スピッツ「新木場サンセット」で盟友&若手が入り乱れ

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スピッツが主催する夏のライブイベント「Spitz×VINTAGE ROCK presents 新木場サンセット 2010」が、8月16日・17日に東京・新木場STUDIO COASTで行われた。

スピッツ(写真は8月16日の様子)

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スピッツ(写真は8月17日の様子)

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怒髪天

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サンボマスター

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ジョン・B&ザ・ドーナッツ!

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People In The Box

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カジヒデキ

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UNISON SQUARE GARDEN

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OLDE WORLDE

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sleepy.ab

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中山うり

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毎年に大阪と仙台の2都市でゲストを招きライブイベントを開催してきたスピッツだが、夏に東京でイベントを実施するのは今年が初めて。両日ともに幅広いアーティストが熱演を展開したほか、会場内には屋台なども出店され、フェスさながらの盛り上がりをみせた。

■ 1日目:8月16日

主催者のスピッツを含め、カジヒデキサンボマスター、ジョン・B&ザ・ドーナッツ!、怒髪天People In The BoxBase Ball Bearというラインナップが集った初日。トップバッターの怒髪天・増子直純(Vo)の「はい来た! 新木場!」という挨拶に続いて「オトナノススメ」が始まると、場内の温度とテンションが急上昇した。MCで「一番最初に会場をあっためてくださいって言われたけど、外は40℃? もうあっためなくていいでしょ?」とこの日も舌好調だった増子兄ィ。スピッツとのなれそめを語った後で「スピッツみたいに素敵な恋の歌は歌えないんですけど、せっかく夏なんで、素敵な夏の曲を用意しました」と語り榊原郁恵「夏のお嬢さん」のカバーを熱唱。怒髪天流にアレンジされたサマーチューンと、オリジナルの振り付けまで真似する手の込みように場内は大盛り上がり。暑さを倍増させるような熱烈なパフォーマンスに大きな拍手が贈られた。

イベントはメインとなる屋内の8823ステージとテントに設置された3373ステージの2ステージ制で展開され、怒髪天のライブ直後には3373ステージにジョン・B&ザ・ドーナッツ!が登場。フロントマンのジョン・B・チョッパー(Vo,G)は林幸治(B/TRICERATOPS)、岡本奈穂子(Dr/つばき)らを引き連れ、グルーヴィなベースラインが光る「Sleep John B」や、自身が作詞を手がけた新曲「白い星」など5曲を熱演。「40過ぎてから歌い出して、これはえらいことやなと思ったんですが……。このイベントで今後のことを判断しようと思います(笑)」と自虐的に語りながらも、味わいのあるボーカルを響かせた。

怒髪天同様、前のめりなステージングで8823ステージを沸かせたのはサンボマスター。山口隆(Vo,G)が「今日は最高の夏フェスをしにきました!」と宣言したとおり、「世界をかえさせておくれよ」「できっこないを やらなくちゃ」と盛り上がり必至の熱いライブアンセムが連発され、フロアとの一体感が生み出されていく。中盤ではバンドのしっとりとした一面を味わえる「きみはともしび」「ラブソング」の2曲も演奏され、情感たっぷりのボーカルと芯のある演奏がオーディエンスの耳と心を引きつけていた。

続いて3373ステージに立ったPeople In The Boxは、絶妙なアンサンブルとファンタジックなサウンドスケープを展開。複雑な展開を聴かせる「天使の胃袋」や、10月にリリースされるニューアルバムから華やかなギターソロが印象的な「新市街」、ストレートなアップテンポナンバー「アメリカ」を披露し、独自の世界観で場内を魅了していく。終盤で山口大吾(Dr)の暴走MCを挟んで、最後は「月曜日 / 無菌室」で穏やかに締められた。

出演者の中でも若手のBase Ball Bearは、新旧の楽曲をバランスよく織り交ぜたセットリストを用意。湯浅将平(G)にスポットライトが当てられ、タイトルどおりドラマチックな演出で始まった「ドラマチック」や、フラッシュライトの点滅が楽曲のスリルを倍増させた「SOSOS」、盛大なコール&レスポンスがこだました「ELECTRIC SUMMER」などエネルギーがほとばしるステージでフロアを魅了した。さらに小出祐介(Vo,G)は小学生時代に謝恩会で「空も飛べるはず」を合唱した過去を告白。当時の担任の指導でなぜかホウキを持って歌うハメになった珍事を明かし笑いを誘い、ギターを初めて手にした中学1年のときに「空も飛べるはず」をコピーしたことを語った。そして「夕方ジェネレーション」の前にそのイントロを爪弾き、スピッツファンの喝采を浴びていた。

