第3回新潟国際アニメーション映画祭にて、3月15日にオールナイト企画「日本のCGアニメ その転換期」が開催。OVA「青の6号」の監督・
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの監督や「マッドマックス 怒りのデスロード」のコンセプトアート&デザインで知られる前田と、アニメ「ULTRAMAN」シリーズや「攻殻機動隊 SAC_2045」シリーズなどを手がけてきた荒牧。同企画では、1980年代から約40年にわたってCGを使った先端的な映像に取り組んできた2人の経歴を掘り下げるとともに、CG技術でアニメの映像を変えたエポックメイキングな作品を振り返る。
まず、それぞれのキャリア初期の話題に。前田は「庵野(秀明)さんと『風の谷のナウシカ』のときにテレコム(・アニメーションフィルム)に受けに行って参加したり、『ふしぎの海のナディア』を手伝ったりしていたんですが、彼とずっと付き合い続けるとテイストが同じようなものになってしまうかなと思ったタイミングで離れました。ちょうどその時期に樋口真嗣などフリーになった人が何人かいて、彼らと集まったのがゴンゾの始まり」と、樋口とともに立ち上げた制作会社の成り立ちに言及する。CGを使ったアニメ作品に取り組み始めたきっかけについては「PlayStation用の映像を作る中で『ひょっとしたら長編も作れるんじゃないか』と勘違いをして取り組んでみたのが最初です。明確なビジョンがあったわけじゃないんですが、面白そうだからやってみようと」と語った。
荒牧は「1980年代にメカデザイナーとして(キャリアが)始まった。当時変形するロボットメカが全盛で、僕も潮目に乗っかってデビューしたんですけど、アニメーターに手で複雑なメカを描いてもらうのは忍びないというか、無理があるなと思って、1990年代からデジタルの仕事やCGを始めた感じです」と述懐する。荒牧がこれまでに携わった「メタルスキンパニック MADOX-01」から「
1998年に発表された「青の6号」は、近未来の超国家組織“青”の潜水艦「青の6号」が、海洋テロ結社の野望を阻止するための任務に出撃する物語。フルCGではなく手描きとのハイブリッドで制作したきっかけについて問われた前田は「『マクロス』シリーズでCGデザイナーの鈴木朗さんに入ってもらったときに『けっこういいね!』と盛り上がったんです。CGはやわらかいものを描くのは苦手だけど、メカ部分をCGでやって作画とドッキングしたら作品ができるんじゃないの?というところから始まりました。レンダリングにすごい時間がかかったけど、できあがりには自信がありましたし、ゴンゾが次のステップに行くための名刺になった」と口にする。
2004年に公開された「アップルシード」では、未来都市オリュンポスを舞台に、女戦士デュナンと元恋人のサイボーグが、人類の存亡を賭けた戦いに巻き込まれていくさまが描かれた。モーションキャプチャーと3DCGが駆使されている本作の制作時について、荒牧は「あのときはゲームにパワーがあって、カットシーン(ゲームプレイの間に挿入される映像)が流行っていた時期。その流れで『映画尺ぐらいならいけるんじゃない?』となり、現場のスタッフも20代の若手ばかりで、映像作品の経験がゲームぐらいしかなかったので僕の提案を素直に聞いてくれて(笑)、かつセンスのいい人が多かった。タイミング的に恵まれていました」と回想した。
2人は、CGと“手描き感”のバランスについてもトークを展開。荒牧は「CGで(手描き)アニメっぽいことをやろうとしたのが『アップルシード』。そこからテクスチャーを付け始め、『
イベント後半、しっかり話すのはこの日が20~30年ぶりだという2人が互いの魅力を伝え合う場面も。荒牧は前田について「とにかく絵がうまいんです。うらやましいとしか言いようがない」と絶賛し、前田は「荒牧さんはクレバー。自分が作っているものを客観的に見られるところや、みんなが働きやすいフローを考えているところが、監督をする人の資質なんだろうなとすごく思います」と尊敬の念を示す。今後について、荒牧は「賛否両論あると思いますが、今はAIをどう取り入れるかというテストをしていて、いいものができている」と明かし、前田は「画コンテなどで参加したテレビアニメ『
第3回新潟国際アニメーション映画祭は、3月20日まで新潟市民プラザほかで開催中。
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前田真宏×荒牧伸志がアニメCGの変遷をトーク、「青の6号」「アップルシード」制作秘話も(イベントレポート✍️) - 映画ナタリー https://t.co/OYd4EAcR97