新NISA×チェーホフ、ぺぺぺの会の新作長編「悲円 -pi-yen-」

5

4

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 1 2
  • 1 シェア

ぺぺぺの会「悲円 -pi-yen-」が、3月26日から31日まで東京・ギャラリー南製作所で上演される。

ぺぺぺの会「悲円 -pi-yen-」チラシ表

ぺぺぺの会「悲円 -pi-yen-」チラシ表

大きなサイズで見る(全2件)

これは、“新NISA”“投資”“FIRE”の3つのテーマと、アントン・チェーホフの戯曲「ワーニャ伯父さん」をかけ合わせた新作長編。劇中では、父親から継いだ畑でブドウを栽培している主人公の物語が、作・演出を担う宮澤大和の投資体験をもとに描かれる。「一発逆転してェ……」と願う主人公の前に、FIREを達成したと自称するインフルエンサーの2人組が現れ……。出演者には、石塚晴日、熊野乃妃、佐藤鈴奈、宮崎明音、侑沙、村田活彦、岸本昌也が名を連ねている。

宮澤は「どうしてチェーホフだったのか。どうして『ワーニャ伯父さん』だったのか。理由を述べることはできるにはできる。けれど、述べられる理由はすべて後から付いてきたものであるような気がしてならなかった。あの時、『ワーニャ伯父さん』と投資にまつわるあれこれが結びついた、あの瞬間の静かな電撃がこの作品には込められてある」とコメントした。なお、同公演は来年1・2月に京都公演が決定している。

チケットの価格は、日経平均株価に準じた価格変動制となる。詳細は公式サイトを確認しよう。

宮澤大和コメント

2024年は「新NISA元年」と呼ばれた。これまでのNISA制度よりもさらに非課税枠が増えて投資を始めるハードルは格段に下がったといえる。その頃からぼくの周囲でも投資の話をする人が増えた。

投資で一発当てて、もしも経済的自立(投資のリターンによって得られる収益だけで生活をすること)を達成できたら仕事を辞めて田舎暮らしでもしようかな。東京で身も心もすり減らすのは散々だ。

ただの飲み会での与太話。だけれども、この会話はなんだか「現代」を克明に描写しているようなしているような気がして、ぼくの心をきゅっと掴んで離さなかった。

次に演劇をつくるときには「新NISA」を、「投資」をテーマにしようと決めたからには、すぐさま証券口座を開設してぼくも投資を始めてみた。

投資を始めて、わりに真剣に投資対象や金融経済をリサーチしていると世界の見えかたがだんだんと変わってきた。演劇を始めたばかりの頃も、世界そのものが大きな「演劇」に見えてきた感覚とちょっと似ている。今、ぼくにはこの世界が大きな「経済の演劇」に見えている。

新NISAをテーマにした演劇は最終的にアントン・チェーホフの名作「ワーニャ伯父さん」と結びついて、実を結ぶようにして新たな物語が生まれた。

どうしてチェーホフだったのか。どうして「ワーニャ伯父さん」だったのか。理由を述べることはできるにはできる。けれど、述べられる理由はすべて後から付いてきたものであるような気がしてならなかった。

あの時、「ワーニャ伯父さん」と投資にまつわるあれこれが結びついた、あの瞬間の静かな電撃がこの作品には込められてある。

この記事の画像(全2件)

ぺぺぺの会「悲円 -pi-yen-」

2025年3月26日(水)〜31日(月)
東京都 ギャラリー南製作所

スタッフ

作・演出:宮澤大和

出演

石塚晴日 / 熊野乃妃 / 佐藤鈴奈 / 宮崎明音 / 侑沙 / 村田活彦 / 岸本昌也

公演・舞台情報
全文を表示

読者の反応

  • 5

村田活彦 | やしの実ブックス @katsuhikomurata

ナタリーさんありがとう。新NISA×チェーホフという⁉️な演劇誕生の経緯が、作・演出の宮澤のコメントで語られてます。読んでね。 https://t.co/NFLrmlGW9r

コメントを読む(5件)

宮澤大和のほかの記事

リンク

あなたにおすすめの記事

このページは株式会社ナターシャのステージナタリー編集部が作成・配信しています。 ぺぺぺの会「悲円 -pi-yen-」 / 宮澤大和 / 岸本昌也 の最新情報はリンク先をご覧ください。

ステージナタリーでは演劇・ダンス・ミュージカルなどの舞台芸術のニュースを毎日配信!上演情報や公演レポート、記者会見など舞台に関する幅広い情報をお届けします