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カトリーヌ・ドヌーヴ来日、ドゥミ、ブニュエル、オリヴェイラ、ヒッチコックを語る

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カトリーヌ・ドヌーヴ

カトリーヌ・ドヌーヴ

カトリーヌ・ドヌーヴが講師を務めるマスタークラスが本日6月21日、東京・映画美学校にて行われた。

これは、6月22日から25日にかけて東京・有楽町朝日ホールとTOHOシネマズ 日劇で実施されるフランス映画祭2017の企画として行われたもの。「孤独な惑星」の筒井武文が司会を務め、映画美学校の生徒を中心に若い観客が集まった。

主演を務めたジャック・ドゥミの監督作「シェルブールの雨傘」の撮影について聞かれたドヌーヴは「予算も限られ、夜の撮影も多く、クレーン車など技術的な手段も欠けた困難な現場でした。しかもドゥミ監督はクレーンや移動撮影など複雑な撮影が好きで」とコメント。続けて「しかしドゥミ監督は予算が限られている中でも本質的なものは何も妥協しなかった。衣装などは節約したかもしれませんが、撮影期間、移動撮影や装置などの技術的な部分であきらめることはしなかった」とドゥミの姿勢に敬意を払う。

またドゥミの監督作「ロシュフォールの恋人たち」で共演した、自身の姉フランソワーズ・ドルレアックに対してドヌーヴは「双子のようなもの。相互補完的な存在でした」と回想。筒井が「ロバと王女」でロバの皮を被ったときの感想を聞くと、ドヌーヴは「約30kgの重さで、鉛でできたコートを羽織っているようだった。表面は本物のロバの皮でした」と撮影が厳しかったことに触れる。その言葉に筒井が「でも楽しそうに歌ってますよね?」と質問を投げかけると、ドヌーヴは「俳優がよくやるようにフリをしているだけです」と返し、観客の笑いを誘った。

「メフィストの誘い」などで仕事をしたマノエル・ド・オリヴェイラについて話が及ぶとドヌーヴは「オリヴェイラ監督との撮影は難しかった。『メフィストの誘い』は監督が移動撮影もズームもしないと決めた時期の作品で、私にとってそれは拘束的で人工的なものに見えました」と述べた後、「しかし同時に素晴らしく、突飛な監督でしたので、彼のそのスペシャルな演出に協力させていただきました」と当時の心境を語る。一方、「昼顔」のルイス・ブニュエルについては「自分が書いたシナリオに深く関わっている監督。俳優はそのシナリオを伝える存在に過ぎなかった。彼が想像したシーンを作ることしか俳優に求めてないようでした」と述懐した。

出演作「ハッスル」で監督を務めたロバート・アルドリッチに関してドヌーヴは「周囲の人たちが私を怖がらせようと、乱暴で女性があまり好きではなく、俳優にとてもきついなどとアルドリッチ監督の人柄について事前にいろいろと言ってきたんです」と述べ、「でも実際に現場に入ってみるとそんなことはまったくなく、撮影はとても濃密で、2台のカメラを使っていて私には新しい経験でした」と振り返る。また筒井から実現しなかったアルフレッド・ヒッチコックとの作品について聞かれると「たしかにヒッチコック監督にお会いしました。そしてヨーロッパで撮影の計画があり、脚本もいただいていました。しかし撮影の準備に入る前にヒッチコック監督は亡くなってしまった。出演したかったです」と悔しさをのぞかせた。

カトリーヌ・フロとの共演作「ルージュの手紙」がフランス映画祭2017で上映され、2017年冬に公開予定のドヌーヴ。同作で自身が演じるベアトリスに対して「偽りの無頓着さを持った女性。それによって彼女は、動き回り、食べて飲んで生き生きとしている」と説明する。

イベントでは観客との質疑応答も実施。女優として活動してきた中で、映画の現場にどのような変化があったかを聞かれたドヌーヴは「デジタル化」と述べ、「デジタルの容易さは見かけだけ。フィルムのとき監督は、さまざまな選択に慎重だった。でもデジタルだとなかなか撮影をやめられなくなり、ダラダラと長くなってしまう」と技術の進歩による現場の変化について触れる。「俳優の撮影の準備は、スポーツ選手と同じ。撮影は肉体的に体力がいるもの」と述べるドヌーヴは、若い女優から「演じるうえで一番大切なことは?」と質問を受け、「我慢強くあること。1日の中でカメラの前で演技する時間は短い。そのうえでカメラの前では強度を出すことが大切」と答え、質問者にエールを送った。

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