本作は、BBCのドキュメンタリー「Jamie: Drag Queen at 16」をベースに、2017年にイギリスで初演されたミュージカル。ドラァグクイーンを夢見る高校生ジェイミーが、偏見や確執に悩みながらもしなやかに成長していく姿が描かれる。2021年以来、2度目の日本上演となる今回は、新キャストの三浦と初演から続投となる髙橋が、ジェイミー役をWキャストで演じる。
稽古場では5つのナンバーが披露され、曲が終わるごとに日本版演出・振付を担うジェフリー・ペイジがキャストたちに“ノート”を伝えた。最初に歌われたのは、ジェイミーがクラスで自分の夢を宣言する「誰も知らない」。髙橋がパワフルな歌声を稽古場に響かせる一方、教師ミス・ヘッジ役の3時のヒロイン・
ジェイミーが家で自作ドレスを披露する「限定モノ」では、母マーガレット役の
取材会には三浦、髙橋、安蘭、保坂、石川、岸、泉見、渡辺、かなで、栗山絵美が参加した。4月に行われたプレイベントで「ヒールを履くと足が取れそうになる」と言っていた三浦は、実際にヒールで稽古をしてみて「危惧していたより……余裕でした(笑)。やっぱり僕はダンサーだなと」と笑わせつつも「実はまだ本番用の靴ができておらず、いろいろな高さや細さのヒールを履き比べながら練習をしています。安全に気を付けてやらないとなと思っています」と真剣なまなざしで語る。また髙橋は、ハイヒールの話題にちなみ、「最近写真撮影をしたとき、掛け声を間違えて『ハイ、ヒール!』と言ってしまいました」と天然発言で場を和ませた。
三浦は「稽古開始からまだ2・3週間にもかかわらず、ほぼ全シーンの振りを付け終わり、ジェフリーのスピード感と、皆さんの覚えの速さに驚愕するばかり(笑)」と言い、「毎朝30分くらい、ジェフリーによるダンスワークショップが行われています。最初はそれに参加するだけでかなり疲れてしまっていたのですが、毎日コツコツと積み重ねるうちに体力が付き、実際のナンバーに出てくる動きにも躍動感が出てきた」と明かす。髙橋は「毎日楽しくて和気あいあいと稽古をさせていただいています。ジェフリーさんが最近日本語を覚えて、“頭からお願いします”という指示出しを『ア・タ・マ・カ・ラ』と言うのがかわいいんです」と、仲の良さをのぞかせた。
安蘭は「宏規くんは2回目のように思えるし、颯くんは良い意味で2回目とは思えない(笑)」と2人の個性の違いを述べ、「レイとは前回よりさらに良い関係が作れていると思う」と保坂に目配せする。保坂も「マーガレットはジェイミーの一番の味方で、すごいお母さん」と表現し、「(三浦と髙橋の)2人が演じるジェイミーは自然と応援したいなと思わせてくれるので、何の苦労もない」と笑顔を見せた。「私たち親子にとってもレイは頼もしい存在だよね」と安蘭から投げかけられた三浦は、大きく頷きながら「(レイの頼もしさは)パパよりもパパ!」とコメント。これを聞いていたジェイミー父役の岸は、三浦たちを鋭くにらむそぶりで共演者たちを笑わせた。
石川は「私たちが演じるのは少数派の人々なので、よもや少数派と多数派が争う時代になったらどんなに恐ろしいかと想像してしまう。4年前は、この物語を華美にドラマチックに演じてしまった気がしますが、今だからこそもっとリアルに演じたい」と語る。泉見は「4年前より風通しは良くなったと思いますが、実際にはまだまだ越えなければならない壁があると思う」としつつ、「ショーパートは振付が増えてバージョンアップしているので楽しくお届けできたら」とアピールした。
岸は「ドラァグクイーンについて学ぶ中で、世界的に有名なル・ポールさんの映画やドキュメンタリーなどを観て、エンタテイナーとしての彼女の生き方に憧れました。新たなアプローチで芝居ができることが日々楽しい」と充実した様子で語る。登壇者の中で一際美しい姿勢で話を聞いていた渡辺は、自身の番になり「普段、役の世界で生きていると自分が強くなった気分になるのですが、ドラァグクイーンの扮装をすると、より一層強くなった気がするんです。まだ本番を迎えていないのに一皮剥けたような気持ち。(自身を指しながら)綺麗だと思いません?」と自信満々に記者に語りかけた。
