マスクを取るとオタクっぽさ全開？薮宏太主演のミュージカル「BE MORE CHILL」開幕

薮宏太（Hey! Say! JUMP）が主演を務めるミュージカル「BE MORE CHILL（ビー・モア・チル）」が本日7月25日に東京・新国立劇場 中劇場で開幕。初日公演を前にプレスコールが行われた。

本作はネッド・ヴィジーニの小説をジョー・トラックスの脚本、ジョー・アイコニスの音楽・歌詞で2004年に舞台化したミュージカル。アメリカ・ニュージャージー州を舞台に“超クール”になるため、日本製スーパーコンピューター入りの錠剤・スクイップを飲んださえない男子高校生・ジェイミーの物語で、日本初演となる今回は、初演も手がけたスティーヴン・ブラケットが演出を担当する。出演者には薮のほか、加藤清史郎、井上小百合、木戸邑弥、内海啓貴、斎藤瑠希、ダンドイ舞莉花、ラリソン彩華、ブラザートム、横山だいすけが名を連ねた。

プレスコールでは3曲の劇中歌が披露された。薮は幕開けのナンバーで、オタク気質なジェイミーをおどおどした表情で好演。ジェレミーが密かに思いを寄せるクリスティン役の井上は、彼女のちょっと風変わりな様子を身体いっぱいに表した。また、“チル”な男子高校生に成長したジェレミーから「負け組」と言われてしまう親友マイケルを演じる加藤は、その寂しさや悔しさを歌声ににじませてソロナンバーを熱唱。一方、横山は擬人化したスクイップ役を異次元の雰囲気を漂わせて演じた。

プレスコール後の取材会には、ブラケット、薮、加藤、井上、横山が登壇した。ブラケットの手がけたミュージカル「A Strange Loop」がトニー賞作品賞を受賞したことから、キャストらはクラッカーを鳴らしてブラケットを歓迎。ブラケットは「誕生日パーティのようなサプライズで、とても温かく東京に迎え入れてもらいました」と振り返る。すると薮が「でも、『さ、始めましょうか』とすぐに稽古が始まって（笑）」と付け足した。

親友役を演じる薮と加藤は2009年のテレビドラマ「任侠ヘルパー」で共演している。年齢がひと回り離れている加藤について「久々に会ったらちょっと大人になってた」と薮。「でも、やんちゃな部分は残っていて、会った瞬間に『親友役イケるな』と思いました。実年齢はあまり関係ないところが舞台の魅力」と言う。稽古場でサッカーのユニフォームを着ていた2人は、コアなサッカー話に花を咲かせていたそうで、「（薮は）今も昔も変わらない“お兄ちゃん”。今回は同い年の高校生で超親友役なので、子供の頃に比べると物理的な距離は離れたかもしれませんが、心の距離は縮めることができたと思っています」と加藤が言うと、薮は「Me, too」と流暢な英語で返した。

横山は「カッコいい印象のこうちゃん（薮）が、オタクを演じるということで『ならんでしょ！』と思っていたんですが、劇場でマスクを取って稽古をしたときに、オタクっぽさが全開で。“チル”系になっていく彼を早くお客さんに観てもらいたいです」と語った。

井上は「一応ヒロインなんですけど……少女マンガに出て来るようなかわいらしいヒロインを想像して来ると『え？』となる感じのキャラクター。周りからしたら変な子なのですが、ジェイミーからしたら魅力的という塩梅に気をつけながらやっています」と戸惑いを見せるが、自身は役柄と「正直、割と近い」と告白。また、「薮さんは周りの方をすごくよく見ていて、物事を円滑に進められるように仕切ってくださるので、頼もしいです。ジェレミーと全然違う（笑）」と説明する。

本作ではスクイップによって人気を得る男の子の話が展開するが、「そのような薬があったら？」と記者から尋ねられると、薮は「人気が出るのも素敵なことですけど、ほかのことで変わりたい。美容室で2時間座って美容師さんとしゃべるのが苦手なので、ヘアチェンをスクイップに任せて。寝癖がついたまま稽古場や現場に行ったりするので、メイクさんを困らせないためにも」と回答。加藤は「緊張しいなので、緊張をなくす力がほしい」、横山は「運動が苦手なので、スクイップを飲んで心置きなく泳ぎたい」、井上は「今回のお芝居ではみんなが悩みや葛藤を抱えているところが逆に魅力的だと思うので、改善しなくて良いのにと思っちゃう」と、それぞれ答えた。

また、取材会では出演者のブラザートムが記者に紛れて質問する場面も。誕生日が近い加藤のために「ハッピーバースデー」を無茶ぶりで歌わせたり、独特な質問を投げかけて登壇者の笑いを誘い、場を盛り上げた。

最後にブラケットが「『ビー・モア・チル』は大変な役ばかり。アンサンブルやバックアップで歌ってくれる人がゼロなんです。皆さん、大変なことを快く受け入れてくれる。今、困難なことがたくさんある世の中にこの作品をお届けできるのは、とても意義があること。このショーを観て、楽しみと心の安らぎを感じてほしいです」とコメント。また、薮が「アジアで初めて上演されるということで、暑い時期ですけどクールになっていただけるようにがんばります。魅力的なキャラクターがいますので、自分の好きなキャラクターを見つけて帰っていただければ」と来場を呼びかけて、取材会は終了した。

上演時間は休憩を含む約2時間30分。公演は8月10日まで。その後、20・21日に福岡・キャナルシティ劇場、27日から29日まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールでも上演される。