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感想を聞かれた森は「うかつに泣くまいと思っていたんですけど、自然に涙が出てきましたね」「仕事柄、我々は映画を毎日観る生活を長年続けているじゃないですか。そうすると自分の感性が薄れてくる部分もあると思うんですけども、『愛がきこえる』は純度が本当に高い、一点の曇りもないような善良さがあって。それが作品の生命線になっていますよね」とたたえる。また「善良な人たちがなぜ社会の中で抑圧されていくのか、そういった強いメッセージも明確に込められている。この構造はシャー・モー監督の前作『あなたがここにいてほしい』にも共通しているところがあると思います。社会派と言っていい要素も含んでいて、でも映画のタッチはモダンで洗練されている。バランスの取り方が非常に巧みで、王道の感動作ではあるものの、変に泣かせに走りすぎない配慮があって。品よく語られているように感じました」と述べる。
「エール!」とそのリメイク作「コーダ あいのうた」を立田は挙げつつ「2作では10代の娘の自立がポイントになりましたが、『愛がきこえる』では娘のムームーは7歳で、ろう者のコミュニティである種幸せに暮らしています。そこにお母さんが来て『ムームーに教育を受けさせたい』と。ムームーの父、母どちらが悪いということではない。大変難しい設定だと思うんですが、この作品では子供を一方的な弱者として描いていませんよね。ムームーとお父さんが相互共助をしているのが鋭いポイントだと思いました」と伝えた。それを聞いた森は「この作品はムームーの成長物語にも見える」とうなずき「子供を子供として描くのではなく、社会の構造を語るメッセンジャーとして置いている」と続け、「アイ・アム・サム」「クレイマー、クレイマー」の系譜の1本とも言えるのではないかと持論を展開した。
立田が「監督は北京電影学院の大学院を出ているアカデミックな方で、リアリティベースを大事にされている方でもあります。監督にインタビューした際、途中でシャオマーが堕ちていくような場面をなぜ入れたのか聞いたところ、『本当に詐欺に遭う方が多いからだ』とおっしゃっていました」と振り返ると、森は「社会の闇の部分も見ている、厳しい目線ですよね。『あなたがここにいてほしい』でも、主人公の男性が経済的にうまくいかなくなって、あがいて、それにつけ込む人がいて、転落していくさまを描いていた」と応じる。また立田は「ノワール調の部分はどう演出したのか監督に尋ねたところ、デレク・シアンフランスの『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』を参考にしたと言っていました」と付け加えた。
森はチャン・イーシンの笑顔の素晴らしさに触れ「あの善良さは、映画の精神を表すシンボルのようでした」「(ダンスセンスなどの)身体能力は捨てて、純粋に演技としてよかった」とコメント。「良作とお涙頂戴の作品の線引きは明確にある。催涙弾を放つのではなく、伝えたいものがあるかどうか」とも述懐する。
立田が「チャン・イーシンさんの笑顔が素敵だとおっしゃいましたが、表情で訴えかける映画だとも思いました。クローズアップが素晴らしかった」と称賛すると、森は「ある種、顔の映画だという言い方ができると思います。ムームーがシャオマーたちろう者の“声”としてしゃべる場面も多くありますが、顔が何を伝えるかということですよね。それってすごく映画的だと思います。顔のクローズアップや、身体が語るものを重要視した作品で、深く掘っていける映画だと感じました」と伝えた。
「愛がきこえる」は、1月9日に全国で公開。本作にはろう者の人々が俳優として多数参加した。
中国映画「愛がきこえる」予告編
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@eiga_natalie これは本当に面白いです!私はそのように考えたことはありません、あなたのペルソナと洞察を共有してくれてありがとう