「モグラが三千あつまって」が7月14日に東京・新国立劇場 小劇場で開幕する。これに先駆け本日12日、公開フォトコールと初日前会見が行われた。
本作は、
本作では、食料のタロイモを育てることに成功したモグラ族と、そのタロイモを盗みに来るイヌ族とネコ族の攻防戦が描かれる。フォトコールでは1幕1場と1幕3場が披露された。劇場には、四方を客席に囲まれた2段の円形ステージがある。4人のキャストは、客席通路も使いながら劇場中を所狭しと駆け回り、複数の役柄を演じ分けた。
キャスト全員でモグラ族を演じる1幕1場では、吉田演じるマチェックと富山演じるバンゲラ親分を中心に、タロイモを守るための作戦集会が行われる様子が描かれる。代わる代わるアイデアを思い付く4匹のモグラは、1匹ずつステージに上がり、歌に乗せて盗難対策を提案。バンゲラ親分のスピーチにモグラたちが拍手を送る場面では、観客も拍手を求められ、まるで数多くのモグラがいるかのような演出が施された。
キャスト全員がイヌ族を演じる1幕3場では、栗原演じるダックスフントのやきいも隊長が指揮を執り、イヌたちがタロイモ掘りを行うシーンが展開。モグラとは対照的に背筋をピンと伸ばしたやきいも隊長は、高圧的な態度で兵隊たちを怯えさせるが、ダンスシーンではこっけいな振付を披露し、笑いを誘った。
初日前会見にはキャスト4人に加え、長塚、近藤、阿部が登壇した。本作では、前述の通りセンターステージ形式が採用されたほか、客席内の壁には動物たちの絵が描かれ、遊び心のある空間となっている。長塚は「センターステージを使うのは実は難しい。背景がなく、お客様の想像力が必要になってくるからです。ただ今回は、それを子供たちに体験してほしかった。また、美術の木津潤平さんと相談する中で、この空間を、モグラたちの歴史が詰まった劇場、モグラたちが“忘れてはならない物語の上演をずっと続けている劇場”にしたいというイメージもありました」と意図を明かした。
長塚から「4人しかいないキャストを、モグラ3000匹に見せるのはあなたの仕事です」とプレッシャーを与えられたという近藤は、「イヌやネコを足して4000匹弱。無理難題で大変でした」とおちゃめに笑い、「大事なのはイマジネーションを働かせること。(観客が)自分もモグラなんだと体感できるように、振付で本作を支えられれば」と話した。キャストの設定を4人にした理由を問われると、長塚は「ギリギリで演じ切れる最小人数にした」とし、「困難を選びました(笑)。モグラだけにしても、2996匹分くらいはお客様の想像の存在ということになるので(笑)、演じるほうも作るほうも大変だと思いましたが、できそうなものより難しそうなものを子供たちに見せたかった」と言葉に力を込めた。
阿部は「作曲のときは普段から“音の風景”を意識しますが、今回は特に、それぞれの動物族がどんな文化を創造し、どんな音楽に親しんでいるのかを考えました」と明かし、特に腐心した点として「戦時下という状況を音楽でどう表現するか。この物語自体、戦争の教訓を語り継ぐことを前提に書かれたものだと思うので、昔の記憶が感じられるような、どこか遠い国の童謡や民謡をイメージしました」と語った。
「お気に入りのキャラクターは?」という質問では、小日向演じるガンペッタ王に、富山と栗原の2票が入った。小日向は同役を「ネコ族の威張っている王様。モグラの作ったタロイモを奪おうとしますが、逆にモグラの作戦によって連れ去られてしまいます」と説明し、富山は「憎み切れない愛らしさを感じます」と選んだ理由を述べる。「ガンペッタ王、僕も演じたかったな」と笑いを誘った栗原は、自身が演じるやきいも隊長を「鬼教官的なキャラクターは初めて。精一杯演じています」と意気込みを口にした。吉田は富山演じるバンゲラ親分に1票。吉田は「頼り甲斐があってカッコいいので、兄貴にしたい」とコメントした。
続いて、キャストたちにお気に入りのシーンが問われた。吉田は「イヌ族のシーンはすごく体力を使いますが、その分楽しい。こちらの“熱”がお客様にも伝われば良いな」と声を弾ませる。富山は「地下のシェルターでモグラたちが演奏するシーンが素敵。演奏自体は緊張しますが、だんだん楽しくなってきた」と笑顔を見せた。小日向は「モグラ族の作戦で、黒い飛行物体に襲われたイヌたちのシーン。『ビューン! ビューン!』と声で(飛行音を)表現しながら、実際は何もない舞台上で避ける演技が、演劇らしい表現で好きです」と紹介した。栗原は、本作で苦労したことを問われ「正直……すべてです」と答え、「特に、衣裳の早替えや出ハケが多いのが大変」と苦労を語った。
最後に吉田が「子供も楽しめる作品ということで、初めて劇場に足を踏み入れるお客様もいると思います。そういった方に想像力をかき立てられる作品を届けられるのがうれしい。また、大人も改めて考えさせられる作品だな、と演じながら思います。ぜひたくさんの方に観ていただけたら」と呼びかけ、会見を締めくくった。
上演時間は約1時間40分。公演は7月30日まで。
演劇「モグラが三千あつまって」
2023年7月14日(金)~30日(日)
東京都 新国立劇場 小劇場
原作:武井博
上演台本・演出:
振付:
音楽:阿部海太郎
出演:
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