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令和のアーティストとファンベース 第2回 [バックナンバー]

SKY-HIの視座から見たファンとの関係

1万人のファンも1人ひとり別の人間である

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SNSが日常生活に根付いた今の時代において、アーティストがファンとの関係をどのように築き深めていくべきかを探る本連載。第2回には、AAAのメンバーでありながら、ラッパーとしてアンダーグラウンドからシーンのトップランカーに上り詰めた稀有な経験を持ち、現在は株式会社BMSGの代表取締役CEOを務めるSKY-HIに登場してもらった。

現在進行中でワールドワイドに活躍するボーイズグループを発掘するためのオーディション「THE FIRST」を行っているSKY-HI。昨年末にスタートしたオーディションは日本テレビ系「スッキリ」やHuluでも放送・配信され、大きな話題を振りまいている。プロデューサーとしても類まれなる才能を持った彼の目に映るアーティストのあるべき姿、ファンとの関係性とは。

取材 / 宮本浩志 / 丸澤嘉明

自分を含むすべての人間にリスペクトや愛情を注いでほしい

──オーディション「THE FIRST」にKLOOZさんがスタッフとして参加していたり、橘慶太さん(w-inds.)がゲスト出演したりしていて、日高さんは仲間を大切にするし、大切にされているイメージがあります。「仲間やスタッフをファンにさせる」こともすごく大事だと思うんですが、意識していることはありますか?

自分で自分をリスペクトしてあげて自分に愛してもらって、次に一緒にやっている近しい人にちゃんとリスペクトを向けてリスペクトしてもらい、その先にやっと不特定多数のいわゆるファンと呼ばれる方に同じように届いていく。そういう順番は間違いなくあると思うので、それらのどこかをすっ飛ばすということはないと思います。

──「THE FIRST」でもオーディションに参加している若いアーティストの方々にリスペクトを持って接しているのが伝わってきます。

今言ったことを自分自身ができていないと、彼らが感じてくれることはないと思うので。自分を含むすべての人間にリスペクトや愛情を注いでほしいですし、彼らにはステージに立つ以上、人の心を動かすパフォーマンスをしてほしい。単純に歌がうまい、ダンスがうまい、ルックスがいいということで人の注目を集めるのではなく、ちゃんと血の通った音楽を作り、血の通ったパフォーマンスをしてほしいと思っています。日本ではボーイズグループやアイドルに対して、そういうものを重要視しない風潮もあると思うのでそこを絶対に変えたくて。K-POPアーティストのクオリティはすごいですし、近年では意志やメッセージの強さ、深さもすごいです。それがファンベースの強固さにつながっている部分は確実にあると思いますね。

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オープンSNSでの広がりには期待も重要視もしていない

──今はアーティストもSNSに恒常的に存在し続けて、ファンと“オン”の状態を保つ必要があると思います。その点についてはどのようにお考えですか?

コンテンツの数が非常に大事な時代だと思うので、よくも悪くも時間を切り売りせざるを得なくなってますよね。ただ、ファンの方たちに望まれる姿を演じ続けることはもうできないと思いと思います。ほころびが出るということもありますけど、それ以上にもし完璧に演じられたとしてもアーティスト側の心が持たないので。自分は経営者として所属アーティストにそういうことをさせたいとは思わないです。

──BMSGは「クオリティファースト」「クリエイティブファースト」「アーティシズムファースト」を理念として掲げていますが、クリエイティビティとSNSのバランスをどう保ち続けるのが大事だと考えられていますか?

正直なところ、オープンSNSでの本人の投稿からの広がりにはそんなに期待も重要視もしていないので、応援しようと思ってくれたファンの人のための新しい枠組みを作って、そこで定期的にプライベートカットなど何かしらのコンテンツが見られるようにする必要があると思っています。V LIVE(※韓国のライブ配信アプリ)とかWeverse(※BTSの所属事務所HYBEのファンコミュニティアプリ)的ものは作りたくて、今はアプリを開発しているところですね。現状自分のところのアーティストが使うことだけを考えていますけど、もし可能であったら他事務所のアーティストやアイドルも参加してもらえるやり方もあるんじゃないかと最近は思っています。

──まさにV LIVEやWeverseについて日高さんがどう考えているのか伺いたかったんですが、そういう計画をお持ちなんですね。V LIVEにはアーティストの人となりがわかるようなコンテンツが追いきれないほどたくさんあって、ファン同士が新しいものをレコメンドする流れが生まれていますよね。

そういうものが圧倒的に必要だと思うので。TwitterやInstagramのように誰でも無料で登録できて、プライベートの友人と好きなアーティストを一緒くたにタイムラインに並べてしまう状態は、情報発信するこちら側としてはすごく非効率ですよね。あと出したものに対して当然リアクションが不特定多数の方からくると思うんですけど、それがどのくらい応援してくれてる方なのかわからない。よく話題になるアンチズムみたいな話にしても、強い気持ちで否定しているのかもしれないし、もしかしたら当事者的には冗談のつもりだったのかもしれない。オープンSNSでは、そういうくだらない事故ってなくならないと思うので、本当にアーティストを応援してくれる人のために、別の仕組みを作ったほうがいいと思いますね。

どんなマクロもスタートはミクロである

──Weverseはユーザーのタブとメンバーのタブがあって、体感的に同じ場所にいる感覚になれるところが大きいと感じているんですが、アーティストとファンとの距離感についてはどのように考えていますか? 今後もっと近くなっていくのか、それとも適切な距離を保っていくのか。

後者が近いと思うんですけど、見てほしいと思うものだけを出していけばいいんじゃないかと思いますね。プライベートなもの、悪い意味で言うとプライバシーに関わるものであればあるほど喜ばれるという状況は、やっぱりポジティブではないですよね。オープンSNSのフォーマットに則ってフォロワー数やPV数を増やすためにそういうことをやっている作り手側にも問題はあると思うんですけど。

──見てほしいものというのはどうやって決めていくのでしょう?

今考えているのは、ファンダムについて詳しいスタッフに管理人的なポジションをしてもらうということ。どんなマクロもスタートはミクロというか、1万人いるお客さんは1人の集合体だと思うので、まず内側にいるスタッフを信頼して、そのスタッフの求めるアーティスト像と自分の考えをすり合わせていけば、ファンが求めるものとのズレもそんなに生まれないと思っているんですけど、なんせまだやってないので(笑)。自分が運営しているファンコミュニティ「B-TOWN」はそのあたりを勉強させてもらっている感じですね。さっき言った通り、TwitterやInstagramのリアクションっていうのはファンの方なのかたまたま通りすがった方なのか区別つかないので、クローズドSNSでやり取りすることは自分にとっても非常に学びのあるものになっています。

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理人𖠚ᐝ⚯̫ @SkyLimo__1chi27

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