中村米吉

中村米吉の#カワイイは世界を救う? 第28回 [バックナンバー]

白玉に代わり、中村米吉が向かった先は春の箱根

いざ、心もお腹も満たされる小旅行へ

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現在歌舞伎座で上演中の「四月大歌舞伎」昼の部で、河竹黙阿弥「黒手組曲輪立引」に出演中の中村米吉。米吉演じる吉原で評判の遊女・白玉は、大店の番頭・権九郎と駆け落ちする。しかし白玉には思惑があって……。持ち前の(?)小悪魔ぶりで、米吉は今月も観客を虜にしている。

このコラムは、カワイイ米吉に、カワイイものを紹介してもらい、カワイイ×カワイイの相乗効果で読者の心を癒やすことを目的としている。春の陽気に誘われて、米吉が向かったのは春の箱根。お花見、クラフト、黒たまご……心もお腹も満たされた米吉の“満たされスマイル”をご堪能あれ!

題字:中村米吉

愛でて作って食して…寿命まで伸びちゃう!

「生まれ故郷の上方へ連れて行き」
「伊勢参宮から大和路をまわる」
「四谷を抜け世田ヶ谷道から厚木街道」

これは今月上演中の『黒手組曲輪達引』の“不忍池の場”にて番頭の権九郎やスリの牛若伝次が私が勤めている白玉に言うセリフです。
落ち延びる方向はどちらも西。
江戸からの逃避行は西がおすすめなのだろうか……。

せっかく江戸を落ち延びて西へ向かうなら、と神奈川方面の観光本を楽しむ白玉ちゃん。
箱根に興味があるらしい。

「ことりっぷ箱根」(昭文社)を読み、ご当地情報を収集するカワイイ新造白玉。

「ことりっぷ箱根」(昭文社)を読み、ご当地情報を収集するカワイイ新造白玉。

と夢見たものの残念ながら彼女は吉原へ連れ戻されてしまいましたので、その意志を継ぎ、私 米吉が箱根に行ってきました!(笑)

やはり東京よりも少し涼しい箱根。
様々な花で彩られる強羅公園では都内では散り出していた桜が今を見頃と咲き誇っておりました。

強羅公園の桜はこのとき、まさに見頃。可憐な花たちが心を満たす。

強羅公園の桜はこのとき、まさに見頃。可憐な花たちが心を満たす。

都内でよく見かける染井吉野より少し小ぶりで愛らしい桜たち。

米吉と麗しい桜でWカワイイ。

米吉と麗しい桜でWカワイイ。

小彼岸桜、枝垂れ桜、八重豆桜など、いろいろな種類の桜を堪能できます。

お花見後は園内の人気施設「箱根クラフトハウス」へ。
こちらでは陶芸、ガラス細工などの工芸体験が楽しめます。

私が今回挑んでみたのは“サンドブラスト”。
ガラスに砂を吹きかけて、すりガラスの模様を描くことができるもので、何種類もあるシールから自分好みのデザインを作ることができるのです!

選べるデザインは恐竜から昆虫までさまざま。米吉が選んだのは……。

選べるデザインは恐竜から昆虫までさまざま。米吉が選んだのは……。

家でプリンやゼリーを食べる用のガラスのボールを作る決心をし、いざシール選び!!

君に決めた! 米吉に選ばれし金魚。

君に決めた! 米吉に選ばれし金魚。

座った席の目の前に鎮座していたこの金魚さんと目が合いました。
悩み悩み抜き、シールの配置を決め、貼って行きます。

いざ、作業開始。

いざ、作業開始。

たくさん貼りたいような、あんまり貼ったらうるさいような、悩ましい時間が過ぎて行きます。

配置に悩む、“アーティスト”米吉。最高のガラスのボールを作るために妥協はしない。

配置に悩む、“アーティスト”米吉。最高のガラスのボールを作るために妥協はしない。

その上でシールの周りをテープでまるでミイラのようにぐるぐる巻きに。

完成形を想像し、慎重にシールを貼り付けていく米吉。

完成形を想像し、慎重にシールを貼り付けていく米吉。

これで隙間があると余分なすりガラス部分ができると言うので、とても緻密な作業です。

機械に入れ完成を待つ間、集中した脳みそを園内カフェのフレンチトーストで癒します。
お花があしらってあるところが可愛いですね。

作業の合間に米吉がいただいた、フレンチトースト。甘いものとカワイイものはいつだって世界を救う!

作業の合間に米吉がいただいた、フレンチトースト。甘いものとカワイイものはいつだって世界を救う!

そしてこちらが完成品!

これで完成? ぐるぐる姿も愛らしいけど……。

これで完成? ぐるぐる姿も愛らしいけど……。

あれ? ミイラのままだ。え? これ全部剥がすの?
えー……。

改めまして! 完成品!

