2006年に初のホール単独公演を同会場(当時は渋谷C.C. Lemonホール)で開催した彼ら。約8年ぶりの渋谷公会堂ワンマンは、曽我淳一のキーボードあり、ストリングスあり、コーラス隊ありのホール公演ならではの演出を随所に取り入れた特別な一夜となった。
場内が暗転すると、紗幕で覆われたステージの向こうにバンドとストリングス隊のシルエットが浮かぶ。そして雄大なアンサンブルが光る「航海」から「人間楽団大幻想会」の幕が上がった。新作などに関連したライブではないこともあり、この日のライブはインディーズ時代の楽曲から未発表の新曲まで、さまざまな楽曲で構成されたバラエティに富んだ内容に。「航海」でスケール感たっぷりのサウンドを描いた直後に、4人はバンド編成のみになると「光の結晶」「涙がこぼれたら」といった青臭さ全開のロックチューンを披露し満員のオーディエンスを熱狂させる。
MCで山田将司(Vo)は「ようこそ、渋公へ! 最高の夜にしようぜ!」と観客を煽り、松田晋二(Dr)も「今夜は1曲目にストリングスを交えてお届けしましたが、今日しかない特別な一夜を感じながら、椅子席ですが気持ちはライブハウスで!」と熱く語る。中盤に差し掛かった頃、「新曲やっていいかな? 本邦初公開」という山田の言葉から岡峰光舟(B)が奏でる重いグルーヴと、菅波栄純(G)が弾くギターが絡み合う新曲が会場を圧倒していく。また「舞姫」ではストリングスの音色が加わることでゴシックテイストのサウンドが描き出され、「アカイヤミ」ではおどろおどろしい空気が会場を飲み込んだ。
菅波曰く「グダグダしゃべっていいって言われた」という中盤のMCでは、メンバー全員が和やかにトーク。そして山田の「ホント今日のスペシャルライブ、僕らも楽しみにしてきました。ライブはいつも特別だけど、今日はより特別な日にしようぜ!」という宣言が後半戦の幕開けを告げた。山田の言葉通り、その後はフュージョンテイストのアレンジが観客に新鮮な驚きを与えた「冬のミルク」、曽我のキーボードが加わることで艶かしい雰囲気が引き出された「白夜」と続く。さらに4人は「泣いている人」以降は本編ラストまで、ストリングス隊とのセッションを展開。観客のため息を誘うような豊かなアンサンブルに、山田の力強い歌声が溶け合った「美しい名前」、大人数だからこそ奏でられるダイナミックなサウンドが光った「戦う君よ」や「シンフォニア」などが披露される。またMCでは山田は「いつも野郎だらけのスタジオだから、ストリングスの人が加わってみんな口数が少なくなってました」とリハーサル時の裏話を明かせば、菅波が「将司、モテようとしてたよな?」と暴露。すると山田はごまかすように「光舟、ギンガムチェックの襟付きのシャツ着てきたよな? いつもTシャツなのに」と話の矛先を岡峰に向けて観客の笑いを誘っていた。
「最高の夜になってるよ! ありがとう。うれしいです。また会いましょう。THE BACK HORNです」と山田が感謝の言葉を述べたあとに演奏されたのは、男女混合のコーラス隊も交えた「世界中に花束を」。オーディエンスを包み込む壮大なナンバーが、会場に響きわたった。またバンド編成のみで行われたアンコールでは、攻撃的な一面が打ち出された新曲が初披露され観客を喜ばせる。そして「絶対また会おう。生きてまた会おう!」という山田の再会を約束する言葉から「コバルトブルー」になだれ込み、熱気が渦巻く中で「『KYO-MEI SPECIAL LIVE』~人間楽団大幻想会~」は終幕した。
THE BACK HORN「『KYO-MEI SPECIAL LIVE』~人間楽団大幻想会~」
2015年4月30日 渋谷公会堂 セットリスト
01. 航海
02. 光の結晶
03. 涙がこぼれたら
04. 罠
05. ひょうひょうと
06. バトルイマ
07. 新曲
08. 舞姫
09. アカイヤミ
10. 冬のミルク
11. 白夜
12. 泣いている人
13. 美しい名前
14. 戦う君よ
15. シンフォニア
16. ブラックホールバースデイ
17. 世界中に花束を
<アンコール>
18. 新曲
19. コバルトブルー
※記事初出時、セットリストに誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
リンク
- THE BACK HORN オフィシャルサイト
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アンメルツP(安溶二) 5/29 22時『kagamination2 輪響』みんなで聴く会 @gcmstyle
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