陽もすっかり暮れた頃、3373ステージではカジヒデキのステージがスタート。この日はRiddim Saunterの古川 "TA-1" 太一(Dr)をはじめ、強力なアーティストがサポートを担当。カジの代表曲とも言える「甘い恋人」や、Riddim Saunterとのコラボレーションが実現した新曲「亜熱帯ガール」が贅沢なアンサンブルで再現された。また曲の合間には「スピッツと同じ1967年生まれなんですが、昔メジャーデビュー前とかライブを観に行ってて、ホント素晴らしいバンドで。でも、一緒にライブをやるのは初めてなんです。今日は誘ってくれて本当にありがとうございます」とスピッツに感謝を伝えていた。

トリのスピッツはイベントにふさわしい「夏の魔物」でライブの幕開けを飾り、「チェリー」「放浪カモメはどこまでも」と名曲を連発。みずみずしいサウンドスケープで、フロアをスピッツワールドに染め上げていく。冒頭のMCでは「今日は暑かったですね、僕のかわいい夏の魔物ちゃんたち」と口にしたあと、照れくさそうに「カジヒデキ君の後なので調子に乗っちゃいました」とエクスキューズする草野マサムネ(Vo,G)に観客は大爆笑。その後も笑いにあふれたトークが続き、アットホームな雰囲気が会場を包み込んだ。「ビギナー」「つぐみ」といった新曲を美しく響かせた後は、大沢誉志幸「そして僕は途方に暮れる」のカバーへ。スピッツらしいアレンジを取り入れたカバーに観客はうっとりと聴き入った。

中盤のMCでは草野が「見てみたかったバンドの方々に出てもらって、今日はライブやりたくないって思ったもん。(客席を指して)そこにいたい! でもがんばるぜ!」と男らしく宣言。しかし「でも『がんばるぜ』って変かな。語尾に『ぞえ』とかつけるといいのかな……。いや喋り口調だから『ね』かな? 最後までいくね―!」とシャウトするとフロアは微妙な空気に。失笑する観客をなだめるように「(スピッツは)定食食べた後のたくわんみたいなバンドなんで。続いては夏っぽい曲をやるんで、ついてきてください」と爽やかな「渚」につなげた。

アンコールではTシャツのデザインがヘヴィメタル風であることを受け、44MAGNUMの名曲「I'M ON FIRE」のワンフレーズをカバー。普段のスピッツからは想像できない、轟音とシャウトの応酬にオーディエンスも大興奮。あまりの会場の盛り上がりに「あの……スピッツの曲やっていい?」と草野がおずおずと問いかける場面もあった。そして演奏されたのは、ハッピーなムードが漂う「マーメイド」と甘酸っぱくノスタルジックな気持ちにさせる「夢追い虫」の2曲。こうして初日の「新木場サンセット」は穏やかな空気に包まれ幕を下ろした。

■ 2日目:8月17日

前日に続き猛暑に見舞われた2日目は、ゲストにOLDE WORLDETHE COLLECTORSthe pillowssleepy.ab中山うりUNISON SQUARE GARDENの6組が登場。8823ステージの“オープニングアクト”を務めたTHE COLLECTORSは、「TOUGH」「たよれる男」といった軽快なロックンロールナンバーの数々で満員のフロアを引きつける。モノトーンのスーツでキメた加藤ひさし(Vo)の朗々とした歌声、卓越した演奏で紡がれる楽曲をオーディエンスは全身で受け止めていた。

「今日はオープニングアクトっていうのをしてみたくて。(出演者の中で)一番年寄りなんですけど、新人らしくね」「コレクターズっていう名前だけ覚えて帰ってよ!」と加藤が語れば、古市コータロー(G)は「最後まで楽しんで帰ってください」とトップバッターらしい煽りで会場を盛り上げ笑わせた。

