香港映画「
本作のもとになったのは、2013年に香港・大角咀(タイコックチョイ)で実際に起きた“両親殺害バラバラ事件”。ある日、ヘンリー・チョンは、友人アンガス・トンと共謀して両親を殺害し、遺体を切断する。2人の犯行は決定的と思われたが、アンガスの否認によってすべてが揺らぎ始めることに。そして弁護人と検察官の攻防、9人の陪審員による議論が繰り広げられていく。
香港公開時に本作を鑑賞したという徐昊辰は「21世紀に入ってから『香港映画はもうダメなんじゃないか』という声が聞こえるようになってきました。確かに香港の映画産業がどんどん小さくなっていく一方で、中国の映画市場が大きくなり、香港の映画人が中国で映画を作るケースも多くなった。だから香港映画の色がどんどん薄くなっているという考えが業界内でも広がっていきました。そんな状況の中、2010年代から香港政府が映画人を育てるため、新人の支援を始めたんです。その成果が2020年代に出てきた。『正義廻廊』はその1つの到達点と言えるような作品だと思います」と説明し、「コロナが落ち着いていない2022年に香港で公開され、口コミで爆発的な人気を得ました。その結果、香港R18+の映画史上ナンバーワンヒットを記録したんです。エモーション豊かな法廷劇であり、さらに正義とは何か? 法廷とは何か?を問いかける作家性の強い作品です」と紹介する。スペシャル通訳として登場したリム・カーワイも香港公開時に鑑賞したそうで「素晴らしい作品だと思いました。この作品はホー・チョクティン監督のデビュー作ですが、ご自身の力を存分に発揮していて、今の香港の現状もうまく描いていると思いました」と伝えた。
本作のプロデューサーを務めたのは、映画「九龍猟奇殺人事件」の監督として知られるフィリップ・ユン(翁子光)。ホー・チョクティンは、フィリップ・ユンの提案で本作を監督することになったそうで「映画化するにあたって実際に起こった事件のリサーチを始めました。実際のヘンリーは自分とあまり年齢が変わらないので、彼が経験したようなことを自分も経験していて共感する部分があった。ヘンリーは香港によくいるような人。そんな彼がなぜ両親を殺してしまったのか、すごく興味を持ちました。またアンガスの法廷での言動は本当なのか? もしくはパフォーマンスなのか? そこにも興味を持ったんです」と振り返る。
演劇的な演出が印象的だったという声が上がるとホー・チョクティンは「物語の中で現実、幻想、過去を混ぜ合わせて見せていくなら、舞台劇のように演出したほうがいいと。そうすることで現実とそうじゃないものの境目を浮かび上がらせることができるんじゃないかと思ったんです。例えば陪審員が議論するシーンでは、そのまま現実(議論している部屋)を撮影しようとすると空間も限られてしまう。でも舞台的にすることで、彼らが現実と過去を行き来できる。空間を飛躍的に拡張できると考えたんです」と意図を明かした。
イベント終盤には「ヘンリーを演じたヨン・ワイロンの印象は?」という質問が飛んだ。ホー・チョクティンは「フィリップ・ユンさんに推薦されたんですが、ヨン・ワイロンさんは実際のヘンリーと造形も似ているし、自信がないように見えたので、僕も演じてもらうことに賛成したんです。また、彼は実際のヘンリーの映像を数分観たあと、2時間以上キャラクターに関して語ってくれた。数分観るだけでこれだけ語れるなら、素晴らしい演技をしてくれるんじゃないかと思いました」と回想。そして「彼は舞台出身の俳優なので、ちょっと芝居がおおさげに見えることもある。撮影した映像を見ながら『ここを抑えてほしい』といったアドバイスをしました。何度も撮影する中で、ヨン・ワイロンさんが舞台俳優から映画俳優になっていくよう工夫していったんです」と思い返した。
最後にホー・チョクティンは「たくさんの観客の方が観ていただけてうれしいです。励みになります」と述べ、イベントの幕を引いた。
「正義廻廊」は全国で上映中。香港では一部の残酷描写でR18+に指定されたが、日本ではムヴィオラ、活弁シネマ倶楽部の配給のもとR15+指定で封切られた。
香港映画「正義廻廊」日本版予告
ホー・チョクティンの映画作品
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映画ナタリー @eiga_natalie
◤🇭🇰「正義廻廊」公開記念のQ&A開催、ホー・チョクティン(何爵天)が登場◢
・制作のきっかけはフィリップ・ユン
・演劇的な演出の意図
・ヨン・ワイロンの印象
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