「感慨深いです」くるり、5度目の武道館ライブ大盛況

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くるりが昨日1月17日に東京・日本武道館にて、ワンマンライブ「くるりワンマンライブツアー2012 / 13 特別公演 ~国民の成長が第一~」を開催した。

ダブルアンコール終了後、観客に挨拶するくるりとゲストプレイヤーたち。

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「くるりワンマンライブツアー2012/13 特別公演 ~国民の成長が第一~」の様子。

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岸田繁(Vo, G)

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佐藤征史(B)

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吉田省念(G, Cello)

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ファンファン(Tp, Key)

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ライブは昨年11月末に終幕したホールツアー「くるりワンマンライブツアー2012~国民の性欲が第一~」の特別編として実施されたもの。ホールツアーをともに回ったあらきゆうこ(Dr)に加え、ゲストプレイヤーとして堀江博久(Key)、権藤知彦(Euphonium)、BOBO(Per)、高田漣(G, Pedal Steel)、ザ・サスペンダーズの渕上祥人(Cho)と遠藤由美(Cho)を迎えた11人編成で3時間弱におよぶステージを繰り広げた。

会場は開演時刻19:00ぴったりに暗転し、オーティス・レディングの「I've Got Dreams To Remember」が流れる中でメンバーが駆け込むように登場。岸田繁(Vo, G)は「ありがとうね、集まってくれて。くるりです」と挨拶すると、「everybody feels the same」からバンドにとって5度目となる武道館公演をスタートさせた。

イントロで「わあっ!」とうれしそうな声が上がった「ロックンロール」、朝日のようなオレンジの照明の下でセッションが展開された「Morning Paper」で場内の空気が温まった頃、最初のMCが始まる。岸田は「ようこそライブハウス武道館へ! 男ならだれでも言いたいセリフですよ」と観客を笑わせると、初めて武道館のステージに立つ吉田省念(G, Cello)に水を向けたり、佐藤征史(B)と思い出話をしたりと気ままにトーク。すかさず電車トークも盛り込み「武道館にお越しの皆様と赤い電車に乗ってどこまでも行っちゃおうじゃないですか」と京浜急行の車掌の真似を披露したあとで「赤い電車」を届けた。

なお今回のライブでは、くるりは最新アルバム「坩堝の電圧(るつぼのぼるつ)」収録曲を軸にしながら、ファンから寄せられたリクエストを盛り込んだセットリストを展開。過去曲も惜しみなくプレイされ、岸田の独特のダンスが観客の目を引いた「WORLD'S END SUPERNOVA」などは序盤のハイライトとなった。またライブは中盤では「坩堝の電圧(るつぼのぼるつ)」からの楽曲が次々と披露されていく。朗らかなアンサンブルが光った「pluto」、ファンファン(Tp, Key)の凛とした歌声も魅力のひとつとなっている「dancing shoes」など、さまざまなタイプの曲がプレイされる。「argentina」の前には、岸田が今はアルゼンチンを走る丸ノ内線の旧車両について歌った曲であることを明かす。同曲の演奏中はタンゴのリズムに乗った艶のある歌声が会場に広がった。

穏やかなサウンドながら真摯なメッセージが込められた「soma」を経て、ロックモードにシフトしていったメンバーたち。「街」では岸田が鬼気迫る表情を浮かべ、太くエモーショナルな声で熱唱し、「ハローグッバイ」では大所帯ならではの厚みのあるアンサンブルが響く。また「ばらの花」は高田のペダルスティールが加わることで、曲の持つ繊細でセンチメンタルな一面が引き立てられた。その後も「年初めですし、良い年にしたいですから、みんなで歌いましょうか?」とステージにいる全員が合唱をした「Baby I Love You」。客電が点く中で演奏された「ワンダーフォーゲル」とヒット曲の連続に、オーディエンスの歓声が何度も沸き起こった。

「大量のエネルギーがこっちに向いてきてて、良いコンサートになりました」とはにかみながら語った岸田は、くるりがメジャーデビュー15年を迎えることを語る。「まさかその頃は15年後にこんなところにいるとは思わなかったね」と彼がつぶやけば、佐藤も「お客さんも昔は4人とかでね……」と笑う。そして岸田は「感慨深い系の話をしてもあれですが……感慨深いです」としみじみ述べた。さらに「この曲とは16、17年の付き合いになるんですが、今、メンバー全員京都に住んでるので、今は書いた頃と同じおのぼりの気分なんです。全身で魂の演奏をします」と口にすると、思いを込めて「東京」をパフォーマンスした。

アンコールが始まると、メンバーが笑顔を浮かべ、手を振りながらステージに戻ってくる。岸田は「もうちょっとやるわ。いや……くるりにしてはだいぶやる」と明言。長いアンコールの幕開けをiTunes Storeで配信中の新曲「Remember me」で飾った。1回目のアンコールは同曲と「リバー」のみだったが、ダブルアンコールは5曲演奏する大盤振る舞い。観客が息を呑んでステージを見つめる中で始まった「white out(heavy metal)」や、岸田とファンファンの掛け合いのような歌声が魅力の「シャツを洗えば」など新旧の楽曲が披露されていく。ステージに立つメンバーやゲストアーティストたちは疲れも見せず、心地良いセッションを重ねた。

「ついに最後の曲になってしまった。なかなか27曲はボリュームあるね。でもやってるほうはあっと言う間やな」と佐藤は3時間におよんだライブを振り返る。岸田はライブ前日にTwitter上で話題を呼んだ、くるりのチケットを落としたファンを探す一連の出来事について触れるも次第に話の方向を見失い、「何を話しているのかわからなくなってしまった。頭は真っ白ですが、ありがとう」と照れくさそうに笑った。そして始まった「glory days」で、岸田は歌詞の一部を「武道館のお客さんも」と変え観客を喜ばせる。全27曲を演奏し終えたあと、舞台を降りる前に力強く両手を振り、端から端まで見渡したメンバーたち。その姿にオーディエンスは温かく力強い拍手を送り続けた。

なおこの武道館公演の様子は、2月16日(土)深夜にNHK BSプレミアムで「音楽熱帯夜~くるり 武道館ライブ~」としてオンエアされる。

くるり「くるりワンマンライブツアー2012/13 特別公演 ~国民の成長が第一~」
2013年1月17日(木)東京都 日本武道館 セットリスト

01. everybody feels the same
02. ロックンロール
03. Morning Paper
04. 赤い電車
05. WORLD'S END SUPERNOVA
06. 惑星づくり
07. pluto
08. crab, reactor, future
09. falling
10. dancing shoes
11. argentina
12. soma
13. マーチ
14. 街
15. ハローグッバイ
16. ばらの花
17. 太陽のブルース
18. Baby I Love You
19. ワンダーフォーゲル
20. 東京
<アンコール>
21. Remember me
22. リバー
<ダブルアンコール>
23. white out (heavy metal)
24. シャツを洗えば
25. 春風
26. 地下鉄
27. glory days

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音楽ナタリー @natalie_mu

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