この日、3373ステージのトップバッターとして登場したのはOLDE WORLDE。夕暮れどきにぴったりな「cosmic love」で口火を切ると、カラフルな音像が楽しめる新曲やアコースティックギターの素朴な音色が光る「mother&boy」と緩急をつけた流れで外に出てきた観客をテントに誘う。「ちょっと楽しい曲をやってみます」という紹介で始まったのは、まくし立てるような歌い方が印象的な「How's your friday?」。軽快なリズムに乗せて小さなハコが揺れる中、続いての「DOODLE ON THE LANE」ではマイク2本を持ちラップを繰り出す。変幻自在のユニークなステージに、オーディエンスは翻弄されっぱなしだった。

続いてメインステージでパフォーマンスを披露したUNISON SQUARE GARDENは、メジャーデビュー以降の楽曲を中心にしたセットリストを展開。春先のツアーを経て磨きあげられたバンドサウンドで、序盤はアップテンポで明るめの楽曲で攻めつつ、中盤の「キライ=キライ」では攻撃的な一面をあらわにするなど緩急をつけた流れでフロアを圧倒した。一方トークでは斎藤宏介(Vo,G)が「メインステージではかなりの感じで若手なんですが、最後まで楽しんでいってください。どこまでも自由に僕たちなりのやり方で楽しませていただきます」と初々しくコメント。さらに「今日のイベントが今日だけでなく、どんどんつながっていくといいなと思います」と主催者のスピッツに向けてメッセージを送った。

3373ステージの2番手を務めたsleepy.abは、暑さを和らげるような楽曲をセレクト。荘厳なギターが楽曲をリードする「メリーゴーランド」や、爽やかな余韻を残す「君と背景」と涼しげなナンバーが続く。丁寧に紡がれる楽曲によって、蒸し風呂状態の場内が幻想的な空気で満たされた。また成山剛(Vo,G)は汗を滴らせながら、「スピッツさんとは2年くらい前に札幌で一度競演したことがあって、そのときに『企画があるから出てよ』って言われたんですけど、本当に呼んでもらえてうれしいです。僕、ずっとファンだったんで感無量です」と笑顔で語った。

次に8823ステージに登場したのは、スピッツと同世代のthe pillows。「ターミナル・ヘヴンズ・ロック」「バビロン 天使の詩」「Funny Bunny」とライブ映えする楽曲の合間には、新曲「Movement」も披露。王道のリフとグッドメロディが炸裂した爽快なロックナンバーに、観客は熱狂した。勢いと貫禄を兼ね備えたステージや熱いメッセージを届けつつ、「今日は最後まで楽しんでいってください」とTHE COLLECTORSを真似た発言を繰り出し会場を笑わせた彼ら。途中で山中さわお(Vo,G)は「今日はTHE COLLECTORSもスピッツも先輩っていう、珍しい感じで。久しぶりにスピッツに会ったんだけど、マサムネ君は老けないよねぇ。少年のようだし、俺の想像ではまだ童貞なんじゃないかと……」とニヤリ。ユーモアたっぷりのMCに場内が何度も笑いで包まれた。

そしていよいよ2日間にわたったイベントも終盤に。3373ステージのトリは、このイベントで唯一の女性アーティスト中山うり。ムード歌謡風の新曲「熱帯夜」、旅情を誘う「マドロス横丁」、チャカポコとしたにぎやかな音が笑顔を呼ぶ「生活の柄」など計6曲を豊潤なアンサンブルで再現。特にラストナンバー「暁のフォルテシモ」では目を閉じ聴き入る人の姿も見られ、都会の喧騒を忘れさせてくれるようなリラックスした時間を提供してくれた。

大トリのスピッツは前日とほぼ同じセットリストで進めつつ、中盤のカバーコーナーではスピッツらしいアレンジを取り入れた「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」を披露したほか、MCでは出演者をネタにトークを展開。マサムネは「THE COLLECTORSとかthe pillowsは一緒にバブル前から活動してるバンドで、今日のライブもぶっとい芯があって、負けられないなって。もう1枚(スピッツという)ブ厚いステーキを食べてくれるかい?」と問いかけ、「最後まで楽しんでいってください」と口にし場内を沸かせた。

