中国映画「小さな私」(原題「小小的我」)が本日11月2日に第37回東京国際映画祭でワールドプレミア上映。キャストの
本作は脳性まひを患う青年リウ・チュンフーのひと夏の成長を描いた物語。チュンフーは大学受験を控える中、祖母が力を注ぐ舞台を手伝っている。祖母が積極的にチュンフーを社会に関わらせようとする一方、母は不安を隠せないでいた。「少年の君」のイー・ヤンチェンシーがチュンフーを演じ、「フェアウェル」のダイアナ・リンが祖母、「西湖畔に生きる」のジアン・チンチンが母に扮した。また、小林武史が音楽を担当している。
熱烈に歓迎されながら登場した登壇者たち。イー・ヤンチェンシーが「この映画を気に入っていただけたらうれしいです」と挨拶すると、「気に入ったよ!」とあちらこちらから歓声が飛んだ。
ヤン・リーナーは「脳性まひの方、そしてそのご家族からさまざまなリサーチを重ねて、この映画を作りました」と述べ、「この映画を撮るにあたって、非常に優秀でとても高い技術を持ったスタッフが集まりました。しかし、この映画ではその技術を捨てています。私たちが撮ろうと思ったのは、家族の物語なんです」と語る。また「どうしても申し上げておきたいのは、役者さんたちの素晴らしさです。イー・ヤンチェンシーさんは演じるというより、チュンフーそのものになりきってくれた。撮影現場に初めてチュンフーが現れたとき、我々スタッフ全員が沈黙しました。そしてこの映画は成功したと思ったんです。この作品の魂はチュンフーです。すべての視線が彼に集まる。見事に演じてくれました」と絶賛した。
東京国際映画祭のプログラミングディレクターである市山尚三も「イー・ヤンチェンシーさんはこれまでのイメージとはまったく違っていました。映画祭関係者には『まさかイー・ヤンチェンシーさんだったとは!』と驚く人間もいました」と述懐。イー・ヤンチェンシーは役作りに触れ「さまざまな資料や映像を見ました。そして脳性まひの方、そのご家族を見つめ、リサーチし、頭に記憶していきました。クランクインの2週間ぐらい前にそれを絞り込んで、チュンフーを作っていったんです」と真摯に伝えた。
撮影開始の2週間ほど前に撮影地の成都に入ったダイアナ・リンは「地元の女性たちを観察し、イメージを作り上げていきました」と回想。チョウ・ユートンは「脚本を手がけたヨウ・シャオインさんと監督と話し合いながら役作りをしました」と話し、ヤン・リーナーの印象を問われると「監督は優しく、自由な方です。こうすべきだということに縛られず、これがあってもいいんじゃないかという考え方をされる。開放的な人です」と答えた。
昨年の「西湖畔に生きる」ワールドプレミアに続き、2年連続で東京国際映画祭に参加となったジアン・チンチン。市山は「西湖畔に生きる」での印象とあまりにも違っていたため、「小さな私」のクレジットを見るまで、ジアン・チンチンがチュンフーの母親を演じていることに気付かなかったそう。ジアン・チンチンは「『西湖畔に生きる』『小さな私』で演じたのは同じ母親ですが、まったく違った母親です。『西湖畔に生きる』ではわりと普通のお母さんだったと思いますが、『小さな私』で演じた母親はかなり現実的です。例えばとても寒い日に抱き合う2人に例えるなら、必死に暖め合おうとしても抱き締める力が強ければ血を流してしまう。しかし、暖め合わなければ凍えてしまいます。『小さな私』の母と子は、そんな微妙な関係。甘くもあり、苦しくもある2人です。母親は最後に幸せを見出し、心の中を解き放ち、社会に認めてもらえます。だからとてもこのお母さんは幸せだったと思います」と自身の役に思いを馳せた。
映画ナタリー @eiga_natalie
【東京国際映画祭レポート】「#小さな私」イー・ヤンチェンシーをヤン・リーナーが絶賛「全員が沈黙しました」(写真20枚)
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