中村勘九郎&中村七之助、全国巡業に向けて「父の愛した歌舞伎、そしてその芸をつないでいく」

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十八世中村勘三郎十三回忌追善「中村勘九郎 中村七之助 中村勘太郎 中村長三郎 陽春歌舞伎特別公演2024」と「中村勘九郎 中村七之助 春暁歌舞伎特別公演2024」に出演する中村勘九郎中村七之助の合同取材会が、本日1月11日に東京都内で行われた。

左から中村七之助、中村勘九郎。

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中村勘九郎

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中村七之助

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「陽春歌舞伎特別公演2024」「春暁歌舞伎特別公演2024」は、勘九郎、七之助ら中村屋一門による全国巡業公演。2015年にスタートし、20回目となる今回は、いずれの公演も、2人の父である中村勘三郎の十三回忌の追善として行われる。このことについて、勘九郎は「『もう13年か』『まだ13年か』と、さまざまな気持ちが胸を巡りました。『陽春歌舞伎特別公演』には、私の子供たち(中村勘太郎、中村長三郎)も出演しますので、父の愛した歌舞伎、そしてその芸をつないでいきつつ、全国の皆様方に楽しんでいただけるような公演にしたい」と意気込みを述べる。七之助は「東京・歌舞伎座での『猿若祭二月大歌舞伎』に続き、父の十三回忌追善公演をやらせていただけることをありがたく思っております」と言葉に力を込めた。

左から中村七之助、中村勘九郎。

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いずれの公演でも、恒例のトークコーナーが実施されるほか、「陽春歌舞伎特別公演2024」では「鶴亀」「舞鶴雪月花」、「春暁歌舞伎特別公演2024」では「若鶴彩競廓景色」「舞鶴五條橋」がそれぞれ上演演目として並んだ。勘九郎と七之助は、まずトークコーナーについて、「コロナ前は、手を挙げていただいたお客様と直接交流をする、質問コーナーがございまして。コロナ禍ではしばらく中止にしていたのですが、昨年の秋に復活しました。今回もより多くのお客様方とお話しできたら良いですね」(勘九郎)、「その質問コーナーでは、お客様からおすすめの場所を教えていただいて、実際に昼夜公演の間に足を運んだこともあります(笑)」(七之助)とその楽しさに触れる。さらに勘九郎は「トークコーナーで『初めて歌舞伎をご覧になる方は手を挙げてください!』と声をかけると、7割ぐらいの方が手を挙げられます。“最初に観る歌舞伎”だからこそ、少しでも興奮していただけるもの、記憶や心に残るものにしたい」と言葉に気合いをにじませた。

勘九郎は、各公演の最初の演目となる「鶴亀」と「若鶴彩競廓景色」に関して、「1発目は、いずれも歌舞伎らしい、古典の舞踊のおめでたいものを持ってきたかった」と思いを明かし、「『鶴亀』は、歌舞伎舞踊、長唄舞踊の代表的な作品で、文字を見てもわかる通り、おめでたい踊り。うちの父や、七之助のお弟子さん3人(中村小三郎、中村仲弥、中村仲四郎)で、おめでたくも、しっかりとした踊りをお見せします。『若鶴彩競廓景色』は、鳶頭と芸者による、爽やかで粋な、目にも楽しい舞踊。『俄獅子』をベースにした舞踊ですが、新たに振付される部分もあり、『俄獅子』とは違ったものになるかと。うちのお弟子さんである(中村)仲助、(中村)仲侍、(中村)仲之助に加え、澤村藤十郎のおじのお弟子さんで、私たちの公演をいつもサポートしてくださる、澤村國久さんが出てくださります」と説明した。

