カスタマイZ「ピンチをチャンスに！」HAMAの分まで熱演届けた2周年ワンマン

カスタマイZが10月31日に東京・山野ホールにてワンマンライブ「カスタマイZ2周年記念ワンマンライブ～なんでもしたいお年頃～」を開催した。

バンドの結成2周年を記念して実施された今回の公演。現在肺気胸の療養中であるHAMA（Vo, Key）の出演は叶わなかったが、会場には満員となる800人のファンが集結し、HAMAの分までエネルギッシュなパフォーマンスを見せたGORO（Vo,G）、DAICHI（Dr）、HIROKI（B）とともにバンドの節目を祝福した。

開演の時刻を迎えると、ステージ奥の壁面に映像が映し出された。このVTRの中で、HAMAの不参加が決まったあとにセットリストが大幅に変更されたこと、HAMAの代わりにGOROがメインボーカルを務めることがアナウンスされる。映像の最後に登場したGOROは「俺たちがひとつになれば、怖いものなんてないんだ。お前らの記憶に残るライブにするから、覚悟しとけよ！」と宣言。この言葉を合図に3人はステージ上に姿を見せ、GOROの「2周年、最高のお祭りにしようぜ！」という叫びから「ハレ晴レユカイ」でライブの幕を開けた。

3人のハイテンションな演奏に、チームZ（ファンの総称）はさっそく「ハイハイハイハイ！」と大きな声で合いの手を入れる。DAICHIは力強くビートを刻みながら「まだまだそんなもんじゃねえだろ！」と客席を煽った。2曲目の「READY!!」ではHIROKIがステージを動き回ったりお立ち台に立ったりと、躍動感あふれるベースプレイを見せて会場の熱をぐんと引き上げる。彼らはそのあとも「バクチ・ダンサー」「GO!!!」とアッパーチューンを容赦なく投下していく。「バクチ・ダンサー」ではGOROの情熱的なギターソロと「踊れ！」という煽りにフロアが揺れ、「GO!!!」ではHIROKIがラップを、DAICHIがコーラスを担当して歌声を響かせる。3人の声に、チームZも大合唱で応じた。

MCではこの日のメンバーの衣装のテーマが「四神」であることが明かされた。玄武をイメージした衣装のDAICHIは「リハのときにGOROから『インドの富豪みたい』って言われた」と笑いを誘い、HIROKIは「僕の衣装は青龍をイメージしてます！ 後ろにしっぽが付いてます」と紹介。GOROは「僕は朱雀。不死鳥です。死なないんですよ！」とうれしそうに胸を張り、DAICHIから「“中二病”感がすごいな（笑）」とツッコミを受ける。そしてHAMAのために用意されていた衣装は白虎がモチーフであることがチームZに告げられると、ここでHAMAからのビデオメッセージが上映された。映像の中でHAMAは「心配をかけてしまってごめんなさい。体調を治してみんなのもとに戻るので、そのときまで待っていてください！」と客席に呼びかける。そしてHAMAは次の曲でステージ上の3人が担当の楽器をシャッフルすることを告げた。

GOROがドラムを、DAICHIがギターを、そしてHIROKIがメインボーカルとベースを担当することをHAMAがアナウンスすると、3人はそれぞれのポジションへ移動し「もののけ姫」を披露した。GOROは力強いドラミングを見せ、DAICHIは飛び跳ねたりフロアに寝転んだりしながら情熱的にギターをかき鳴らす。HIROKIは熱くなるあまり途中からベースを放棄してシャウトを効かせた歌声を響かせる。演奏後、ベースを放り出したことをDAICHIからツッコまれたHIROKIは「高まり過ぎちゃった！」と笑顔を見せた。

ライブ中盤にはバンドの歩みを振り返るトークコーナーも設けられ、3人はランキング形式で印象に残っている思い出を披露していく。HIROKIはメンバー4人で東京ディズニーランドに遊びに行ったこと、DAICHIは「マンマミーア」という仮のバンド名でライブイベントに出演していた下積み時代の経験、GOROは今夏4人で「Animelo Summer Live 2015 -THE GATE-」の本ステージに立てたことを一番の思い出として挙げ、当時の出来事を振り返った。

