千葉雄喜が初の武道館ワンマンで「チーム友達」とマイクリレー、空の下で「永遠」の世界を表現

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千葉雄喜の初のワンマンライブ「千葉 雄喜 - STAR LIVE」が7月3日に東京・日本武道館で開催された。

千葉雄喜(Photo by Daiki Miura)

千葉雄喜(Photo by Daiki Miura)

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日本のヒップホップシーンを塗り替えた伝説的ラッパーKOHHとしての活動を2021年末に終えるも、2024年初めに現名義でリリースした「チーム友達」で劇的にシーンにカムバックした千葉。国内外のラッパーが参加した「チーム友達」のリミックスが話題を呼び続ける中、ミーガン・ザ・スタリオンの楽曲「Mamushi」に客演として迎えられ、同曲のスマッシュヒットにより、プロデューサーのKoshyとともに世界にその名を轟かせることとなった。

その勢いのまま昨年12月に1stアルバム「STAR」をリリースした千葉は、今年3月に2ndアルバム「億万長者」をリリースし、6月には3rdアルバム「永遠」と“Stillz & Yuki Chiba”名義でのアンビエントアルバム「separated at birth」を同時リリース。このほか監修した梅しそおかきの発売や、地上波番組でのマツコ・デラックスとの共演といったトピックもあり、シーン復帰以来、千葉は話題を絶やすことなく、初ワンマンの日を迎えた。

世界的プロデューサーとのコラボ

マーダ・ビーツによるパフォーマンスの様子。(Photo by Daiki Miura)

マーダ・ビーツによるパフォーマンスの様子。(Photo by Daiki Miura)[拡大]

ライブ当日、武道館に足を踏み入れた観客を出迎えたのは、「STAR LIVE」というタイトルにふさわしい星型のステージだ。スタンドのどこからでもしっかりと全体を見渡せる形であり、ステージから伸びる花道は手を伸ばせば届きそうなほど客席に近い。その距離感が来場者を興奮させる中、開演時刻の19:00を迎えると、始まったのはマーダ・ビーツのDJパフォーマンス。マーダ・ビーツは、ドレイク、トラヴィス・スコット、カーディ・B、アリアナ・グランデといったトップアーティストたちの楽曲を手がける世界的プロデューサーであり、彼とのコラボは千葉が名実ともに世界に進出した証の1つと言えるだろう。

USラッパーの重低音が効いたクラブヒットの数々に、Queen「We Will Rock You」やNirvana「Smells Like Teen Spirit」といった誰もが知るキラーチューンを織り交ぜてプレイし、約30分にわたって会場を沸かせたマーダ・ビーツ。彼が「Lite it up!」と呼びかけると、スマホのライトで星空のような光景が広がる中、唐突にステージ中央から千葉が姿を見せる。白いシャツにタンクトップ、ジーンズというラフな服装の千葉は、マーダ・ビーツとの共作曲「Maybach」を歌いながら、ステージを縦横無尽に躍動。「行くぞ! みんなで行こう!」と叫び、武道館を一気に熱狂で満たした。

青空の下で歌うスターの“ありのまま”

雑誌のインタビューなどで、武道館に「空を作る」と宣言していた千葉。そのアイデアは映像作家であり、さまざまなライブ演出を手がける山田健人により具現化され、ステージの頭上に設置されたLEDスクリーンには、青い空と白い雲が映し出される。そんな千葉の純粋さが表れた演出の中、彼は着飾らない自身の姿を歌った「ありのまま」「ユニクロ」を連発。シンプルなワードの連呼で構成された楽曲は歌いやすく、ファンは千葉の求めに応じて声を出して盛り上がる。

青い空の下で歌う千葉雄喜。(Photo by Daiki Miura)

青い空の下で歌う千葉雄喜。(Photo by Daiki Miura)[拡大]

360°を囲む観客に「こんにちは」と礼儀正しく挨拶した千葉は、大きな星型のネックレスを身に付けて、カタカタと鳴らすと「このチェーンが歌う」に突入。そこからチェーンの重さを歌った「重てえ」、世界中の女性から届くDMをテーマにした「ハート絵文字」につなげ、スターとなった彼のリアルをKoshyのバウンスビートに乗せて届けていく。

「千葉 雄喜 - STAR LIVE」の様子。(Photo by Daiki Miura)

「千葉 雄喜 - STAR LIVE」の様子。(Photo by Daiki Miura)[拡大]

「全員のiPhoneのライトを見せてほしいです」という呼びかけから「パンパンなフロア」を歌って、リリックで描いた通りの盛り上がりを生み出した千葉は、「ワンピースなら俺モンキー・D・ルフィ 海賊王になっちゃおかな」という無邪気なフレーズも印象的な「BANK」をエネルギッシュにスピット。ライブで被せを使用するラッパーも多いが、ロックスター然とした迫力あふれる生の声を浴びせてくれるのも千葉の魅力だろう。

