太宰治「駈け込み訴え」をもとにした、オトズレ「白夜の帳」再演スタート

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オトズレ「白夜の帳(2025再演版)」が、本日2月8日に東京・サブテレニアンで開幕した。

オトズレ「白夜の帳(2025再演版)」より。

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オトズレ「白夜の帳(2025再演版)」より。

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坂本樹が主宰するオトズレは、2019年に旗揚げされた劇団。以前にも同劇団で上演されている「白夜の帳」は、太宰治の「駈け込み訴え」を原案にした作品で、今回の再演では脚本・演出を坂本樹が手がける。出演者には須貝文音が名を連ねた。

オトズレ「白夜の帳(2025再演版)」より。

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公演は明日2月9日まで。

坂本樹コメント

やめようと思っていたんです。演劇。
理由は様々です。
公演のたびに目減りする通帳の残高。コロナとの戦い。父の他界。進まない筆。
劣等感。孤独感。増える煙草。カフェイン。減る睡眠。まだ進まない筆。才能の限界。
11年前に演劇を始めたころはすべてが輝いて見えたはずでした。まともじゃないことがかっこよく見えていました。演劇を続けることの過酷さも、それが勲章のように見えていたことさえありました。手にしてみて、それがあまりにも燻んでいて、こんなものかと思いました。
思えば僕が演劇を始めた頃、その初期衝動の中心にいた劇団は全部解散しました。私がはじめて演劇を観た劇場も閉館しました。憧れを抱える代わりにまともさを捨ててこの世界で生きていた人たちが、そのまともさを拾い集めて元いた人波に紛れるその背中を見送ったことが幾度あったでしょうか。
若く未熟だった頃はその背中を見下したことさえありました。
いつしか同情するようになっていました。
いつしかその背中を追いたいと思うようになっていました。

だから演劇をやめました。
オトズレは無期限活動休止の形を取りました。一昨年の10月のことです。

もどってきました。オトズレは活動を再開します。
憧れは呪いでした。不意に浮かんだアイデアを書き留める癖も、街や風の仕草に芝居を見出す癖も抜けませんでした。そうして僕の裡で澱のように溜まったものたちが、幕が開く日を今か今かと待ち侘びているのです。
僕にとって、演劇への憧れは呪いでした。
「まともになんてならないでいようね」って笑い合ったことのある、まともな人たちがどれほどいるでしょうか。僕はあなたたちのようにはなれませんでした。
演劇を、もう一度始めます。

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オトズレ「白夜の帳(2025再演版)」

2025年2月8日(土)・9日(日)
東京都 サブテレニアン

原案:太宰治「駈け込み訴え」
脚本・演出:坂本樹
出演:須貝文音

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