今年のテーマは生と死
「RANTAN-CIRCUS」は、360°の円形ステージが特徴のクラブeXをサーカス小屋に見立て、チャランポの世界観を構成する1つの要素である“サーカス”を音楽とパフォーマンスで表現するイベント。結成15周年記念公演として行われた昨年の「RANTAN-CIRCUS」は、姉妹で歩み続けた15年を凝縮したかのようなステージが繰り広げられ、来場したファンたちは大いに笑い、大いに涙した。
姉の小春は今年1月に第1子出産を発表。出産時期は明かされていないが、昨年の「RANTAN-CIRCUS」の頃には身ごもっていたという。一方、妹のももは昨年の「RANTAN-CIRCUS」の前に、ディズニー映画「リメンバー・ミー」で、死を世の延長と考える死生観がよく知られるようになったメキシコを、女優の吉岡里帆と筧美和子とともに訪問。その旅先で体調不良を起こして死にかけた経験やメキシコの有名な画家・フリーダ・カーロの言葉「VIVA LA VIDA(=人生万歳)」という言葉との出会い、そして実の姉の出産という、ももにとって大きな出来事の数々を「生と死」という壮大なテーマに落とし込み、今年の「RANTAN-CIRCUS」は開催された。4公演ともチケットはソールドアウトし、満員の観客が2人と仲間たちが創り上げるサーカスを楽しんだ。
大道芸人たちと繰り広げるサーカスが開幕
大きな花が咲き乱れ、メキシコらしいパペルピカドが彩る会場で、パントマイムユニット・シルヴプレが「生と死」をテーマにしたステージを繰り広げたあと、小春がアコーディオンを弾きながら登場。彼女に続いて行進してきたパフォーマーたちがシルヴプレを連れ去ると、ももが現れ「さよなら遊園地」を歌い始めた。「サーカス・サーカス」では長谷川愛実と吉川健斗のコンビがジャグリングを披露し、「71憶ピースのパズルゲーム」ではSUKE3&SYUがももを交えてド派手なアクロバットを披露。「RANTAN-CIRCUS」の見どころの1つである大道芸と演奏のコラボレーションで来場者を盛り上げていく。
回転するステージで「内緒の唄」を届けたあとは、小春とバンドが繰り出すにぎにぎしいサウンドに乗ってももが「置行堀行進曲」を熱唱。「メビウスの行き止まり」のステージにはSUKE3&SYUが参加し、曲が進むにつれて2人のアクロバットの難易度が増していくというスリリングな展開に。ももはSUKE3&SYUの2人に担がれながらパワフルな歌声を響かせ、観客から大歓声を浴びた。
アバンチュール、麻雀、お茶会、歯医者、ロシア
人生はよく四季にたとえられる。「生と死」をテーマにした今年の「RANTAN-CIRCUS」のセットリストも四季を意識したものだった。どこかセンチメンタルな「春のあお」から「メビウスの行き止まり」の熱演で会場を熱くさせたチャランポは、ひと夏のアバンチュール描いた「明日には忘れて」で、このサーカス小屋の季節を夏に変えていく。バーレスクダンサーのCoppelia CircusとLuluを迎えた妖艶なステージが終わると、夏の終わりと恋の終わりを描いた「つぎ会ったら」へ。アコーディオン1本の伴奏に乗せて、姉妹ならではの抜群のハーモニーを響かせ、夏の終わりの寂しさを演出すると、一度2人はステージを降りた。
シルヴプレのパントマイムによる抱腹絶倒な物販紹介が終わり、衣装チェンジしたチャランポはファンキーな「麻イイ雀」でステージを再開。カンフースーツをまとったSUKE3&SYUが持つ銅鑼を小春がダイナミックに叩き、バンドの演奏も徐々に熱を増していく。続く「お茶しよ」では、2人の母お手製のティーカップとポットをモチーフにした衣装をまとったパフォーマーたちがステージをくるくると回り、にぎやかなティーパーティが繰り広げられた。女子たちのあるあるを描いた「お茶しよ」から“女”つながりで披露された「無神経な女」では、シルバーやセラミックなど、歯科治療に用いられる素材の名前でコール&レスポンス。そして狂気的な束縛をポップに歌う「みてるよ」に続き、チャランポは「コ・ロシア」を披露する。「コ・ロシア」ではホーンが吹き乱れる中で、2人がエネルギーを爆発させるようにパフォーマンスを繰り広げ、この公演のハイライトを飾った。
VIVA!人生!
愛しい人と決別し、新たな道を歩む姿を描いた「あの丘の向こう」から、その物語の続きをつづるように始まったのは「旅立讃歌」。ももは高らかに「一瞬よ人生はどうしたって終わっちゃう 過去に戻る扉なんて必要ない」と前向きなメッセージを歌い上げ、小春はアコーディオンの速弾きでオーディエンスを再び熱狂させる。長谷川によるエアリアルパフォーマンスも会場を大いに盛り上げた。
「夢の華よ」にて、Coppelia CircusとLuluとのコラボレーションで妖艶な雰囲気を作り上げたチャランポ。ここでももは今回のライブのために用意した新曲「VIVA!生きる!!」に込めた思いを明かす。そして披露された「VIVA!生きる!!」は、ももがメキシコで死にかけた経験から「生きてさえいれば大好きな歌が歌える、そんな人生は最高だ」という思いで歌詞を書き上げた1曲で、観客たちはももに促されるままにメキシカンなサウンドに乗って「VIVA!」のコールを唱えた。オープニングとつながるシルヴプレによるパントマイムを経て、チャランポは新曲「mito」をパフォーマーたちと行進しながら披露。「自分の人生は自分だけのもの」というメッセージを込めた「ページをめくって」を爽快に歌い上げたあと、パフォーマーたちとオーディエンスと「ぽかぽか」で盛り上がる。そして最後にチャランポは「季節は廻る」を2人きりで届け、「RANTAN-CIRCUS 2025」を締めくくった。
セットリスト
チャラン・ポ・ランタン「RANTAN-CIRCUS 2025」2025年6月29日 東京都 クラブeX
01. さよなら遊園地
02. サーカス・サーカス
03. 71憶ピースのパズルゲーム
04. 内緒の唄
05. 置行堀行進曲
06. リバイバル上映
07. 春のあお
08. メビウスの行き止まり
09. 明日には忘れて
10. つぎ会ったら
11. 麻イイ雀
12. お茶しよ
13. 無神経な女
14. みてるよ
15. コ・ロシア
16. あの丘の向こう
17. 旅立讃歌
18. 夢の華よ
19. VIVA!生きる!!
20. mito
21. ページをめくって
22. ぽかぽか
23. 季節は廻る
チャラン・ポ・ランタンもも @momochan_
【ライブレポート】VIVA!生きる!!チャラン・ポ・ランタン、今年のランタンサーカスも大盛況(写真114枚) https://t.co/WZWAutOWo4