ミュージカル初出演のかなでは「最初は自分に先生役が務まるのかなと思いましたが、私は声量があるのでそれで生徒たちをまとめたい」と言う。また、かなでは「元々ミュージカルが好きなので、漠然とすごいところに来てしまったと思っていましたが、皆さんが気さくに話しかけてくれたり、不安だった歌ではジェフリーが自分の感情を引き出してくれたりして、自分が想像していたより身近に感じられる部分があった」と語り、記者から「今後もミュージカルに出演したいか?」と問われると「めちゃくちゃ出たい……! ので、芸人だけどかなではミュージカルもやれるんだというのを本作で見せられたら」と言葉に力を込めた。栗山は「劇中で生徒たちが先生の声をまったく聞いてくれないので、孤独を感じています(笑)。“舞台上の99%が私の敵”という役どころが初めてなので、強靭な精神と強靭な“のど”を手に入れてヘッジ先生を演じ抜かなくては」と意気込んだ。
最後に、ジェイミー役の2人が観客へメッセージを送った。三浦は「ジェイミーという役を演じる中で、すごく楽しい瞬間もあれば、すごく苦しい瞬間もあって。本作に出てくるキャラクターみんなにバックグラウンドがあり、完璧じゃなくて、でもそれを認めて乗り越えて強くなっていく。そんなメッセージをジェイミーとしてだけでなく、僕自身ももらっているので、お客様にとっても自分の人生を見つめ直すような機会になると思います。とはいえ、すごく明るくて楽しいミュージカルなので、何も考えず楽しみにしてお越しください」と呼びかける。
髙橋は「キャスト1人ひとりが輝いていて凄まじくてパワフルでエネルギッシュ。そのエネルギーをお客さんと交換し合えたらと思っています。“初日まで”気を抜かず、ストイックにがんばりたい」とコメント。石川から「“初日まで”でいいの?」と言い間違いを指摘されると、髙橋は「千秋楽まで。いや千秋楽が終わっても、もう一度再演できるようにがんばっていきたいと思います!」と立ち上がって宣言した。
公演は7月9日から27日まで東京・東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)、8月1日から3日まで大阪・新歌舞伎座、9日から11日まで愛知・愛知県芸術劇場 大ホールで行われる。
ミュージカル「ジェイミー」
2025年7月9日(水)〜27日(日)
東京都 東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
2025年8月1日(金)〜3日(日)
大阪府 新歌舞伎座
2025年8月9日(土)〜11日(月・祝)
愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
スタッフ
作:トム・マックレー
音楽:ダン・ギレスピー・セルズ
日本版演出・振付:ジェフリー・ペイジ
翻訳・訳詞:
出演
ジェイミー・ニュー:
マーガレット・ニュー:
プリティ:
ディーン・パクストン:
ベックス:
サイード:
ファティマ:澤田真里愛
ミッキー:東間一貴
サイ:
リーバイ:MAOTO
ベッカ:元榮菜摘
ヴィッキー:リコ(HUNNY BEE)
学生スウィング:山村菜海 / 増山海里
ライカ・バージン:
トレイ・ソフィスティケイ:
ミス・ヘッジ:
ミス・ヘッジ(女性役U/S):栗山絵美
ジェイミー父 / サンドラ:
レイ:
ヒューゴ / ロコ・シャネル:
※Go Jamieチケット(25歳以下当日引換券)、Yシート(20歳以下当日引換券)あり。
関連記事
Yuji Kishi /岸祐二&STAFF☆ @YujiKishi23red
https://t.co/Vuoo4boKB9
ナタリーさん、ありがとうございます🙏
※私の写真は、AIで作られています(ウソですすみません)絶対に見ないで下さい😂
#ジェイミーミュージカル