「舞鶴雪月花」と「舞鶴五條橋」は、いずれも2人の祖父である十七世勘三郎のために作られた舞踊で、十七世勘三郎の俳名である“舞鶴“がタイトルに入っている。「舞鶴雪月花」では、七之助が桜の精、中村鶴松、長三郎、勘太郎が松虫、そして勘九郎が雪達磨を演じる。過去に桜の精、そして松虫を勤めた経験のある七之助は、同作を「季節の移ろいを描いた、とてもきれいな舞踊劇。雪達磨の踊りはユニークですし、歌舞伎、そして舞踊の面白さが詰まっていて、見ごたえがあるかと」と表現。さらに勘九郎が武蔵坊弁慶、七之助が常盤御前を勤める「舞鶴五條橋」について、七之助は「舞踊『五条橋』では、牛若丸と武蔵坊弁慶の出会いが展開しますが、『舞鶴五條橋』ではその前に、常盤御前と牛若丸の親子の別れが描かれます。様式美あふれる親子の愛や憂い、そして牛若丸と弁慶の迫力のあるシーンと、両方を味わっていただければ」とコメント。勘九郎は「今回は父の追善ですので、中村屋ゆかりの演目を選ばせていただきました。弁慶は何回か演じたことがありますが、雪達磨は初めて。楽しんで勤められれば」と思いを述べる。

左から中村七之助、中村勘九郎。

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記者から「陽春歌舞伎特別公演2024」に出演する勘太郎、長三郎に期待することを問われた2人。勘九郎は「勘太郎は、過去に中村座で『舞鶴五乗橋』で牛若丸を勤めたことがありますが、長三郎は“舞鶴”と名の付いた演目には初めて出演します。祖父のために作られ、父が受け継いできた演目ですので、一緒に出られるのはうれしいです。(2人が今回演じる)松虫の踊りは、可愛らしくも不思議な振付。演じるのに必要な“独特な感性”を2人とも持っているので(笑)、安心してできるんじゃないかな。ただ心配なのは、勘太郎の背がすくすくと伸びているから、上演時期には(同じく松虫を演じる)鶴松を追い抜いている可能性があるということ(笑)」とニヤリと笑う。七之助は「僕が松虫をやったときは、(松虫役は)ケンケン(尾上右近)と父の3人だったんですけど、僕のほうが父よりちょっと大きかった気がします(笑)」と振り返りながら、おいである勘太郎、長三郎の出演について、「純粋に2人と巡業できることが楽しみ。そして巡業公演の前、2月の『猿若祭二月大歌舞伎』では、勘太郎が『猿若江戸の初櫓』で主役の猿若、長三郎は『連獅子』で仔獅子に挑みます。そこで、2人が役者として一回りも二回りも大きくなって、この巡業公演を迎えるだろうことを、僕は信じておりますので、その成長ぶりも楽しみです」と笑顔を見せた。

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十八世中村勘三郎十三回忌追善「中村勘九郎 中村七之助 中村勘太郎 中村長三郎 陽春歌舞伎特別公演2024」

2024年3月26日(火)
千葉県 浦安市文化会館 大ホール
ほか、4月1日(月)まで全国にて上演。

一、トークコーナー

二、「鶴亀」

出演
帝:中村小三郎
鶴:中村仲弥
亀:中村仲四郎

三、「舞鶴雪月花」

作:萩原雪夫
振付:二世藤間勘祖
作曲:十四世杵屋六左衛門

出演

桜の精:中村七之助
松虫:中村鶴松
松虫:中村長三郎
松虫:中村勘太郎
雪達磨:中村勘九郎

十八世中村勘三郎十三回忌追善「中村勘九郎 中村七之助 春暁歌舞伎特別公演2024」

2024年4月4日(木)
福岡県 キャナルシティ劇場
ほか、4月24日(水)まで全国にて上演。

一、トークコーナー

二、「若鶴彩競廓景色」

出演

鳶頭:中村仲助
鳶頭:中村仲侍
芸者:中村仲之助
芸者:澤村國久

三、「舞鶴五條橋」

作:萩原雪夫
振付:二世藤間勘祖
作曲:十四世杵屋六左衛門

出演

武蔵坊弁慶 :中村勘九郎
牛若丸:中村鶴松
室町次郎:中村いてう
堀川太郎:中村山左衛門
常盤御前:中村七之助

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中村勘九郎 中村七之助 錦秋特別公演2023 @kinshutokubetsu

【会見レポート】中村勘九郎&中村七之助、全国巡業に向けて「父の愛した歌舞伎、そしてその芸をつないでいく」 https://t.co/OHRVoJefdg

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