約57年ぶりに文楽の名跡を継いだ十一代目
これは5月9日から東京・シアター1010で行われる襲名披露公演「令和6年5月文楽公演」に向け、シアター1010と同じ足立区に位置する西新井大師で行われた成功祈願。お練りは大師前駅前から西新井大師参道のおよそ300mにわたり行われ、約200名が参加。西新井大師・西新井大師商栄会の“花祭り”の神輿も登場した。
その後の囲み取材で、若太夫は「西新井大師でのお練り、途中で感極まって泣きそうになるほど非常に感動いたしました」と述べ、「豊竹若太夫という名前がものすごく大きな名前であるとかえって実感しました。竹本義太夫を名乗る人は今おらず、永久欠番になっていますが、豊竹若太夫という名前が一番の名前です。今日お練りの道中で若太夫という名前を呼んでいただいて、若太夫という名前の響きを感じました。また、若太夫という名跡、そしてその大きさがお練りを導いている気がしました」と振り返った。
また、祖父から若太夫という名跡を継ぐことについては「若太夫という名前を継ぐのは私にとっても非常に大きな夢でしたが、自分で選んだのではなく、若太夫という名前に選ばれたような気がしています。文楽は世襲制ではないので、祖父が若太夫だから継ぐことができるのではなく、実力の世界です。私自身、2年前に文楽の太夫の一番上の切語りに昇格し、そのとき初めて若太夫という名前を継ぐことができるなと感じ、実際に先輩方からも打診がありました。今日のお練りと成功祈願法要は、若太夫という名前に導かれて、大きな名前に包まれているような気持ちです」と心境を明かした。
さらに、シアター1010やさまざまな劇場で公演を行うことについて「昨年の12月もシアター1010で公演がございました。国立劇場の建て替えの問題もありますが、国立劇場という器を離れて行う公演自体、良いことだと感じました」「違う土地で皆様と接する機会は、文楽にとってとても大きなこと」と考えを語る。「芝居はその土地でのつながりが大事だと感じています。半蔵門の皇居や最高裁判所のそばという国立劇場の環境もありがたいですが、下町のにぎわいのある北千住で襲名披露公演ができることは意義のあることだと感じています。国立では味わえない、シアター1010での味わいもあります。芸能の神様がいきなさいと期待している。違うお客様も開拓できると考えています」と期待を込めた。
なお囲み取材後には、西新井大師書院でミニイベントとして「二人三番叟」が記念上演された。「令和6年5月文楽公演」は5月9日から27日までシアター1010にて行われる。
「令和6年5月文楽公演」Aプロ
2024年5月9日(木)〜27日(月) ※公演終了
東京都 シアター1010
「令和6年5月文楽公演」Bプロ
2024年5月9日(木)〜27日(月) ※公演終了
東京都 シアター1010
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柏木ゆげひ(朝原広基) @kashiwagiyugehi
豊竹若太夫が西新井大師でお練り、北千住での襲名披露公演は「意義のあること」(ステージナタリー5/7) https://t.co/6Gy2e9m4P5 「襲名披露公演の成功祈願法要とお練りを昨日5月6日に東京・西新井大師で実施した…5月9日から東京・シアター1010で行われる襲名披露公演『令和6年5月文楽公演』に向け」