二階堂ふみ×吉沢亮「リバーズ・エッジ」岡崎京子から言葉届く「みんな観てね!!」

「リバーズ・エッジ」の完成披露舞台挨拶が、本日1月31日に東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて開催され、二階堂ふみ、吉沢亮、森川葵、上杉柊平、SUMIRE、土居志央梨、監督の行定勲が登壇した。

岡崎京子の同名マンガを実写化した本作は、1990年代の都市に生きる若者たちの欲望や不安、焦燥感を描く物語。行定は「こんなに伝説的なマンガの映画化には、できれば携わりたくなかった。僕はハチの巣になるんだ、サンドバッグみたいにボコボコに言われるんだと想像していたんですが、主演の二階堂ふみにほだされて、まんまと監督をやらされています（笑）」と挨拶する。

主人公・ハルナ役の二階堂は、16歳の頃「ヒミズ」の美術スタッフに勧められて「リバーズ・エッジ」に出会い、自ら映画化を熱望したという。「衝撃がすごくて、自分の中に傷痕が残ったような感覚でした。その半年後くらいに映画化の企画が立ち上がって、こうしてお披露目するまでに7年くらい時間がかかっています。10代後半は、生きることを疑問に思ったりする頃。それは普遍的なテーマだと思う」と熱い思いを明かした。

ゲイでいじめられっ子の山田を演じた吉沢は「山田には、社会を斜めに見て死体に安心感を求めていながら、誰もが憧れを持つような男の子のことが好きっていう矛盾を感じました。それをどう描くかひたすら考えていました」と役作りを語る。摂食障害のモデル・こずえ役のSUMIREは「こずえのハルナに対する思いには温かみがあると思った。そういうところは共感できました」と解説。

山田をいじめる観音崎役の上杉は「やっていくごとに、上杉柊平という人間がわかってきた感じでした」と、友人の恋人と体を重ねる女・ルミ役の土居は「ルミみたいな女はすごく嫌いなんですけど、やっていくうちに『もしかしたら同族嫌悪なのかも、これは自分自身なのかも』と思った」とそれぞれ自身とキャラクターを重ね合わせる。また山田に過剰な愛情を募らせるカンナ役の森川は「私はカンナと性格が近いんです」と言って共演者を驚かせるが、「山田くんのことが好きっていう気持ちは、ここに来ている皆さんにわかってもらえると思う」と説明した。

本作の主題歌は、岡崎の旧友である小沢健二が書き下ろした「アルペジオ（きっと魔法のトンネルの先）」。二階堂と吉沢が“Voice”として参加している同曲について行定は「ふみちゃんから『たぶん小沢さんが書いてくれますよ』と聞いたときは『本当かよ!?』と思いました。できあがった曲は想像と違ったので、最後の“画”も変更させられたくらいです。でもこの曲はこれから生きていく人に対するエールにも感じたので、あの人は天才だなと思った」と語った。

また本作は、ドイツ現地時間2月15日から開催される第68回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門オープニング作品に選ばれ、行定、二階堂、吉沢がレッドカーペットを歩くことも決定している。映画祭に参加するのは初となる吉沢は「ドキドキしています。裏で監督に、『映画祭ってそもそも何をするものなんですか？』って聞いちゃいました（笑）。僕自身すごく挑戦して、魂を込めた作品なので本当にうれしいです」と胸の内を明かした。

最後に二階堂が、小沢とともに本作を鑑賞したという岡崎からのメッセージを紹介。封筒を取り出しながら「岡崎京子先生がこの映画を観てくださり、メッセージをいただくことができました。……『みんな観てね!!』」とその言葉を読み上げ、イベントを締めくくった。

「リバーズ・エッジ」は、2月16日より東京・TOHOシネマズ 新宿ほかにて全国ロードショー。

※「リバーズ・エッジ」はR15+指定作品