新潟国際アニメーション映画祭開幕、押井守がオープニング作品「イノセンス」を語る

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第3回新潟国際アニメーション映画祭が本日3月15日に開幕。オープニング作品「イノセンス」の上映前に、同作の製作・プロデューサーを担ったProduction I.Gの代表取締役会長・石川光久が登壇した。

押井守

押井守

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第3回新潟国際アニメーション映画祭 メインビジュアル

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井上伸一郎

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アジア最大級かつ世界初の長編アニメ中心の映画祭として、マンガ・アニメのクリエイターを数多く輩出してきた新潟国際アニメーション映画祭。新潟・NEXT21の新潟市民プラザで行われたオープニングセレモニーに登壇したフェスティバルディレクター・井上伸一郎は「3回目となり、世界の注目が集まっていることを実感しています。今敏さんのレトロスペクティブをはじめ数々の特集上映が組まれていますので、貴重な機会をぜひお楽しみください」と挨拶した。

「イノセンス」場面カット (c)2004 士郎正宗/講談社・IG, ITNDDTD

「イノセンス」場面カット (c)2004 士郎正宗/講談社・IG, ITNDDTD[拡大]

続いて、SF長編アニメ「イノセンス」の上映イベントへ。押井守が脚本・監督を担った同作では、人とサイボーグ、ロボットが共存する2032年の日本を舞台に、暴走した少女型の愛玩用ロボットが所有者を惨殺する事件を追うバトーとトグサの姿が描かれる。「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」の続編としても知られる作品だ。

まず、押井のビデオメッセージがスクリーンにかけられた。公開から20周年を迎えた同作が今も愛され続けている理由を問われた押井は「『攻殻機動隊』もそうだったんですけど、これが10年、20年経っても消えてなくならない作品にしようという一心で作っていました」と振り返り、「『イノセンス』は人間の在り方がこれからどう変わっていくかを射程に入れた作品だったので、テーマも古びてないと思う」と述べる。

また「映画というのは、ドラマやキャラクター以外に、純粋な映像としていかに情報量があるかが重要。アニメーションは結局人間、ひいては“手の技”が作り出す世界なんです」と語り、今後のアニメーション業界については「どうなるのかじゃなくてどうしたいか。アニメーションの世界に携わっている1人ひとりが、自分のテーマとして考えていくしかないし、結果としてそれがアニメーションの将来を決定する」と口にする。そして「私は、あとは楽ちんに映画と戯れて過ごしたいので、若い世代の方にはシビアな戦いにぜひ挑戦していただきたい」とエールを送り、「イノセンス」鑑賞前の観客には「とにかく楽しんでください! 難しいことを考えると疲れる映画だと思います(笑)。この世界を堪能していただければ」と呼びかけた。

石川光久

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その後、舞台上に登壇した石川は「48時間前、押井さんと話す機会があったんです」と話し始める。「先日開催された『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』『イノセンス』の4Kリマスター版の上映記念舞台挨拶で、押井さんが『3本目をやりたい』と言っていたので、『あれってリップサービス?』という確認をしたんです。詳しくは話せないですが、『イノセンス』でちりばめたヒントが回収できるかもしれないとんでもない構想だった」と明かしてファンの期待を煽った。

左から井上伸一郎、石川光久

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ともにプロデューサーを務めたスタジオジブリの鈴木敏夫に関しては「プロデューサーとはこういうものか、と目の当たりにしたいい経験でした」と回想した石川。彼は、鈴木が作品のタイトルを付けたことや、伊藤君子に主題歌「Follow Me」を託したことに言及し、「鈴木さんの功績はすごく大きかったと思います」とコメントする。さらに石川は、バトーがコンビニで乱射するシーンについて「2、3分のパイロット版の時点で背景を3000枚以上描いている。今のAI技術の使いどころはそういった部分かもしれないが、一方でこのアニメーターの技術はこれからも置き換わることはない」と力強く言い切った。

最後に石川は「約20億円の製作費はまだ回収できていない。これをリクープしないと『攻殻機動隊3』は世に出ないし、僕も観たいので、ぜひ『イノセンス』を拡散してください」と笑顔で伝え、イベントを締めくくった。

第3回新潟国際アニメーション映画祭は、3月20日まで新潟市民プラザほかで開催中。

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すぎまる @sugimarco

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