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サカキナオ「来世」ジャケ写

サカキナオ 来世

強靭なグルーヴを描くトラックや日本語特有の“節”を生かしたリリック…第5弾シングルも中毒性抜群

文 / 森朋之

「神退治」「scream」「フラッシュバック!!」「雷命」と楽曲をリリースするたびにインパクトを強め、アーティストとしての全貌が明らかに……というか「どれだけ引き出しがあるんだよ!」という驚きが増していくばかりのサカキナオ。ネオソウル、ファンク、ディスコ、ロック、歌謡、J-POPなどを自由に行き来する音楽性、古くからある日本語の響きを生かしながら喜怒哀楽をビビッドに描き出すリリック、色彩豊かなボーカルが織りなす独創的なポップワールドは、5thシングル「来世」によってさらなる高みに達している。

サカキナオいわく「憎しみながらも絡まって解けない糸のような互いの心をイメージして制作しました」という「来世」。まず印象に残るのは、強靭なグルーヴを描き出すトラック、そして、日本語をしなやかなにフロウさせる作詞の技術だ。例えば「もう嫌じゃ 散々な此の 現世飽き飽きや」など、古典に近い言葉を並べながら独特のノリを出していくセンスは完全に唯一無二。単に英語っぽく発音するのではなく、あくまでも日本語特有の“節”を生かしたリリックは極めて斬新と言える。アタックの強さと心地よい滑らかさを巧みに使い分けるボーカルも素晴らしい。つまり、聴いていて耳がめっちゃ気持ちいいのだ。

歌詞の内容も興味深い。常識やコンプライアンスがどうであろうと、「アンタ」との関わりだけは守りたい。どうせ解けない糸であるなら、来世で出会ったときに不幸も幸福も味わい尽くそうじゃないか、というのが筆者の解釈だがあなたはどうか。誰にも言えない秘め事や衝動を解放してくれるのも優れたポップミュージックの役割なのだと、当たり前のことを改めて実感させてくれるのも「来世」の魅力だと思う。

それにしてもサカキナオの楽曲の中毒性はヤバい。1回聴くとリピートの手を止められないし、「は、早く次の曲を……」と思ってしまう。なるはやで新曲をお願いします。

サカキナオ「来世」Music Video

サカキナオ「来世」
2025年6月25日(水)配信開始 / Scrum Wave Music
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作詞・作曲:サカキナオ
編曲:大久保友裕

サカキナオ(サカキナオ)

サカキナオ

シンガーソングライター。eggmanとNTTドコモと吉本興業が立ち上げたNTTドコモ・スタジオ&ライブによる、次世代バンドおよびグローバルアーティストの発掘・育成を目的としたオーディション「Catching Wave Audition 2024」にて、2024年1月に初代グランプリを獲得。プロジェクト内で発足されたレーベル・Scrum Wave Musicより、第1弾シングル「神退治」を10月に配信リリースした。最新作は2025年6月にリリースされた第5弾シングル「来世」。