11月にリリースした最新アルバム「バンド・デシネ」を携え、新潟公演を皮切りに全国8都市を回ってきたドレスコーズ。ツアーファイナルとなったこの日、彼らは全18曲のセットリストで2度目の全国ツアーに終止符を打った。
丸山康太(G)が1人ギターを鳴らすステージに菅大智(Dr)が現れてビートを刻むと、山中治雄(B)が右手を掲げながら登場しそのアンサンブルに加わる。そのまま3人が「どろぼう」のイントロを奏でると、マイクスタンドへと足早に向かう志磨遼平(Vo)が現れた。上下ワイン色のスーツに身を包んだ彼はマイクを掴むやいなや「どろぼう」を怒鳴るかのように歌い、「渋谷ー!」と叫んでオーディエンスのボルテージを上げる。続けてバンドは志磨の強烈なポエトリーリーディングとそれに絡む菅のタイトなドラムが観客を高揚させた「ゴッホ」、ハンドクラップが自然発生した「Lolita」とプレイし、ライブの勢いをますます加速させていく。
「SUPER ENFANT TERRIBLE」「リリー・アン」と前作アルバムからのアッパーチューンが連投されたのち、メンバーの名前を呼ぶ声が飛び交うフロアへ向かって志磨が「こんばんは、僕らがドレスコーズ!」と威勢よく挨拶。彼はアコギを抱えると「フォークソングライン(ピーターパンと敗残兵)」からドレスコーズの楽曲の中でもとりわけスローテンポな「Silly song, Million lights」へつなげ、先ほどまでとは一転して会場にゆったりとした空気を作り出した。このムードを打ち破るように畳み掛けられた「シネマ・シネマ・シネマ」「ベルエポックマン」「We are」で場内は再び活気付き、オーディエンスは手拍子やシンガロングしながら楽しそうに身体を揺らした。
MCでは志磨が「素晴らしいツアーだった、このツアーに関わってくれた人みんなにどうもありがとう。愛してます」と素直な気持ちを伝える。彼は突如「青春時代が終わったらその先は真っ暗だなんて、そんなの僕は嘘っぱちだと思うんだ!」と声を荒げると、「青春時代のその先には黄金時代が待っていて、その黄金時代を僕らは『ハーベスト』と呼ぶ」と告げて「ハーベスト」を歌い出した。「Teddy Boy」の終わりには、菅がツインペダルを駆使した地鳴りのようなドラムソロを披露してフロアを沸かせた。
「(This Is Not A) Sad Song」の前には、菅の叩くリズムに乗せて「ダンスの準備はいいかい?」「ダンスしたいのは誰だ?」「ダンスの相手は誰だ?」と問いかける志磨。「ダンスの相手は僕じゃないよ。ダンスの相手は……君の悲しみだ!」「ロックンロールは悲しみをちっとも忘れさせてなんかくれなかったよ。そのかわりロックンロールは、君のその悲しみとうまくダンスを踊れるようにしてくれたんだよ」と語る彼の言葉にオーディエンスは歓声で応えた。さらに彼は「トートロジー」で履いていた靴を放り投げ客席へ飛び込む。サビでは観客に足を支えられながら立ち上がり、フロア中を見渡しながら熱のこもったパフォーマンスを繰り広げた。そして最後は「バンド・デシネ」でクライマックスをドラマチックに彩った。
アンコール1曲目の「Automatic Punk」で鳴らされた轟音が会場をカオスな状態に変化させたあと、志磨は山中、菅、丸山を紹介し「そして僕が志磨遼平、クズです!」と何度も口にする。「生きててごめんね! クズの志磨遼平です! クズのクズによる、クズ、クズ、クズ、クズ、クズのための曲です!」と宣言されて始まったのは「Trash」。骨太な演奏とエモーショナルなボーカルがAXを包み、ライブは最高潮の盛り上がりの中で終演を迎えた。
ドレスコーズ「More Pricks Than Kicks TOUR」
2013年12月7日 SHIBUYA-AX セットリスト
01. どろぼう
02. ゴッホ
03. Lolita
04. Zombie
05. SUPER ENFANT TERRIBLE
06. リリー・アン
07. フォークソングライン(ピーターパンと敗残兵)
08. Silly song, Million lights
09. シネマ・シネマ・シネマ
10. ベルエポックマン
11. We are
12. ハーベスト
13. Teddy Boy
14. (This Is Not A) Sad Song
15. トートロジー
16. バンド・デシネ
<アンコール>
17. Automatic Punk
18. Trash
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- the dresscodes|ドレスコーズ オフィシャルウェブサイト
- ドレスコーズ2nd アルバム『バンド・デシネ』2013年11月6日発売 | 日本コロムビア
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音楽ナタリー @natalie_mu
ドレスコーズ新作ツアー終幕「素晴らしいツアーだった」 http://t.co/3xz9BlPzaj