裏切りと策略が渦巻く南宋朝廷を舞台とした本作は、非業の死を遂げた南宋の名将・岳飛(がくひ)の遺詩から着想を得た“歴史陰謀サスペンス”。12世紀の中国、北方の強国・金に奪われた領土の回復を目指した英雄・岳飛が処刑されてから4年後、南宋の宰相・秦檜(しんかい)はついに金国との和平交渉に臨む。しかしその前夜、交渉の要となる金国の使者が殺され、南宋の皇帝に渡るはずだった極秘の手紙も消えた。そして若き武将・孫均(そんきん)と下級兵士・張大(ちょうだい)は事件に巻き込まれ、秦檜から「夜が明けるまでの2時間のうちに犯人を見つけよ」と命じられることになる。「ペガサス/飛馳人生」の
当初「紅夢」の続編を撮るために建設されたという壮大なスケールの舞台セットも本作の見どころの1つ。公開された映像では、広大な城内を疾走する兵士たち、何者かによって殺害された金の使者が映し出されていく。その後、叔父と甥の関係でありながら、張大を尋問する孫均の姿が捉えられた。
岩井は「イー・ヤンチェンシーの表現は常に新しさに溢れている。今回は何を手本にこの演技を発想したのか? 『少年の君』とも『小さな私』ともまったく異なるアプローチで、最近の若者感を微塵も感じさせずに南宋の武人を演じ切る」とたたえ、フリーアナウンサーの久米宏は「物語の展開は さすがチャン・イーモウだ 飽きさせるという言葉は 彼の辞書にはない 当然の事のように 安心して大団円を迎える事が出来る」と語った。
また映画評論家のくれい響は「二転三転どころじゃないダンジョンRPG的展開にハマること間違いなし!!」と、映画ソムリエの東紗友美は「映画的興奮が全身を貫いた157分。あっという間の時間だった」とコメント。映画ジャーナリストの徐昊辰は「ここ数年のチャン・イーモウ監督作の中で、最も完成度の高い一本だろう!」と伝えた。5人のコメント全文は後掲している。
映画「満江紅/マンジャンホン」は11月21日より東京・TOHOシネマズ シャンテ、シネマート新宿ほか全国で順次公開。配給はStrangerとTWINが担当する。
中国映画「満江紅/マンジャンホン」冒頭映像
岩井俊二(映画監督)コメント
イー・ヤンチェンシーの表現は常に新しさに溢れている。
今回は何を手本にこの演技を発想したのか?
「少年の君」とも「小さな私」ともまったく異なるアプローチで、
最近の若者感を微塵も感じさせずに南宋の武人を演じ切る。
久米宏(フリーアナウンサー)コメント
南宋が舞台の時代劇だ
チャン・イーモウ監督の腕は冴え渡り、映像は美しく、アクションは激しく厳しい
物語の展開は さすがチャン・イーモウだ
飽きさせるという言葉は 彼の辞書にはない
当然の事のように 安心して大団円を迎える事が出来る。
くれい響(映画評論家)コメント
チャン・イーモウ監督ならではの溜息こぼれる圧倒的な様式美に、
シリアスもコメディもこなす“中国のムロツヨシ”シェン・トンの多才な魅力。
両者が巧みに織りなす化学反応に加え、
二転三転どころじゃないダンジョンRPG的展開にハマること間違いなし!!
東紗友美(映画ソムリエ)コメント
朝廷内のカオスを見せる人間関係は文句なしに面白い!
全員が命懸けで嘘をつく。
疑心暗鬼に沈みながら、それでも終わらない騙し合いの連鎖に息を呑む。
登場人物の多さ、タイムリミットまでの緊張感、
一瞬たりとも目が離せずどんどん能動的になり、気づけばこの物語の中に巻き込まれていた。
映画的興奮が全身を貫いた157分。
あっという間の時間だった。
徐昊辰(映画ジャーナリスト)コメント
舞台喜劇とリアリズム、二つの調子を自在に行き来し、荒唐無稽さと壮大さが同居する独特の世界をつくり出している。滑稽でありながら、どこか叙事詩のような余韻を残す。
俳優陣は個性豊かで、異なる演技スタイルがぶつかり合いながらも絶妙に溶け合う。その“ずれ”さえも映画の味わいになっている。音楽もまた、意図的に“出すぎる”ことで作品にユーモアと自嘲のトーンを与える。
ここ数年のチャン・イーモウ監督作の中で、最も完成度の高い一本だろう!
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チャン・イーモウ監督作「満江紅」新映像、岩井俊二はイー・ヤンチェンシーに賛辞贈る(コメントあり) https://t.co/E6K31clolr