トークコーナーを経て、ライブの後半戦はこの日が初披露となった新曲のロックナンバー「バンヴィーナス」でスタートした。GOROのテクニカルなギターソロと、HIROKIとDAICHIによる軽妙なコーラスが印象的なこの曲はGOROのソロボーカル曲。GOROは「この曲はライブで盛り上がることが予想されるので、サビで掛け合いをしたりしてみんなで育てていけたらいいなと思います！」とチームZに呼びかける。そして彼の「お前たちの熱い魂を俺たちに見せてみろ！」という叫びからステージはラストスパートへ突入し、3人は「Life and death」と「解」を届ける。「解」ではスクリーンにこの曲のミュージックビデオが投影され、MVの中のHAMAとステージ上のGOROがスピーディな掛け合いを披露した。本編のラストナンバーは「一筋の光明（ひかり）」。DAICHIは「オイ！ オイ！」と声を振り絞ってチームZの歓声を誘い、HIROKIは髪の毛を振り乱しながらベースと向き合い、音に力を込める。彼らの熱い演奏に呼応するように、フロアには無数のペンライトの光が揺れた。

大きなアンコールの声に迎えられ、3人はHAMAのイメージカラーである紫色のTシャツに着替えてステージに再登場した。彼らは順番にマイクを握り、今の心境を語っていく。DAICHIは「3人で今日のライブをやると決まったのは2、3週間前で。3人で2周年ライブをやるなんて大丈夫かな？ と不安もあったけど、こうやって皆さんが来てくれたことに、本当に感謝したいです。皆さん『HAMAは戻って来れるのか』って思っているかもしれないけど、僕らはHAMAを信じてHAMAが帰ってくるまで待っていますので、是非皆さんもHAMAのことを待ってくれたらと思います」とチームZに語りかけた。HIROKIは「この光景を見たら、今日のライブ、やって正解だったと思いました。HAMAが出られなくてもみんなこうして来てくれて、何よりみんなをもっと大切にしたいと思える光景でした。みんなのことを、これからも大切にしていきたいと思いました」と笑顔を浮かべる。GOROは「HAMAは今回が3度目の肺気胸でした。話を聞いたときは本当に焦ったし、『どうするの？』ってマジで不安だった。でもこうしてみんなが3人に付いてきてくれて自信にもなったし、HAMAがいない分をカバーすることが、3人の成長につながっているんだと思う。『ピンチをチャンスに』という言葉があるけど、HAMAがいないピンチをチャンスに変えられるんじゃないかなと思っています」と力強く語り、彼の「皆さん付いてきてくれますか!?」という問いかけにチームZは大歓声で応じた。

ここで、ステージにはバンドの結成2周年を祝うバースデーケーキが運び込まれる。ケーキの上には黄色、緑、赤、紫と4人のイメージカラーのキャンドルが立てられており、DAICHIは「グッとくるなあ」とつぶやいた。3人は勢いよくキャンドルの炎を吹き消し、アンコールの1曲目に自己紹介ソング「カスタマイZのテーマ」をオーディエンスに届ける。HAMAのパートでは3人が声を合わせ、会場を盛り上げた。続く「うたいたい歌」ではバンドの演奏に乗せてチームZが元気に飛び跳ね、会場が揺れる。GOROが「チームZのおかげで、最高の2周年が迎えられました。今日のこの日を絶対に忘れません！」と叫ぶと、ラストナンバーの「Never Give Up」へ。会場には金色のテープが舞い、メンバーの「タオル回せ！」という煽りに観客は一体となって盛り上がる。GOROはステージを飛び出し、オーディエンスのすぐそばで歌声を届けた。大きな熱狂の中でステージは終幕。GOROは「最高の時間をありがとう！」と感謝を伝え、3人は客席の隅々まで笑顔で手を振りながらステージをあとにした。