米吉の手のひらの上で泳ぐ金魚。これからの季節にぴったり。

米吉の手のひらの上で泳ぐ金魚。これからの季節にぴったり。

金魚さんを主役に、シールを貼り過ぎず抑えめにして正解だったな。

米吉の感性が詰まった、大満足の一品が出来上がる。

米吉の感性が詰まった、大満足の一品が出来上がる。

なお妻はこれでもかとシールを貼り、愛らしいニワトリがたくさんのヒヨコを連れている物語性のあるグラスを作っていました。

嫁吉作成のハートいっぱい、キュートなグラス(左)と、米吉作成の涼やかな器。

嫁吉作成のハートいっぱい、キュートなグラス(左)と、米吉作成の涼やかな器。

工芸体験で汚れた手を園内のかわいい蛇口の水道で洗い、早雲山へ。

小鳥の蛇口で手を洗う米吉はまるで白雪姫。

小鳥の蛇口で手を洗う米吉はまるで白雪姫。


早雲山のロープウェイの駅の二階には“cu―mo箱根”と呼ばれる施設がありました!
早雲山の雲からとって、クーモ! 施設の中は雲を意識したものがたくさん。

デザイン性高い「ニューベル」を乗せたベンチのクッションの形も雲!

デザイン性高い「ニューベル」を乗せたベンチのクッションの形も雲!


中でも目を引いたのがこちらの「ニューベル」。
バナナやリンゴのさっぱりとしたスムージーの上に綿アメをあしらった飲み物です。

この大きさ! ボリューム感たっぷりの「ニューベル」を味わう米吉。

この大きさ! ボリューム感たっぷりの「ニューベル」を味わう米吉。


甘そうだけど、スムージーが思ったよりあっさりで、綿アメとの取り合わせが口の中でなんとも面白い!

容器にはこんな文言が……。
このセンス。嫌いじゃないよ。

こだわりはこんなところにも。心をわしづかむ、「ニューベル」の抜かりないキュートさ。

こだわりはこんなところにも。心をわしづかむ、「ニューベル」の抜かりないキュートさ。


しかしまぁ、乱世の雄 北条早雲も自分の名前がこんなにいじられるとは思いもよらなかったでしょうね(笑)。

ロープウェイで硫黄の匂いに満ち、煙立ち込める大涌谷へ。
卵を漆黒に染める恐ろしき場所です。
その昔“地獄谷”とも呼ばれた“カワイイ”とは無縁のとも思われる場所でも、“カワイイ”を見つけるのが我が使命。
と、意気込み降り立つやいなや……!
すぐに見つけた、黒たまご椅子!

絶妙なバランスで黒たまご椅子の可愛さを表現してくれた米吉。

絶妙なバランスで黒たまご椅子の可愛さを表現してくれた米吉。


名物である黒たまごを最前面に押し出せるだけ押し出していて、地獄の割にはカワイイものがたくさん。
実物の黒たまごを購入すると、黒たまごに扮した巨匠に遭遇。

可愛いの権現・黒たまごキティとカワイイ大使・中村米吉の2ショット。

可愛いの権現・黒たまごキティとカワイイ大使・中村米吉の2ショット。


黒たまごキティ様です!
さすが可愛いの権現! 山梨の王! どこでも誰とでもコラボする懐の広さに感服いたします!

隣には“くろたまにゃんこ”というご当地感満載の猫さんが。

黒たまごキティと並び立たされるたまごにゃんこに、米吉も思わずエール。

黒たまごキティと並び立たされるたまごにゃんこに、米吉も思わずエール。


世界一人気のネコらしきキャラとよく並んでいられるなぁ……(笑)。

頑張れ! くろたまにゃんこ!
巨匠を越えるその日まで!

ちなみに黒たまごは、一つ食べれば7年寿命が伸びる、と言われているそうです。
2個食べたのでこのコラムの連載の寿命も14年伸びたことになります。
それはそれでしんどいかもしれない……(笑)。

あ、それが“地獄”ってこと!?

中村米吉

1993年、東京都生まれ。播磨屋。中村歌六の長男。2000年に中村米吉の名を襲名して初舞台。2011年から女方を志し、「鬼一法眼三略巻 菊畑」で皆鶴姫、「与話情浮名横櫛」でお富、「松浦の太鼓」でお縫、「仮名手本忠臣蔵 七段目」で遊女お軽、「絵本太功記」で初菊などを勤める。またアメリカ・ラスベガスで行われた歌舞伎興行では、2015年に「鯉つかみ」小桜姫役、2016年に新作歌舞伎「獅子王」白縫姫役で出演。2015年には「鳴神」の雲の絶間姫役の演技で十三夜会奨励賞、2021年には第42回松尾芸能賞で新人賞を受賞した。2022年7月に上演された「風の谷のナウシカ 上の巻 ―白き魔女の戦記―」、2022年12月から昨年1月にかけて上演された「オンディーヌ」では、それぞれタイトルロールを務め、2023年3・4月に上演された「新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX」、2024年2・3月、10月に行われたスーパー歌舞伎「三代猿之助四十八撰の内『ヤマトタケル』」の東京公演と福岡公演では、それぞれヒロイン役を勤めた。また女方の大役・三姫より、「祇園祭礼信仰記」雪姫を2023年9月、「本朝廿四孝」八重垣姫を2024年1月、「鎌倉三代記」時姫を2024年11月に、それぞれ初役で演じた。

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甘栗@今年も劇場客席に生息中 @miso_amaguri

うひぃ…ほわほわ綿菓子越しのタレ目…あざといっっっ https://t.co/hJciRYMQKU

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