ぶと、ひれ伏すかのように客席のジュリ扇が波打った。その後もひばりくんのギターソロが神々しく響いた「HALF」、ステージ上のぼんぼりの明かりが楽曲の世界を彩った「傾城大黒舞」と、盛り上がり必至のナンバーが連投されていった。
「失楽園」ではアヴちゃんが白い衣装を脱ぎ、背中を露わにしたパープルのミニドレス姿を披露。バンドが奏でるダンサブルなビートに引っ張られ、武道館中の観客が体を揺らした。やしちゃんの骨太のベースがビリビリと響く「P R I D E」の間奏で、アヴちゃんは花道を歩きアリーナ中央に設けられた六角形のセンターステージへ移動。お立ち台さながらに激しく踊り、会場の熱気をさらに高めた。
「KING BITCH」「催眠術」といったミディアムテンポのナンバーを妖艶に聞かせたあと、アヴちゃんはいったんステージを去っていった。残った4人が奏でたのは「もう一度欲しがって」。この曲ではルリちゃん、やしちゃん、ひばりくん、みーちゃんがそれぞれ順番にボーカルを務める。さまざまな楽曲のコーラスでも際立っている4人の声をソロボーカルで届け、改めて女王蜂の多彩な魅力をファンに印象づけた。
「もう一度欲しがって」の後半から加わったアヴちゃんは淡いブルーのジャケットにロングブーツという出で立ち。その後は「鏡」に「夜天」のフレーズを織り交ぜたパフォーマンスで観客を翻弄していった。アヴちゃんが最後の歌詞の「あたしだけを残して」を歌うと、その言葉通りにメンバーがステージを退場。1人残ったアヴちゃんはジャケットの前ボタンを開けて花道を歩き、センターステージで乱暴にマイクを取り上げた。そのままアカペラで歌い始めたのは「雛市」。自虐するかのような笑い声を交えつつ孤独に歌うアヴちゃんの歌声は客席を圧倒するが、それを支えるように途中からバンドの演奏が加わる。アヴちゃんと同じブルーのスーツに身を包んだ4人の演奏が、ステージと客席を一体に結びつけていった。
アッパーなダンスチューンが続いた前半とは対照的に、ライブ終盤では荘厳な楽曲が続々と披露される。「虻と蜂」を哀切に聞かせたあとは「FLAT」へ。冒頭でステージに腰を下ろして気だるげに歌っていたアヴちゃんは途中で立ち上がり、まばゆい光に包まれながら力強い歌声を届けた。「アウトロダクション」の重厚なアンサンブルを朗々と響かせたあと、アヴちゃんの「ありがとうございました!」という挨拶に続きラストナンバーとして披露されたのはリアレンジされた「Introduction:Plan B」。アウトロでは真紅の紙吹雪がステージ上に舞い、ライブの締めくくりを華々しく彩った。
女王蜂は4月にホールツアー「qUEEN OF b」の延期公演を行ったのち、6月に対バンツアー「蜜蜂ナイト5」を全国4会場で開催する。このツアーのチケットは公式ファンクラブ「CLUB OF qb」にて3月10日まで先行予約を受付中。
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