美術家・日本画家の
「花緑青が明ける日に」は立ち退きを迫られる花火工場・帯刀煙火店を舞台に、幻の花火“シュハリ”と若者たちの未来をめぐる2日間を描いた物語。萩原利久が消えた父に代わってシュハリを完成させようと奮闘する主人公・帯刀敬太郎、古川琴音が敬太郎と4年ぶりの再会を果たした幼なじみの式森カオル、入野自由が敬太郎の兄で市役所に勤める“チッチ”こと千太郎に声を当てた。
ストップモーションの撮影は、帯刀煙火店の立ち退き前夜にシュハリを打ち上げるための作戦会議をするシーンで効果的に使われている。制作現場には、物語の舞台である帯刀家周辺をダンボールで再現したミニチュアセットを用意。人間に見立てた麻雀牌がストップモーションで動き出し、アニメと実写の映像が入り混じることで、現実と虚構の境界を行き来するような描写が展開する。
麻雀牌を用いたキャラクター表現について、ストップモーション・ディレクターのヴィクトル・アジュランは「そもそも麻雀牌という四角い物体を、生き物のように見せるというミッションは大きな挑戦でした」と振り返る。また、中でもお酒が印象的に描かれており、透明な瓶やグラスの中で歪んで見える液体を表現するため、実際の液体ではなく透明な粘土を使って微細な動きをコントロールして撮影したという。
水中・宇宙・花火シーンの特殊映像を手がけたのは、SUKIMAKI ANIMATIONの鋤柄真希子(すきから・まきこ)。人物や背景の画をカメラに対して異なる距離に配置・撮影することで、奥行きや立体感のある画面を作り出すことができるマルチプレーン・カメラというアナログな手法を使うアーティストだ。複数の光のレイヤーが重なったような宇宙の表現は、光を丸い穴を空けた素材に透過して動かすことでモヤモヤした光を表現したり、スポンジを使って粉状のパステルを黒い紙に塗ったものをブラックライトで照らしたりと、撮影を工夫した。
予告冒頭にあるカオルが水中に飛び込むシーンについても、鋤柄は「透明なジェルを使って半立体の泡などを作成し、撮影しています。四宮監督からはディズニーアニメ『ピノキオ』の水中シーンでの画面全体が揺らめくような表現をやりたい、とリクエストをいただき、樹脂で波ガラスのようなフィルターを作ってカメラの前に置きました」と説明している。
こうした多層的な表現が多い理由を、「異なる素材が生のまま並んでいる“異物感”のある組み合わせが昔から好き」と語る四宮。異なる技法、異なる質感をあえて混ぜ合わせることで生まれた映像はぜひ劇場で味わってほしい。「花緑青が明ける日に」は3月6日より全国公開。
映画「花緑青が明ける日に」本予告
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SHINOMIYA YOSHITOSHI. 四宮義俊/SUIRO @cagerow555
今回の映画の心臓部に間違いなく触れてます。見ないで欲しいけど、すごく見て欲しい。すきからまきこさん@sukimaky ヴィクトル・アジュランさん による成果物が見られます。 https://t.co/TADwxL1270