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同映画祭のJapan Now部門に出品された「本気のしるし 劇場版」は、星里もちるのマンガを実写化したラブサスペンス。退屈な毎日を過ごすサラリーマン・辻一路の日常が、葉山浮世という女性に出会ったことで狂っていくさまを描く。
全10話のドラマ版を再編集した本作。4時間近い上映を終え、深田は「皆さん、まずはお疲れ様でした。実は今日僕も観て、しみじみいい映画だなと思いました」と観客に声を掛ける。20歳のときに原作と出会い、浮世というキャラクターに興味をそそられ、念願の映像化を実現させた深田。「男性をその気にさせることをポロッと言ったり。そうしないと男性社会の中で生きていけず、自分を守るため擬態しているように思えて、そういう設定が面白いと思いました」とその魅力を語る。また「浮世が真人間でいい子になってハッピーエンドを迎えるという成長譚にはしたくなかった。浮世の本質や人間性は変わらないまま終わりにしようと思いました」とこだわりにも言及した。
森崎はオーディションに合格し、台本を読んだときのことを「はてなマークが浮かび続けました」と回想。「辻さんのキャラクターに優柔不断なところが見受けられて。僕は物事をすぱすぱ決めていくタイプなので、もっとハッキリしてよ!と役にツッコんでしまいました」と明かす。対する土村は、1つ間違えると魔性の女に見えてしまう役どころだったが「監督に『いやらしさが出ないように、駆け引きが匂わないように』と言われていたので気を付けて演じました」と役との向き合い方を振り返る。
観客からは、森崎と土村に自身と役の共通点を尋ねる質問が。森崎は「僕は突き進んで、周りの人を巻き込んでいくタイプだと自分で思っています。でも撮影中に感じたのは、どこか寂しかったり、1人になると心細くなる瞬間があるということ。その部分を出して演じようとは思ってなかったけど、辻が1人で歩くシーンなんかは、どこか背中に出ているなと。辻になろうとして出たというより、ウィンと共通するものがあって漏れたんだと思います」と自己分析する。土村は「人として不器用なところは……『似ている』と言いたくないですが(笑)、要素としてはあります。それに浮世ほどではないにせよ、自分の中にも、誰かに求められることを欲している部分があるのかもしれません」と考えを巡らせた。
深田は2010年の東京国際映画祭で「歓待」が評価され、そこから世界で活躍する監督へと飛躍。“次の10年”について聞かれると「とりあえず生きなきゃ」と率直に述べ、「コロナ禍で、生きるうえで大切だと思っていた物事が『不要不急』と言われ、誰もが生き方を問い直されている時代。だからこそ文化芸術も大切だと思うのでコツコツ映画を作っていければ」と今後を見据えた。
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