第33回東京国際映画祭のJapan Now部門にて「
本作は2008年、28歳の深田晃司が発表した長編オムニバス映画。ダンサーのサインを求める2人の女性が夜の街を駆ける「白猫」、カメラマンの女性が初めて開いた個展で過ごす1日を描く「写真」、右腕を事故で失い幻肢症に苦しむ夫とその妻の関係を紐解いた「右腕」で構成されている。
この日、キャスト陣と一緒に本作を鑑賞した深田は「久しぶりに観直して直したいところもあれば、がんばっているなと思うところもある。当時やりたかったことを全部やりきった、思い入れの深い好きな作品です。こうして出演者の皆さんと一緒に観れて感慨深かった」「この撮影が大変すぎて、ちゃんとお金を集めて映画を撮ろうと思ったきっかけの1本でもあります」とコメント。荻野は「12年前……懐かしい気持ちと若いな!という思いでいっぱい。最初に観たときも私は喜劇に思えなくて。歳をとって考えも変わるかなと思ったら、やっぱり喜劇と思えなかった(笑)」と感想を語る。
古舘は自身が叫びながら花屋で猟銃を撃つシーンがなかったことに言及。撮影した記憶が残っていたため「やっぱりあのシーンはカットされてたんだと気付きました」と話すと、深田は「正確に言うと……最初に劇団内や映画祭で上映したときはあったんです。日本で何回も見せていくうちに、どうもあのシーンはなくてもいいんじゃないかという思いが募って。最初の完成から2年ぐらい経ってから切ってしまいました」と告白する。古舘は「切るとき俺に一言、言ったほうがよかった(笑)。最初からないものだと思ってたよ」と言葉を返す。
深田も所属する劇団・
2007年のアニメーション「ざくろ屋敷 バルザック『人間喜劇』より」」に続き、「東京人間喜劇」はフランスの文豪オノレ・ド・バルザックの「人間喜劇」と総称される作品群に着想を得て制作された。20代の頃にバルザックを読み込んでいたという深田には、ある小説の登場人物を別の作品にも登場させるバルザックの人物再登場法が大きな影響を与えたそう。「世界を見るときに、人物再登場法をやることで1つの視点ではなく、多角的な視点で世界を見ることがきる。世界の複雑さを複雑なまま提示できる。それを濃縮還元する形で映画でもできないかと考えました。自分の中では野心的な作品」と着想を明かした。
※古舘寛治の舘は舎に官が正式表記
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深田晃司「東京人間喜劇」は青年団のアンサンブルで作った“野心作”
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