そしてアンコールでは、黒地のヘヴィメタル風Tシャツに全員が着替えて登場。もちろんこの日もアンコール1曲目の前に「STREET ROCK'N ROLLER」のワンフレーズをカバーする太っ腹ぶり。しかし前日よりうまく演奏できなかった様子で、マサムネが「今日はちょっと駄目だったね」と悔しそうにしていると、三輪テツヤ(G)が「ヘヴィメタは難しいんだよ! だからスピッツやってるんだから(笑)」と返し会場を笑わせた。

その言葉に続いたのは、スピッツにしか作り得ないエバーグリーンなポップチューン「マーメイド」と「青い車」。満員のフロアを爽やかなサウンドスケープが満たし、初めての「新木場サンセット」は大団円で終幕。演奏を終えると、﨑山龍男(Dr)はドラムスティックを観客にプレゼントし、マサムネは微笑みを浮かべ大声で「ありがとう!」と叫ぶ。ステージ上の充足感はフロアにも伝わり、観客は力強い拍手でメンバーを見送った。

「Spitz×VINTAGE ROCK presents 新木場サンセット 2010」8月16日セットリスト

怒髪天
01. オトナノススメ
02. 労働CALLING
03. ロクでナシ
04. 夏のお嬢さん
05. 酒燃料爆進曲
06. 真夏のキリギリス

John.B & The Donuts!
01. Sleep John B
02. まだ始まっても 終わってもない
03. free
04. 真夜中のキッチン
05. 白い星

サンボマスター
01. 世界をかえさせておくれよ
02. 美しき人間の日々
03. できっこないを やらなくちゃ
04. きみはともしび
05. ラブソング
06. そのぬくもりに用がある
07. 世界はそれを愛と呼ぶんだぜ

People In The Box
01. 天使の胃袋
02. She Hates December
03. 新市街
04. アメリカ
05. ペーパートリップ
06. 月曜日 / 無菌室

Base Ball Bear
01. ドラマチック
02. SOSOS
03. changes
04. 夕方ジェネレーション
05. レモンスカッシュ感覚
06. ELECTRIC SUMMER
07. 祭りのあと

カジヒデキ
01. Sally my love
02. 夏物語
03. 甘い恋人
04. 亜熱帯ガール
05. August of P
06. Too Much Too Young
07. ラ・ブーム~だってMY BOOM IS ME~

スピッツ
01. 夏の魔物
02. チェリー
03. 放浪カモメはどこまでも
04. ビギナー
05. つぐみ
06. そして僕は途方に暮れる
07. 渚
08. トンガリ'95
09. けもの道
<アンコール>
10. マーメイド
11. 夢追い虫

「Spitz×VINTAGE ROCK presents 新木場サンセット 2010」8月17日セットリスト

THE COLLECTORS
01. TOUGH
02. エコロジー
03. たよれる男
04. 未来のカタチ
05. 青春ミラー(キミを想う長い午後)
06. TOO MUCH ROMANTIC
07. 東京虫バグズ

OLDE WORLDE
01. cosmic love
02. 新曲
03. mother&boy
04. How's your friday?
05. temmy
06. DOODLE ON THE LANE
07. 12air

UNISON SQUARE GARDEN
01. クローバー
02. センチメンタルピリオド
03. 等身大の地球
04. キライ=キライ
05. MR.アンディ
06. cody beats
07. 23:25

sleepy.ab
01. メリーゴーランド
02. 君と背景
03. ドレミ
04. メロディ
05. ねむろ

the pillows
01. Dance with God
02. YOUR ORDER
03. ターミナル・ヘヴンズ・ロック
04. I know you
05. バビロン 天使の詩
06. Movement
07. Funny Bunny
08. スケアクロウ
09. No Surrender
10. ハイブリッドレインボウ

中山うり
01. 月とラクダの夢を見た
02. 夏祭り鮮やかに
03. 熱帯夜
04. マドロス横丁
05. 生活の柄
06. 暁のフォルテシモ

スピッツ
01. 夏の魔物
02. チェリー
03. 放浪カモメはどこまでも
04. ビギナー
05. つぐみ
06. Swallowtail Butterfly~あいのうた~
07. 渚
08. トンガリ'95
09. けもの道
<アンコール>
10. マーメイド
11. 青い車

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読者の反応

りこ(栗鼠) @Sky_Rkspz

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2010年の新木場サンセット。楽しいねー!

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