桁違いの発表から「チーム友達」大集合

ライブ中盤、千葉は「契約金が3億円で、アルバム2枚」という条件でワーナーミュージックと契約したことを発表し、グラミー賞を獲ると宣言。そんな景気のいいMCから「商売繁盛」が始まると、彼の友人たちが何十人もステージに押し寄せる。少し目を離したら千葉を見失ってしまうほどに、ステージは人でいっぱいだ。

千葉雄喜と“友達”で埋め尽くされたステージ。(Photo by Daiki Miura)

千葉雄喜と“友達”で埋め尽くされたステージ。(Photo by Daiki Miura)[拡大]

この混沌とした状況から始まったのが、多数の“友達”を迎えた「チーム友達」のマイクリレー。この曲を千葉と一緒に作り上げた関西のYoung CocoJin Doggがまず登場し、千葉をリスペクトする若手トップラッパーのWatson、BMSG社長として音楽業界を牽引するSKY-HI、東海を代表するSOCKS、¥ellow BucksMaRI、DJ RYOW、千葉のルーツでもあるキングギドラが続々と集まる。ステージが個性あふれる“友達”で埋め尽くされる中、千葉は全員でもう一度「チーム友達」を合唱し、このライブのハイライトの1つを作り上げた。

「永遠」の深淵な世界観で観客を圧倒

千葉雄喜(Photo by Daiki Miura)

千葉雄喜(Photo by Daiki Miura)[拡大]

ここまでKoshyプロデュース曲でバイブスあふれるラップを畳みかけてきた千葉だが、ライブ後半ではまったく別人のような表情を見せる。バンドメンバーとして谷口大翔(G)、大島理紗子(Vn)、HÖMiE(Key)を迎えた彼は、まずゲストとしてステージに登場したPeyoteがプロデュースした昭和歌謡風の楽曲「Jameson Ginger」を歌唱。LEDスクリーンが演出する“夕焼け空”の下、哀愁漂うメロディをじっくりと歌い上げる。

「千葉 雄喜 - STAR LIVE」の様子。(Photo by Daiki Miura)

「千葉 雄喜 - STAR LIVE」の様子。(Photo by Daiki Miura)[拡大]

さらにLEDの“空”が夜に変わっていくと、千葉は水が流れる音をバックに、たゆたうように歌う「涙」を皮切りとして、3rdアルバム「永遠」の収録曲を曲順通りに披露。DYGLやNTsKiのコラボレーターとしても知られる谷口をプロデューサーに迎えた「永遠」は、Koshyがプロデュースした1stアルバム「STAR」および2ndアルバム「億万長者」とは作風のまったく違うアンビエントR&B作品。即物的な内容をラップする前2作とは歌詞も大きく異なり、命、自由、時間、宇宙、愛といった抽象的・哲学的なテーマがエモーショナルに歌われる。

千葉雄喜(Photo by Daiki Miura)

千葉雄喜(Photo by Daiki Miura)[拡大]

武道館は荘厳で静謐とした空気に包まれ、先ほどまで大騒ぎしていたファンも息をのんでパフォーマンスを鑑賞。穏やかなバンドメンバーの演奏、もしくは無音の中、千葉は厚みのある歌声で会場を包み込んでいく。またボーカルエフェクトの使用も「永遠」というアルバムの特徴であり、アルバム終盤の「生きるだけだな」では重層的なハーモニーを生み出すボーカルエフェクト・プリズマイザーを全開にした千葉が、壮絶なシャウトで観客を圧倒。最後にアルバム「永遠」を締めくくる「夢みたい」を歌った彼は、ステージを端から端まで歩き回り、観客を指差しながら「見えてますよ、みんな見えてます」と伝えると、アルバム「separated at birth」収録のインスト曲「good bye」が流れる中、ステージを降りていった。

千葉雄喜(Photo by Daiki Miura)

千葉雄喜(Photo by Daiki Miura)[拡大]

本公演の模様は、8月にABEMAで独占配信されることが決定。またワーナーミュージックと包括契約を結んだ千葉は、グラミー賞獲得に向けてアメリカ・ロサンゼルスに拠点を移すことが伝えられている。予想を超えた動きでファンを驚かせ続けてきた彼が、今後どんな活躍を見せてくれるのか一層期待が高まる。

セットリスト

「千葉 雄喜 - STAR LIVE」2025年7月3日 日本武道館

01. Maybach
02. ありのまま
03. ユニクロ
04. チェーンが歌う
05. 重てえ
06. ハート絵文字
07. パンパンなフロア
08. BANK
09. 商売繁盛
10. チーム友達 REMIX
11. Jameson Ginger
12. 涙
13. 自由
14. もらいもの
15. 流れる
16. 君の元に
17. 心臓
18. 轍
19. あなたと
20. 生きるだけだな
21. 夢みたい
22. good bye

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