水カンが大勢のメディア集めて公開取材、世界展開への意欲や3股をかけた理由など明かす

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水曜日のカンパネラが、6月27日にリリースするミニアルバム「ガラパゴス」に関する公開取材イベントを、5月15日に東京・ワーナーミュージック・ジャパンで開催。さまざまなメディアや関係者が招待され、コムアイとケンモチヒデフミによる新作の解説を聞いた。

左からケンモチヒデフミ、コムアイ。(Photo by Mariko Kurose)

左からケンモチヒデフミ、コムアイ。(Photo by Mariko Kurose)

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「ガラパゴス」公開取材イベントの様子。(Photo by Mariko Kurose)

「ガラパゴス」公開取材イベントの様子。(Photo by Mariko Kurose)[拡大]

このイベントは、普段のインタビューでいい話ができても、その話題がその媒体にしか載らないのが悔しいという理由で、なるべく多くの人々を集めて全員に取材してもらおうというメンバーのアイデアで行われたもの。イベントではコムアイとケンモチによる「ガラパゴス」全曲紹介と、ライターの三宅正一による2人へのインタビュー、来場者から質問を募るQ&Aで構成され、2人は約1時間半にわたって新作についてトークした。

「ガラパゴス」というアルバムタイトルは「日本の環境や文化を表すのに一番適した言葉」として名付けられたとのこと。アートワークは彼らのこの1年の精神的・身体的な変化を反映してシンプルなデザインに仕上げられており、ブックレットがなくQRコードで情報にアクセスできるようになっている。また、ジャケットデザインには“ガラパゴス文化”の象徴としてプリクラが使用されている。ケンモチは「今作ではこれまでと違うことにチャレンジしようとした」と語り、チルアウト、スピリチュアル、オーガニックをテーマにBPMを落としたサウンドにしたと説明。エンジニアはこれまで携わってきた松橋秀幸ではなく今回はzAkが担当し、zAkによるダブミックスが施されている。

コムアイ(Photo by Mariko Kurose)

コムアイ(Photo by Mariko Kurose)[拡大]

1曲目の「かぐや姫」は今までにないほどスローテンポなリード曲。コムアイが作詞を担当し、かぐや姫が宇宙人だという設定の市川崑監督映画「竹取物語」をイメージして制作された。2曲目の「南方熊楠」はトライバルハウス。この曲についてコムアイは「今まで私が歌ってしまうとポップソングとして成り立ってしまうことがコンプレックスだったけど、この曲で始めてダンスミュージックをできた」と手応えを語った。「マトリョーシカ」はパブロ・パドヴァーニ(Moodoid、Melody's Echo Chamber)とのコラボ曲で、この曲の制作と併行してMoodoidの楽曲にコムアイが参加したとのこと。体内にいくつもの小さいマトリョーシカが入っているループ感を表現するために、曲の最後にコムアイのボーカルを逆再生で入れている。

「愛しいものたちへ」は、コムアイがオオルタイチにまた曲提供してもらおうと連絡したら「ちょうどコムアイちゃんに歌ってほしい曲がある」と送られてきたという楽曲。オオルタイチがこの曲を思いついた瞬間、住んでいる奈良の山奥の家から見た真っ赤な夕映えと、安保法案が通る前夜に東京で見た国会議事堂の外で人々が叫んでいる風景が思い浮かんだという。映画「猫は抱くもの」のために書き下ろされた「キイロのうた」はコムアイが作詞をし、作曲にも参加した楽曲。これについてコムアイは「去年恋愛でのトラブルがすごく多くて、お互いに愛してるけど離れなければいけないということが何度もあった。そのとき、学生の頃に聞いた『人は惑星だと思えばいいと思う』という話を思い出した。人と人が会うというのは軌道がクロスするのと同じこと。だからきっとまたどこかで会える。もしかしたら軌道の輪が大きくて、次に会えるのは80歳になってからかもしれないし、死んでからかもしれないけど」と曲のモチーフとなるエピソードを語った。

左からケンモチヒデフミ、コムアイ、三宅正一。(Photo by Mariko Kurose)

左からケンモチヒデフミ、コムアイ、三宅正一。(Photo by Mariko Kurose)[拡大]

三宅正一によるインタビューコーナーでは、過去に「CDはもう出さないと思います」と発言していながら今作をCDでリリースすることについて聞かれたコムアイが「自分ではCDを買わないから、出していいのかいまだにわからない」と答え、ケンモチは「音楽が好きな人はSpotifyとかを知ってるけど、普段音楽に接していない人はそういうアプリの存在すら知らないと思う。まだそういう人を切り捨てるわけにいかない」と回答。全体的にテンポがゆっくりとしていて抑制した今作のサウンドについて、ケンモチが「当初はもっとダンサブルにしようと思っていた」と話すと、コムアイはこれに「でも私は今までで一番踊れるアルバムだと思うんですよ」と返答。今はヒップホップもハウスもバキバキのサウンドは主流ではなく、生楽器でフューチャーベースを作ったりと抑え気味のサウンドが受け入れられていることから、その流れを踏襲したとケンモチは説明した。また2人は、海外のフェスではトラップが人気で四つ打ちはアウェイなので、四つ打ちが鳴ると観客が帰り始めるというエピソードを語った。

これから先の活動展開について、コムアイは「やりたいことをやりながら日本でマーケットをつかむのは難しいので、同じ種類の人間を世界中で見つけて、マーケットを横に増やしていくしかないなと思ってる」と発言。また1月にApple Musicで公開されたドキュメンタリー映像で、「ピカソ」の制作中に3股をかけていたとコムアイが語っていた件に三宅が突っ込むと、彼女は「人生でできる実験はすべてやろうと思って、浮気というのではなく、相手に状況を伝えた上で複数の人と付き合ってみました。でも、うまくいくときもあるんだけど、悲しみが感じられることもあって、自分が傷付くのはどうなのかと思って辞めました」と説明。この経験により、浮気癖があり数々の女性と関係を持ったピカソを理解することができ「歌ってて完全に私の言葉なんじゃないか」と感じたという。そして今後何をしたいか聞かれると、コムアイは「ライブ中に歌いながら幽体離脱したい(笑)。客席から自分の姿を見たらすごく面白いと思う」「アジアのいろんな伝統芸能の歌い方をマスターしたい。タイの東北部で歌のうまいおばあちゃんに習いたい」とコメント。ケンモチは「カニエ・ウェストくらい破天荒にぶっ壊れてみたい。今あまりロックは流行ってないけど、彼が現代のロックスターだと思う」と語った。

左からケンモチヒデフミ、コムアイ。(Photo by Mariko Kurose)

左からケンモチヒデフミ、コムアイ。(Photo by Mariko Kurose)[拡大]

Q&Aコーナーでも、東京・青山蜂が風俗営業法違反容疑で摘発された件の感想や、コムアイの歌唱法の変化についてなど、さまざまな質問が飛び交った。最後に、どういうふうに自分の音楽が届くとうれしいかという質問が挙がると、コムアイは「曲を聴いてくれたときに、曲の感想というよりも、自分のことを思い出してもらえたらうれしい。『これ、あの人に言っておいたほうがいいな』とか『もっと自分の人生をこうしたほうがいいな』とか思ってほしい。あとは、自分が人間であることとか、いろんなことを忘れてほしい」と回答。ケンモチは「普段あまり音楽を聴かない人がカンパネラを入り口にして、バックグラウンドにある音楽に興味を持ってもらいたい。そこから音楽の土壌ができていけばいいと思う」と語った。

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