中国映画「わが友アンドレ」(原題「我的朋友安德烈」)が昨日10月28日に第37回東京国際映画祭でワールドプレミア上映。監督・脚本・出演を担った
双雪涛の手がけた小説をもとにした本作は、「山河ノスタルジア」などへの出演で知られるドン・ズージェンの監督デビュー作。ある日、父の葬儀のため中国東北部の故郷の町に向かったリーは、中学卒業以来会っていなかった友人アンドレが同じ飛行機に乗っていることに気付く。しかし、リーのことを知らないと言い張るアンドレ。この奇妙な再会をきっかけに、リーの少年時代の記憶がよみがえっていく。「唐人街探偵」シリーズや「国境ナイトクルージング」のリウ・ハオランがリーを演じ、ドン・ズージェンがアンドレに扮した。
大歓声に迎えられて登場した登壇者たち。「監督デビュー作が、東京国際映画祭のコンペティション部門に出品され、大変うれしいです」と語るドン・ズージェンは、「映画監督は長年の夢だったんです。ずっとその夢とともに歩んできました。この作品を撮ることになったきっかけは、別の映画に出演しているときに、スタッフがこの作品のもとになった小説を渡してくれたことです。登場人物に感動しましたし、子供の頃を振り返り、懐かしく感じました。子供が大人になる成長過程は苦痛に満ちている。そんなことを思いながら、とにかく作品を撮ってみようと思ったんです」と振り返った。
リウ・ハオランは「監督とは大親友で、ずっと一緒に遊んできた仲。そんな彼がある日『映画を撮るぞ。君が主演するんだ』と言ってきたのでびっくりしました」とオファー時を振り返り、「映画の撮影に入ってからは監督と役者という関係になりました。とにかくいい映画になるだろう、いい役柄になるだろうと信じていましたね」と伝えた。
本作でドン・ズージェンと初タッグとなったイン・タオは「今まで一緒に仕事をしたことはなかったんですが、出演作はたくさん観ていたんです。この若い俳優さん誰だろう? 演技がうまいなと思っていました。そんな中、ある日、監督からオファーが来てうれしかった。とてもうまい俳優さんですし、彼自身の角度から作品を描くことになるだろうと、全面的に信頼を寄せていました」と明かし、「私が演じる母親はとても神秘的なキャラクターという印象。とにかく一生懸命やりました」と伝えた。
イベント中にはリウ・ハオランが以前書いたエッセイに「ドン・ズージェンは頭がいいけれど、怠け者である」と記されていたことに触れ、「監督としての姿はどうだったのか? また今まで仕事をしてきたほかの監督と違うところは?」という質問が飛ぶ場面も。リウ・ハオランは「若い頃に書いたので、そういうふうに書いてしまったんです」と笑いつつ、「一緒に仕事をしていると、本当に真面目で、勤勉で決して怠け者ではないです」と語る。そして「監督と僕は年齢が近いし、受けた教育も似通ったものです。だから彼が書いた脚本、撮った映像を観たときに、自分と距離が近いなと思いました。年配の監督やカメラマンが撮ったものだと、自分との年代の差を感じることもあるんです」と話し、「アンドレもリーも我々と同じぐらいの年齢。僕たちの隣を歩いているような気がするキャラクターでした」と言及した。
最後に「この映画の中でどんなメッセージを伝えたかったのか?」と問われたドン・ズージェンは「この脚本を書いたとき、小さい頃のことを思い出して、懐かしいなと思いました。でも、いろんなことを忘れてしまっていたし、当時の友達とも連絡が取れなくなっていた。過去を振り返ってみると苦いこと、ハッピーなこと、悲しいことがいろいろあって、そんなことを全部脚本に書き込みました。そして僕が言いたかったのは愛には対価が必要であるということです。こういった問題を、映画を使って皆さんと探究すること、それがこの映画を撮る目的でした」と説明した。
なお会場には、キャストのチー・シンカイ(迟興楷)、ハン・ハオリン(韩昊霖)も登場し、大きな拍手が贈られた。
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「わが友アンドレ」リウ・ハオランが来日、ドン・ズージェンとほかの監督との違いとは
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