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岩井俊二「花とアリス殺人事件」イベント、新海誠が“生理的な生々しさ”を絶賛

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「新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol.71 映像の詩人・岩井俊二と新海誠」の様子。左から岩井俊二、新海誠。

「新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol.71 映像の詩人・岩井俊二と新海誠」の様子。左から岩井俊二、新海誠。

「新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol.71 映像の詩人・岩井俊二新海誠」と銘打たれたオールナイトイベントが、8月8日に東京・新文芸坐にて開催され、上映前の舞台挨拶に岩井俊二と新海誠が登壇した。

これは岩井が監督・脚本・原作を担った長編アニメーション「花とアリス殺人事件」のBlu-ray / DVDが、8月12日に発売されることを記念して行われたもの。同作のほか、その後日談で2004年公開の実写映画「花とアリス」、新海誠が監督を務めた劇場版アニメーション「秒速5センチメートル」「言の葉の庭」の計4作品が上映された。

初めに「花とアリス殺人事件」をアニメーションで制作した理由を聞かれた岩井は「実は『花とアリス』が完成した当初から、本作の着想があって、脚本の執筆も始めていたんです」と告白。「その時点では、主人公たちの小学生時代の話を描く脚本になっていてあの2人(蒼井優、鈴木杏)に出演してもらうのが難しいのはわかっていたんです。その後しばらく経ってから、アニメならできると考えました。僕自身、アニメ作品を手がけてみたいと思ったんです」と制作時を振り返る。

「花とアリス殺人事件」のBlu-ray / DVDに収められた特典映像の中で岩井作品から受けた衝撃や影響を、自らのスタイルと比較しつつ語っている新海。同作に自身の制作スタッフが参加していたことに触れ「制作当時、社内のサーバーをこっそり開いて映像素材を覗き見していたんです」と明かし、「そのときは、『これでうまくいくのかな』と疑問を覚えたんです。それらの素材の中にはキャラクターが動く様子をスローモーションで切り取ったものなどがあり、『アニメの文法でこれはできるのか』と思いました」と不安を感じたことを率直に述べる。続けて「でも完成品を観ると、実写映画と同じような生理的な生々しさが出ていて本当に素晴らしかった」と敬愛する監督の初長編アニメーションを絶賛した。

岩井は実写とアニメの違いを「実写は役者とのセッションで、台本に書かれていない前後の動きもわりと自由に撮れ、ある種のゆるさがある。でも、アニメにはそのゆるさがなく、CGのシーンと一緒で1つ1つを丁寧に積み重ねていくしかない」とコメント。続けて「しかしアニメーションを制作していて実写のほうがいろいろとあきらめちゃってる場面が多いなと感じました。実写では『こんな画撮れないだろう』と諦めてしまうイマジネーションが、アニメでは次々と浮かんでくる」と吐露する。「今は実写を撮っているんですが、アニメもまた手がけてみたい。成長しながら少しづつ前に進んでいきたいです」と意気込みを語った。

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