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自死した増田壮太の映画公開、初のベスト盤も

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27歳という若さで自らの命を断ったシンガーソングライター、増田壮太の半生を追ったドキュメンタリー映画「わたしたちに許された特別な時間の終わり」が8月16日から東京・ポレポレ東中野など全国の劇場で順次公開。これに先駆けて本日8月6日に、彼のベストアルバム「命のドアをノックする」がリリースされた。

増田は2000年にロックバンド・おきゃんぴーを率いて、ヤマハ音楽振興会主催による10代の音楽コンテスト「TEENS' MUSIC FESTIVAL」で全国優勝。その後も数々の賞を受賞し、若くして将来を嘱望された彼だったが、プロデビューの機会に恵まれないまま生きること自体に煩悶するようになり、2010年12月に自ら死を選んだ。彼が作った楽曲は生前には世に出ることはなかったが、タニザワトモフミが所属するバンド・SPACE LIKE CARNIVALによってカバーされたりと、死後各方面で影響を与えている。

ドキュメンタリー映画「わたしたちに許された特別な時間の終わり」は、友人だった映画監督の太田信吾が増田を生前から撮影し、彼の自死も含めて描いた作品。この映画は「山形国際ドキュメンタリー映画祭2013」アジア千波万波部門、ドイツ「ニッポンコネクション2014」、そして「台湾国際ドキュメンタリー映画祭2014」の正式招待作品となっている。

増田にとって初の作品にしてベストアルバムとなる「命のドアをノックする」には、彼が生前制作した14曲を収録。リードトラック「僕らはシークレット」は映画を監督した太田信吾の手によってビデオクリップが制作された。このPVにはかつて増田が所属していたNowhereMansのメンバーに加え、俳優の小宮一葉、池田大らが出演している。

また映画公開に伴って、9月4日に東京・代官山「山羊に、聞く?」、9月19日に東京・青山 月見ル君想フで増田のトリビュートイベントが開催されることも決定。生前の彼と交流があったタカハシヒョウリ(オワリカラ)、SuiseiNoboAzなどが出演する。

・谷川俊太郎 コメント

〈あらすじ〉に要約できない、細部からもこぼれ落ちる、虚構の手練手管も役に立たない、生きるという事実が、逆説的に映像を支えている。

・長澤まさみ コメント

自分が自分で無くなる瞬間。誰にだってある自由。ただそこにある事に満足出来なくなったとしても、その世界をどう見るかは自分次第。それは大変なんかでは無くて、本当はすぐそばにあるはずの小さな喜びを大切にして生きたいという優しく穏やかな心が迷い、旅をしているのだと思います。小さくも大きくなれる可能性に揺れながら。

・篠塚将行(それでも世界が続くなら)コメント

世間で言われるところの夢や希望に、僕らは食い殺されることがある。僕が唯一出演した某10代のフェスティバルで出会った「おきゃんぴー」というバンドは、自分達も含めて媚びたいい子ちゃんばかりのバンド達の中で、反抗心とポピュラリティを持ったバンドだった。彼らはその大会で優勝して、10代で音楽業界と関わり、突き放された。それでももがき続けた増田くん。この映画に映っている人間の姿は、決して素晴らしいものじゃない。むしろ不器用な人間が、夢に食い殺される姿かもしれない。だからこそ、音楽に夢や希望を持つ全ての人に、見てもらいたい映画です。あれから14年、彼は自殺をして、僕はまだ生きてバンドをやっている。最高の話、なわけねーだろ。

増田壮太「命のドアをノックする」収録曲

01. ミキサー、そして沈殿 俺待ち
02. 平成
03. 田端
04. 雨、雨、雨
05. 川の中
06. ロッキン'
07. 僕らはシークレット
08. 空色
09. ボクが修学旅行に行けなかった理由
10. ゴッド&ブッダ
11. 落日
12. 死のうかと思う
13. この世の果てや終わりでも
14. ビルの上から

増田壮太トリビュートパーティー「ミキサー、そして沈殿、俺待ち」

2014年9月4日(木)東京都 代官山「山羊に、聞く?」
<出演者>
谷澤智文(SPACE LIKE CARNIVAL)×坂東邦明(SPACE LIKE CARNIVAL)

<上映>
「烏は鳴いているか?」FILM MEMOIRE(17min) 監督:菱沼康介 増田壮太主演短編映画

<展示>
増田壮太作の絵画

増田壮太トリビュートライブ「命のドアをノックする」

2014年9月19日(金)東京都 青山 月見ル君想フ
<出演者>
SPACE LIKE CARNIVAL / SuiseiNoboAz / AJYSYTZ / タカハシヒョウリ(オワリカラ

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