中国映画「西湖畔に生きる」(原題「草木人間」)が本日10月28日に第36回東京国際映画祭でワールドプレミア上映。東京・丸の内TOEIで行われたQ&Aにキャストの
同映画祭のコンペティション部門に出品されている本作は、「春江水暖~しゅんこうすいだん」のグー・シャオガンによる長編2作目。中国緑茶の産地として有名な西湖の沿岸に暮らす母親と息子の関係を軸に、経済環境の変化の中で揺れる家族の姿が美しい風景とともに描かれる。ウー・レイが息子の目蓮、ジアン・チンチンが母親の苔花を演じた。
まずグー・シャオガンは原題の「草木人間」に触れつつ「中国では“草”と“木”の間に人を書いて、お茶になるという言い方があります。お茶と物語の組み合わせが重要なんです」と述べ、「目蓮と苔花の名前にも植物が入っています」「普通の人々は草木のような生命を生きる運命があると考えているんです。道端に咲く花であり草木です。しかし定めがあっても、自ら努力をし人生を切り開いていく。そういったことを描きたかったんです」と述懐。また「中国には目連救母という伝説があって、地獄に堕ちた母親を目連が救おうとします。この伝統的な物語をどのように語っていくか? 地獄としてマルチ商法を描きました」と説明し、「親戚の中にもマルチ商法に関わっている人がいました。資料を集め、調べていけばいくほど荒唐無稽なことが社会の中で起こっている。取材を重ねて内容を豊かにしていきました」と思い返した。
「春江水暖」には多くの素人を起用したが、本作ではプロの俳優をキャスティングしたグー・シャオガン。「この作品では『春江水暖』とはまったく異なるスタイルを狙っています。山水画のような雰囲気を残しつつ、社会の一面を描いていく。どのようにマルチ商法を描くか?が挑戦でした」と明かし、「詐欺に遭いながらも一生懸命生きる庶民の姿を描き、社会で生きる意味を見出せるようにしたい。プロの役者さんに出ていただくことで映画の内容をわかりやすくするのが狙いです」と言及した。
イベント終盤には観客からキャストに質問が飛ぶ場面も。オファーを受けた理由を問われたジアン・チンチンは「『春江水暖』はとても素晴らしい映画で感激したんです。オファーがあったときはうれしくて、すぐに出演を決めました」と笑みをこぼし、「脚本を読んだとき、とても興奮しました。こういう役ができることがうれしかった。苔花は天国のようなところに行ったと思っている役。このようなエキセントリックなキャラクターは初めてで、私にとってチャレンジでした。すべてを解放して演じ切りました」と口にする。
母を救おうとする目蓮を演じたウー・レイは「ジアン・チンチンさんと同じく、『春江水暖』が大好きだったんです。そして『西湖畔に生きる』の脚本を読んで非常に感激しました。素晴らしい映画にきっとなるだろうと思いましたし、非常に演じたいと思ったんです。でも実はこんなに素晴らしい役をやってもいいのだろうか?と出演を迷いました。結局、監督が強く求めてくださって、家族もぜひやってみればと言っていたので出演することになりました」と伝えた。
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